人妻 響子 (13)

翌朝、眠りから覚めた響子と長岡は、朝食を食べに行くために身支度をしていた。

ふァ……と、長岡があくびをする。響子もまだ少し眠そうで、2人共明らかに寝不足だ。


「おはよ~!」

元気な声を上げて、隣の部屋から沙弥と堂島がやってきた。


「あ、もう起きてたのね。2人共、昨日はよく眠れた?」


「……。」

意味深に笑みを浮かべながら昨夜の事を聞いてきた沙弥に対し、響子は気まずそうに黙り込んでいた。

すると沙弥は響子に近づいて耳元で
「どうだったの?長岡君と。」

と、再度聞いてきた。


「どうって言われても……」

響子が答えあぐねていると、沙弥は辺りを見渡して、テーブルの上にあったある物を見つけて嬉しそうに声を上げた。


「あー!なーんだ、しっかり楽しんだみたいね。しかも随分と盛り上がったのねぇ、3回もなんて……ウフフ。」

沙弥が見つけたのはテーブルの上に置いてあった封を切られて空になった3つのコンドームの袋。

そう、響子と長岡は結局昨晩は夜中の3時過ぎまでずっとセックスをしていた。しかも殆ど休憩なしで3回戦まで。

2回目のセックスからは言葉は少なく、ただただ夢中になって快楽だけを求めて互いに腰を振り合った。

性器と性器で深く繋がり合って、相手の熱い体温を感じながら、何度も何度もキスをして、何度も何度も絶頂して……

まさに燃え上がるような情熱的な夜だった。


「ウフフ、ねぇ響子、長岡君のエッチ気持ち良かった?」

ニヤニヤしながら聞いてくる沙弥。

響子は慌ててコンドームの袋をゴミ箱に捨てて、顔を赤くしていた。


「もぉ、響子ったらあんまり乗り気じゃない素振りしてたくせにぃ。」


「あ、あのね沙弥……これはその……。」


「ウフフ、大丈夫よ、響子の旦那さんには秘密にしておくから。」


「……。」

響子としては言い訳もできなかった。

沙弥の思惑通りになってしまったのは悔しいけれど、沙弥がいなければ長岡さんとの出会いはなかった。でも感謝するのも変な気がするし……。

とにかく、違う世界に足を踏み入れてしまったんだなと響子は感じていた。

〝旦那には秘密〟という言葉が胸にズシッときて、実感が沸いてくる。

――……私……本当に浮気しちゃったんだ……――


「ねぇ、長岡君はどうだったの?響子のか・ら・だ。」


「ハハッ、そりゃもう最高だったよ!」


「な、長岡さん……」

長岡の言葉にさらに顔を真っ赤にする響子。

でも〝最高だった〟という言葉を聞いて、響子も心の中で〝私もです〟と呟いた。

昨日のセックスは本当に気持ち良かった。

今までのセックスに対する価値観が180度変わるくらいに。

少し思い出すだけでも身体が熱くなってきてしまう。

単なる寂しさを埋めたいという感情だけではない。

刺激が欲しい、快楽が欲しい、という淫らな感情の方が強いかもしれない。

昨晩の行為を思い出すと、自分自身の淫らさにも驚いてしまう。

――私自身も今まで知らなかった、もう1人の私を、長岡さんが見つけてくれた……――

その後、朝食をとり終えた4人は、帰り支度をして旅館を出た。

しかし案の定、車の中では沙弥を中心に下の話で盛り上がる。


「それにしても今日が初めてなのに3回って凄いよね、私と武でも昨日は2回しかしてないのに。ねぇ長岡君、響子にどんな事させたの?」


「ちょ、ちょっと沙弥……長岡さんに変な事ばっかり聞かないでよ……」


「だって響子は全然教えてくれないんだもん。」


「当たり前でしょ……そ、そんな事……」


「ダメよ響子、もっとオープンにならないとこういう関係は楽しめないのよ。」


「……オープンにって言われても……」


「ねぇ長岡君、どうなの?聞かせてよ。」


「ハハッ、昨日はいたってシンプルなエッチだったよ。ですよね?響子さん。」


「長岡さん……」


「へぇ、3回とも?」


「普通のセックスが凄く良かったからさ、俺と響子さん相性が良いみたいで。そのまま盛り上がって3回戦までね。」


「わぁ、それってある意味凄いよね。じゃあ響子も相当気持ち良かったんだ?」

しつこく聞かれるから、響子も観念して恥ずかしそうにしながらも小さく頷いてみせた。


「ウフフ、良かったね響子。でもちょっと残念だなぁ、長岡君が響子にどんな変態プレイさせたか気になってたのに。」


「へ、変態プレイ……?」


「あ~、やっぱり響子はまだ知らないんだぁ。ウフフ、あのね響子、長岡君はね、す~っごい変態なんだよ。」


「おいおい沙弥ちゃん、あんまり大げさに言うと響子さんが引いちゃうだろ。」


「大げさなんかじゃないでしょ~、この中で一番変態なのって断トツで長岡君なんだもん。ウフフ、響子も長岡君に調教されちゃうわね、きっと。」


「ちょ、調教って……」


「響子はドMだから、男の人に身体を調教されるの、興味あるでしょ?」

〝長岡さんに調教される〟

なんだかよく分からないけど、とても淫猥な響きに聞こえて、下腹部がキュンと熱くなる。

――調教……されたいかも……でも調教ってどんな事するんだろう……――


「あ~やっぱり響子、興味ありそうな顔してる。」


「え?そ、そんな事……」


「そんな事あるくせにぃ。これはもう長岡君にみっちりやってもらいたいって顔よね。長岡君、響子が沢山調教してほしいって。」


「ハハッ、まぁそれはこれから徐々にだよ。楽しみは少しずつ味わっていかないと。ね、響子さん。」


「は、はぁ……」

恥ずかしいから控えめな返事しかできない響子だったが、本当は沙弥の言う通り、〝変態〟〝調教〟という言葉に興味津々だった。

これから長岡さんは私にどんな刺激を与えてくれるのだろうと、期待にも似た感情が沸き上がってくる。

胸がドキドキと高鳴る。こんなに好奇心を揺さぶられるのは初めて。

そしてこの日から、響子の新しいセックスライフは始まった。

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