富田
「ハハッ、果歩はこんな所へ来た事ないだろ?」
果歩
「は・・はい・・・あの・・・本当にこのお店に入るんですか?」
山井
「へへ・・果歩ちゃん、これでもここは女性やカップル向けのお店なんだぜ?」
果歩
「え・・・?ホントですか?」
富田
「まぁとにかく入るぞ。」
富田と山井に言われるがままに共に店内に足を踏み入れる果歩。
・・・やだ・・・このお店って・・・・
果歩が驚くのも無理はない。
その店は、大人向けのアダルトグッズ、つまり大人のオモチャの販売を専門とする店であったからだ。
富田と山井に付いて歩きながら果歩は店内をキョロキョロと落ち着かない様子で見渡している。
店内の至る所に並べられているいかにも卑猥な形をしたオモチャたち。
多種多様なバイブレーターやローターはもちろん、派手な女性用下着やロープや大きなオモチャの注射器など、果歩にはいったい何に使うのか分からないような物も沢山あった。
・・・イヤ・・・ここ、本当に女性向けのお店なの?・・・
果歩の頭に浮かぶ当然の疑問に、富田がタイミングよく答える。
富田
「ここのビルは全体が女性向けの店舗になっていてな、1階は洋服、2階はスイーツ、3階はエステ・・・で、4階は女性向けアダルトグッズの販売店になっているって事さ。」
果歩
「そ、そうなんですか・・・」
富田
「まぁこの4階だけは会員以外は入れないようになってはいるんだがな。」
そう果歩に富田が説明していると、店の置くから1人の小柄な男が出てきた。
大林
「おぉ富田さん、いらっしゃいましたか。お待ちしてましたよ。」
店の事務室のような所から出てきたその大林という男は、、度の強い黒縁メガネをかけ、あごに不精髭を生やした、なんというか、小汚い印象を受けられても仕方ないような容姿であった。
富田
「久しぶりだな、どうだ?店の方の調子は。」
大林
「えぇそりゃもう、富田さんのお陰で多くの女性のお客さまに来て頂いて、商売繁盛ですわ。」
富田
「フッ、そうか・・・それはなによりだ。・・・で、今日なんだがな・・・もちろん準備はできているよな?」
大林
「はいはい、もちろんでございます。・・・ん?おぉ!この子が果歩ちゃんですね?」
富田
「あぁそうだ・・・。」
大林
「いやぁこりゃ驚いた。写真で見るよりもずっと可愛らしいお嬢さんだぁ!へぇ・・・ウヒヒ・・・。」
小柄な果歩と同じ位の身長の大林は、ギョロギョロとした目で果歩をジロジロと見つめている。
その大林の顔は脂ぎっていて、まるでそのルックスは何かの昆虫のようだ。
果歩
「ぁ・・・初めして・・・あの・・・水野といいます・・・。」
富田
「こいつはこの店の店長を任せている大林だ、俺とはもう10年来の付き合いなんだ。」
果歩
「・・・大林さん・・・ですか・・・。」
山井 「可愛いでしょ大林さん、果歩ちゃんはうちのジムのアイドルですからね。」
大林
「優しそうなお顔をしておられるねぇお嬢さん。目を見れば私は分かるんですよ、あなたはきっと誰にでも優しいお嬢さんだ。」
大林はメガネの縁を持って、果歩の瞳を見つめながらそう言った。
果歩
「あ、ありがとうございます・・・。」
女性の中にはこういった大林の様な小汚い男を〝気持ち悪い〟と思う人が多いと思うが、果歩に限ってはそういう事はなかった。
それは果歩がおっとりとした性格と、優しい心の持ち主だからなのかもしれない。
果歩はこの大林という男に悪い印象は持たなかった。
ただ、こんな店の店長なのだという点は当然果歩の頭の中でも引っかかってはいたのだが・・・。
大林
「・・・ヒヒ・・・いやぁでも楽しみだぁ、果歩さんは可愛くて優しくて、マジメなお嬢さんなんですね・・・いいですよ、すごくいいです・・・ヒヒ・・・。」
果歩
「・・・はぁ・・・」
富田
「大林、この奥だよな?」
大林
「えぇ・・・ヒヒ・・・皆さんどうぞ、こちらへ。準備は万全にしておきましたから。」
果歩
「・・・・・。」
果歩は奥に何が用意されているのかも、今から何をするのかも分からず、確認するように富田や山井の表情を伺っていたが、2人はただニヤニヤと笑みを浮かべているだけだった。
コメント
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すみません焦らしちゃって…
しかもちょっと今日の更新遅くなってしまいそうです…
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焦らしますよね~明日の更新が待ち遠しいです。あっ今晩でしたね[i:63943]