女子大生 水野果歩(118)

車の後部座席に座っている果歩。

スカートを手で押さえながら、俯き加減で一点を見つめている。

下半身がスースーとして落ち着かない。

下着を着けずに外出するのは、果歩にとって初めての事だ。

車に乗り込むまでの間、他のスタッフやお客とすれ違う度に、恥ずかしさで顔が真っ赤になっていた果歩は、誰かに何か感付かれないかと気が気ではなかった。

しかしそんな恥ずかしい思いをしているにも関わらず、果歩の下腹部は熱くなっていた。
富田の愛撫から解放されたのだから身体の熱は冷めていくはずであったのに。

そんな状況で太腿辺りまで愛液で濡らしてしまう自分の身体に果歩は戸惑った。

山井 
「どうしたの果歩ちゃん、元気ないね?」

果歩 
「・・・ぇ・・・?」

山井がそれ程心配してる感じではない、軽い口調で果歩に聞いた。

山井 
「さっきから下向いちゃってさ。」

果歩 
「・・・・・。」

山井の言葉にも、小さな反応しか見せない果歩。
やはり、この状況で果歩の心を重たくしているのは友哉の存在であった。

果歩は悲しかったのだ。

もうこれで友哉の所へはきっと戻れない。

今更だが他の男性と身体の関係をもってしまった自分が情けない。

こんな自分が友哉のようなマジメな男性と付き合い続ける事なんてできるわけがない。

いけない道を進んでいる事は百も承知していた。

しかし、かと言って富田との関係を断ち切る事は果歩にはできなかった。

どんなに富田から離れようと思っても、身体が富田を求めてしまう。

富田の言う通り、自分の身体は富田とのSEXが無ければ生きていけないような気が本当にしてきた。

現に今だって、果歩は一秒でも早く富田と繋がりたくて仕方がないのだから。

・・・また友哉を裏切るの?・・・

・・・いいじゃないもう、これから毎日富田さんに気持ちよくしてもらうんだから・・・

・・・ダメよ・・・友哉・・・友哉と約束したんだもん・・・

・・・何言ってるの?さっきだって富田さんとエッチする直前だったじゃない、もう本当の自分を抑える事なんてできないわ・・・淫乱な女なんだもの・・・

・・・いん・・・らん・・・

・・・そう、淫乱な女・・・

・・・違う!私・・・そんな女じゃ・・・

・・・もう諦めなさいよ、あなたは淫乱、友哉との貧弱なセックスじゃ絶対に満足できないわ・・・

・・・そんな・・・そんな事・・・どうして・・・

果歩の中で、淫らな自分と友哉との愛を信じる自分が堂々巡りの葛藤を始め、果歩の心を苦しめる。

富田 
「山井、なんか果歩はまだ彼氏の事で悩んでるらしいぜ。」

山井 
「え?そうなの果歩ちゃん?」

果歩 
「・・・・・。」

果歩は相変わらず俯いて黙ったままだ。

富田 
「ま、いいんじゃねぇか。どうせ今からそんな事はすぐに忘れられる程の体験ができる訳だしな。」

山井 
「へへ・・・そうっスね。果歩ちゃん大丈夫、すぐに最高に幸せな気分になれるからね。」

果歩 
「・・・最高に・・・幸せ・・・?」

ニヤニヤと笑う男達とは正反対に果歩は2人が言う事の意図が分からず、ただただ不安がっていた。

富田 
「さ、着いたぞぉ。」

車に乗って数分、トミタスポーツからそう遠くなかった目的地に3人は到着した。

富田達が言う良い所・・・そこは小奇麗な背の低いビルだった。

4階立てのその建物は、1階が女性向けのオシャレな洋服店になっていた。

ビルの壁には〝TOMITA〟の文字。どうやらここも、富田の父親の会社の系列らしい。

富田 
「よし、行くぞ果歩。」

果歩 
「ぇ・・・あ、ハイ・・・」

そう言って女性向けのお店に堂々と入っていく冨田と山井に、果歩はテクテクとスカートを手で押さえながら付いて行った。

再び顔を赤くしながら歩く果歩。

こんな公共の場なのに、スカートの中に下着を穿いていないというのは本当に恥ずかしい思いだった。

店内には普通の学生では手が届きそうもない、高級で高価な服が並んでいて、店員の女性は全員思わず目を見張るような美人ばかりだった。

なんだか店内のその大人な雰囲気は、まだ学生の果歩には少し場違いのような感じさえした。

店員 
「あら富田さん、いらっしゃいませ。いつもお世話になっております。」

富田 
「おぉ、元気でやってる?」

店員 
「はい、おかげさまでお店の方も上手くいってます。」

富田 
「そうか、それはなによりだね。」

やはり、このお店にとって富田は、いや富田家の人間は頭の上がらない存在のようだ。

店員 
「あの・・・今日はどういった・・・」

富田 
「あぁ、ここには用はねぇよ。今日は4階にちょっとな・・・。」

店員 
「え?はぁ・・・4階・・・ですか・・・。」

富田 
「へへ・・・この子、うちのアルバイトなんだけどな、可愛いだろ?いつも頑張ってくれてるからご褒美にと思ってな。」

店員 
「ぇ・・・あ、そ・・・そうでしたか・・・。」

女性店員はなぜか動揺した様子で、果歩の方を見ていた。

富田 
「フッ・・・この子にも似合う服ここにはあるかなぁ?」

店員 
「ぇ?は、はい・・・綺麗なお顔立ちですし、お似合いになるお洋服はたくさんあると思います。」

富田 
「ハハ、そうか・・・じゃあまた今度買いにくるよ。」

店員 
「はい、あ・・ありがとうございます。」

そう店員に言い残して、富田はエレベーターへ向かった。山井と果歩もその後に付いていく。

エレベーター内に入った所で山井が嬉しそうに口を開いた。

山井 
「富田さん、さっきの店の店員、相変わらず皆いい女ばかりっスね?」

富田 
「え?あぁまぁな・・・へへ・・・全員トミタグループの社員だからな・・・山井、いつでも・・・な?・・・分かるだろ?」

山井 
「え?・・・ハハッ!さすが富田さんの権力はすげぇわぁ。」

果歩は2人の会話の意味する事が何なのか、さっぱりわからなかった。
そして今どんな所に自分がどんな所へ連れて行かれているのかも・・・。

エレベーターが4階まで到達し、扉が開く。

ここが良い所・・・果歩に最高に幸せな気分を与えてくれると言う所。

富田 
「さぁ!着いたぞ。」

山井 
「うわぁ~やっぱこの階だけなんか雰囲気違うわぁ。」

エレベーターを降りた3人。

果歩は富田と山井の後ろから、その階を見渡す。

果歩 
「ぇ・・・あの・・・ここって・・・。」

果歩の目に入ってきたのはピンク色の明かりの点いた、何か只ならぬ雰囲気を醸し出すお店だった・・・。

コメント

error: Content is protected !!
タイトルとURLをコピーしました