再び玄関に向かって廊下を歩き始めた香苗。
中嶋との関係は、お互いの同意の下に結んだものだ。
決して強姦された訳ではない。
だからもちろん、香苗にも大きな責任がある。
自分の言葉で、さよならを言わなければいけない。
玄関のドアの前に着いた香苗は、1つ深呼吸をしてからロックを外し、ドアをゆっくりと開けた。
そしてそのドアの向こうには、少し大きめの黒いバッグを持った中嶋が立っていた。
香苗
「中嶋さん……」
夫とは全くタイプの異なる男性。
逞しい身体に整った顔立ち。
やはり何度見ても、この男からは女心の何かを擽るオーラを感じる。
香苗はもう何十回とこの男に抱かれてたのだ。
中嶋
「嬉しいですよ奥さん、また出てきてくれて。旦那さんは出ているんですよね?」
香苗
「えぇ……。」
中嶋
「ならじっくり話ができそうだ。」
そう言って中嶋はドアを掴むと、大きく開き玄関の中にまで入ってきた。
香苗
「あ、あの中嶋さん?夫は出ているとは言ってももうすぐ帰ってくるんです。」
中嶋
「そうですか、旦那さんはどこまで行ってるんですか?」
香苗
「それはあの……義母を迎えに駅まで……。」
中嶋
「どこの駅です?」
香苗
「……〇〇駅です。」
答えなくとも良い事を、香苗は正直に話してしまう。
中嶋
「ふーん、じゃあ結構遅くなるんじゃないですか?今渋滞凄いですから、マンションの前の道も混んでますし。」
香苗
「そうですけど……でも……」
中嶋
「兎に角、まだ時間はあるんですから、ゆっくり話しましょうよ。」
そう言ってまたいつかと同じように靴を脱ぎ、勝手に部屋に上がりだした中嶋。
香苗
「ちょ、ちょっと中嶋さん!」
中嶋
「まぁまぁ、ゆっくりと言ってもそんなに長居はしませんから安心してください。」
廊下を歩いていってしまう中嶋を、香苗は困惑の表情を見せながら追っていく。
こんなつもりじゃなかったのに。
ドアの前で、さよならを言うだけだと思っていたのに。
中嶋
「あれ?なんだか凄く美味しそうな香りがしますねぇ。」
相変わらず、ここが他人の家であるという事を全く気にしている様子がない中嶋は、遠慮なくリビング・ダイニングの方へ入っていく。
中嶋
「ほお、これはまたえらく豪勢な料理が並んでますねぇ。」
テーブルに並べられた色とりどりの手料理達は、この部屋には至って普通の、幸せな夫婦が住んでいるのだという事を証明していた。
家庭的な温かさを醸し出す料理が並べられた部屋の中で、この中嶋という男の存在は場違いでしかなかった。
香苗
「……あの……中嶋さん、ごめんなさい……私……」
香苗は心底申し訳無さそうな顔で、中嶋の背中に向かってそう言った。
中嶋
「何がです?」
香苗
「私……もうこれ以上……夫を裏切る事は……」
中嶋
「ハハッ、そうですかぁ、やっぱり奥さんは旦那さんが良いですか。いいですよ、俺も今日はお別れの挨拶をしに来たんですから。」
中嶋が振り返り、香苗の目を見つめてそう言った。
香苗はそれを聞いて少しホッとしているようだった。
香苗
「中嶋さん……じゃあ……」
しかし中嶋はこの後、香苗が予想さえしていなかった事を言い出す。
中嶋
「でもなぁ、それだと気に食わないんですよねぇ、俺。」
香苗
「え……?」
中嶋
「言ったでしょ?色々と事情があるって。それがなかったら、俺が奥さんを旦那さんに返すなんて事しませんよ。だって、奥さんは俺の女なんですから。」
香苗
「俺の……女って……」
中嶋
「ハハッ、今更何驚いているんですか?奥さんは俺の女でしょ?この前そう誓ってくれたじゃないですか。」
そう、香苗はそう誓ってしまった。中嶋の女になると。
心も身体も、全て中嶋に捧げると。
その代わりに、香苗は今まで想像すらできなかった程の快楽を中嶋から提供してもらっていた。
夫とのSEXでは得る事が決してできない、強烈な快感を。
それが中嶋との関係だった。
香苗
「……。」
香苗はそれを否定する事ができなかった。
そして分かったのは、この目の前にいる中嶋という男は、今も香苗を自分の所有物だと思っているという事だ。
中嶋
「気に食わないんですよねぇ、これじゃ、俺が旦那さんに負けたみたいじゃないですか。あ~気に食わねぇ。」
先程までの余裕のある態度は、中嶋から消えていた。
その言葉と表情からは明らかに苛立ちを感じられる。
しかし中嶋の顔はその後すぐに、ニヤニヤと再び不気味な笑みを浮かべ始めた。
機嫌が悪くなったり、笑い始めたり、香苗はそんな中嶋を見て少し恐怖のようなものを感じていた。
そして、中嶋はこう続けた。
中嶋
「だからさぁ奥さん、今日は最後、挨拶代わりに一発ヤらせてくれませんか?」
コメント
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メンメンさん
ランキング1位おめでとう(‘-^*)/
まとめtyaiました【人妻 吉井香苗(110)】
再び玄関に向かって廊下を歩き始めた香苗。中嶋との関係は、お互いの同意の下に結んだものだ。決して強姦された訳ではない。だからもちろん、香苗にも大きな責任がある。自分の言葉で、さよならを言わなければいけない。玄関のドアの前に着いた香苗は、1つ深呼吸をしてか…
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ハマさんありがとうございます。
いやぁやっぱ1位は嬉しいです。読者の皆さんのおかげですね!
まぁたぶん今まで1位だった方が殆ど更新してないってのもあるとは思うのですが、それでも嬉しいです。
これを少しでも長く持続できるように更新頑張りたいと思います。