夜、夫の祐二から連絡があった。
今日は定時で仕事をあがれたのだが、急遽同僚と飲み会をする事になった。だから今日の晩御飯はいらないと。
香苗はそれを聞いて胸を撫で下ろした。
なぜなら夜になっても料理は一切作っていなかったからだ。掃除や洗濯などの他の家事も一切手付かずの状態。
それどころか祐二からの電話に出た時も、香苗はベッドの上で裸だったのだ。
それから夜11頃に、酔っ払って真っ赤な顔をした祐二が帰ってきた。
さすがにその時には服を着ていた香苗だが、実は服を着始めたのは祐二がマンションのインターホンを押してからだ。
祐二が帰ってくる寸前までずっと
「中嶋さん……」
と呟きながら妄想に耽って携帯画面を見つめていた。
香苗
「大丈夫?」
祐二
「大丈夫大丈夫!ちょっと飲みすぎただけぇ!」
玄関で足をフラつかせながら大きな声でそう言うと、祐二は香苗に抱きついて凭れ掛かってきた。
香苗
「もう……大丈夫じゃないじゃない……」
祐二
「う゛ー……気持ち悪い……」
香苗は祐二の身体を支えながら、寝室に連れて行く。
香苗
「重たいなぁもう……」
祐二
「香苗ぇ?なんか今日機嫌悪いのかぁ?」
香苗の肩に助けられながら歩く祐二が、酔っ払い声でそう聞いてきた。
香苗
「そ、そんな事ないけど……ちゃんと歩いてよ。」
祐二
「だって香苗いつも優しくしてくれるのにさぁ。」
香苗
「いつもといっしょだよ、ほら、ベッドまで頑張って。」
寝室まで連れて行くと、祐二はそのまま眠りに入ってしまった。
香苗はイビキを掻いて寝る夫の顔を見て、大きくため息をついた。
もうすぐ日付が変わる。
結局中嶋から連絡はなかった。
香苗
「はぁ……もう12時かぁ……」
そう呟いて、何気なく鏡で自分の顔をみると、少し目が腫れている。
どれだけ泣いていたんだろう。
正直、祐二が酔っ払って帰ってきてくれてよかったと、香苗は思っていた。
今日は祐二の前で妻でいる事は難しかった。祐二に機嫌が悪そうだと思われたのも、それが原因なのかもしれない。
きっと10分も普通ではいられないだろう。
今日はソファで寝た方が良いのかもしれない。
祐二の横で大人しく寝れる気がしないから。
ソファで1人なら……中嶋の事を考える事ができる。中嶋に抱かれる所を妄想する事ができる。
この欲求不満な身体。せめて中嶋の名前を小さく呟きながら妄想でもしてないと、落ち着かない。
香苗
「ハァァ……中嶋さん……」
鏡を見ながら自分の指を舐め咥える香苗。
キスがしたい。今キスしてくれたら、それだけ絶頂に達する事ができるのに。
しかしその願いが叶わないと分かっているから、悲しくなる。
そんな事を思いながら、また薄っすらと涙を浮かべながら何気なくテーブルの上に置いてある携帯をもう一度開く香苗。
するとその瞬間。
♪~~♪~~♪~~
丁度香苗が携帯を持ったタイミングで着信音が鳴りだした。
そして香苗はその画面を見て目を丸くする。
中嶋からメールが届いたのだ。
心臓が止まるのではないかと思うくらいの驚きと、動揺。
高鳴る胸の鼓動。
すぐにメールを開く。
『まだ起きてますか?』
たったそれだけのメッセージだった。
それを10秒程で何度も読み返した後、震えた手で返事を書く香苗。
『はい』
送信する。
すると1分も経たずにまたメールが返ってくる。
『旦那さんは?』
『もう寝ました。』
とても速いメールのやり取り。
胸に手を当てながら、苦しそうになんとか呼吸をしている香苗の頭は、軽いパニック状態だと言っても良かった。
しかし頭で考えなくても、メールを打つ手は勝ってに動く。
そして身体は中心から沸々と沸騰するように熱くなっていく。
『奥さんももう眠たい?』
『いえ、大丈夫です。眠たくないです。』
そんな状況確認のようなメールを何度かする。
そして中嶋から送られてきた次のメールで、香苗の理性の糸はプツンッと切れる。
『俺、今奥さん達の部屋の前に居ます。玄関のドアの前に。』
コメント
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お忙しいと思いますが
どうか続きを(T-T)
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ペース遅くてすみません。
できる限り頑張ります。