人妻 吉井香苗(88)

夜、夫の祐二から連絡があった。

今日は定時で仕事をあがれたのだが、急遽同僚と飲み会をする事になった。だから今日の晩御飯はいらないと。

香苗はそれを聞いて胸を撫で下ろした。

なぜなら夜になっても料理は一切作っていなかったからだ。掃除や洗濯などの他の家事も一切手付かずの状態。

それどころか祐二からの電話に出た時も、香苗はベッドの上で裸だったのだ。

それから夜11頃に、酔っ払って真っ赤な顔をした祐二が帰ってきた。

さすがにその時には服を着ていた香苗だが、実は服を着始めたのは祐二がマンションのインターホンを押してからだ。

祐二が帰ってくる寸前までずっと
「中嶋さん……」

と呟きながら妄想に耽って携帯画面を見つめていた。

香苗 
「大丈夫?」

祐二 
「大丈夫大丈夫!ちょっと飲みすぎただけぇ!」

玄関で足をフラつかせながら大きな声でそう言うと、祐二は香苗に抱きついて凭れ掛かってきた。

香苗 
「もう……大丈夫じゃないじゃない……」

祐二 
「う゛ー……気持ち悪い……」

香苗は祐二の身体を支えながら、寝室に連れて行く。

香苗 
「重たいなぁもう……」

祐二 
「香苗ぇ?なんか今日機嫌悪いのかぁ?」

香苗の肩に助けられながら歩く祐二が、酔っ払い声でそう聞いてきた。

香苗 
「そ、そんな事ないけど……ちゃんと歩いてよ。」

祐二 
「だって香苗いつも優しくしてくれるのにさぁ。」

香苗 
「いつもといっしょだよ、ほら、ベッドまで頑張って。」

寝室まで連れて行くと、祐二はそのまま眠りに入ってしまった。

香苗はイビキを掻いて寝る夫の顔を見て、大きくため息をついた。

もうすぐ日付が変わる。

結局中嶋から連絡はなかった。

香苗 
「はぁ……もう12時かぁ……」

そう呟いて、何気なく鏡で自分の顔をみると、少し目が腫れている。

どれだけ泣いていたんだろう。

正直、祐二が酔っ払って帰ってきてくれてよかったと、香苗は思っていた。

今日は祐二の前で妻でいる事は難しかった。祐二に機嫌が悪そうだと思われたのも、それが原因なのかもしれない。

きっと10分も普通ではいられないだろう。

今日はソファで寝た方が良いのかもしれない。

祐二の横で大人しく寝れる気がしないから。

ソファで1人なら……中嶋の事を考える事ができる。中嶋に抱かれる所を妄想する事ができる。

この欲求不満な身体。せめて中嶋の名前を小さく呟きながら妄想でもしてないと、落ち着かない。

香苗 
「ハァァ……中嶋さん……」

鏡を見ながら自分の指を舐め咥える香苗。

キスがしたい。今キスしてくれたら、それだけ絶頂に達する事ができるのに。

しかしその願いが叶わないと分かっているから、悲しくなる。

そんな事を思いながら、また薄っすらと涙を浮かべながら何気なくテーブルの上に置いてある携帯をもう一度開く香苗。

するとその瞬間。

♪~~♪~~♪~~

丁度香苗が携帯を持ったタイミングで着信音が鳴りだした。

そして香苗はその画面を見て目を丸くする。

中嶋からメールが届いたのだ。

心臓が止まるのではないかと思うくらいの驚きと、動揺。

高鳴る胸の鼓動。

すぐにメールを開く。

『まだ起きてますか?』

たったそれだけのメッセージだった。

それを10秒程で何度も読み返した後、震えた手で返事を書く香苗。

『はい』

送信する。

すると1分も経たずにまたメールが返ってくる。

『旦那さんは?』

『もう寝ました。』 

とても速いメールのやり取り。

胸に手を当てながら、苦しそうになんとか呼吸をしている香苗の頭は、軽いパニック状態だと言っても良かった。

しかし頭で考えなくても、メールを打つ手は勝ってに動く。

そして身体は中心から沸々と沸騰するように熱くなっていく。

『奥さんももう眠たい?』

『いえ、大丈夫です。眠たくないです。』

そんな状況確認のようなメールを何度かする。

そして中嶋から送られてきた次のメールで、香苗の理性の糸はプツンッと切れる。

『俺、今奥さん達の部屋の前に居ます。玄関のドアの前に。』

コメント

  1. 匿名 より:

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    お忙しいと思いますが
    どうか続きを(T-T)

  2. メンメン より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    ペース遅くてすみません。
    できる限り頑張ります。

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