「え~っと、今日はどうしよっかなぁ、うどんと焼きそばパンにしようかなぁ。」
「知子ちゃん炭水化物ばっかり、太るよ?」
「あ、ほんとだ、焼きそばパンは諦めるかぁ・・・」
大学の食堂でメニューを眺める果歩と知子。
いつも通りのまったりとした時間、ランチプレートを持っていつもの窓際の席に座る。
「土曜はちょっと飲みすぎちゃったなぁ、昨日二日酔いで休み一日潰しちゃったもん・・・」
「当たり前だよ、知子ちゃんビックリするぐらいすごい飲んでたもん。」
「ん~あんまり覚えてない。果歩は昨日どうしてたの?日曜はバイトもなかったんでしょ?」
「え・・・う、うん。昨日は部屋でのんびりしてたよ。」
知子の問いに、果歩は昨日自分がしていたことを思い出し顔を赤くした。
誕生日会から帰った土曜の夜、秋絵からプレゼントされた大人のおもちゃを使ってオナニーをし、生まれて初めての性的快感の絶頂を経験した果歩。
驚くほどの気持ち良さだった、自分で刺激する性感帯からの快感が全身に広がり、自分でも信じられないほど乱れてしまったのだ。
次の日、果歩は昼前にベッドで目を覚ました。
特に予定はなかったため、部屋の掃除などをしていた果歩だが、それも終わるとする事がなくなって少々退屈を感じていた。
特になにも考えることなく、ふと机の引き出しを開け、昨日使った後、洗ってしまっておいたバイブーレーターに手をのばす。
なんだか紫色のそのおもちゃを手に取り、見ているだけで身体が熱くなってくる。
昨日の自分は自分じゃないみたい。あんなになっちゃうなんて・・・。
しばらくバイブレーターを眺めていた果歩。
突然スッと立ち上がり、まだ昼の陽が差し込む窓に向かうと、ザザッとカーテンを閉めた。
そして昨夜と同じようにベッドにタオルを敷くと、果歩は着ていた部屋着にゆっくりと手をかけた。
結局その日、果歩は昼間からバイブレーターでのオナニーに没頭してしまっていたのだった。
果歩の自慰行為が終ったのは日が沈んで外が暗くなった頃だ。
二度の絶頂を向かえ終え、一糸纏わぬ姿でグッタリとベッドに横たわる果歩。
お尻の下に敷いたタオルにはグッショリと大きな染みをつくっていた。
濡れたタオルの上に置かれたバイブレーターはたっぷりと果歩の蜜をまとい光沢を放っている。
長時間にわたる自慰行為でバイブレーターの電池はなくなってしまっていた。
力をなくしたバイブレーター、最後の方はスイッチをMAXにしても弱い刺激しか果歩に与えてくれなくなっていた。
二度目の絶頂の後も三度目に向かい行為を続けていた果歩、その途中にバイブレーターの電池がなくなってしまい三度目の絶頂は迎えることはできなくなってしまった。
身体の中で中途半端に燻り続ける快感の炎。
なんとも言えないムラムラ感が残り、焦れったい気持ちを拭いとる事ができない。
果歩は裸のままお風呂場に向かいシャワーを浴びることにした。
バイブレーターの電池がなくならなければあのままずっとオナニーを続けていたかもしれない・・・
・・・私・・・すごくエッチになっちゃったのかな・・・
シャワーを浴び、興奮状態から大分平常心を取り戻した果歩は、昼間から夜までオナニーに没頭していた自分に少し呆れていた。
貴重な休日をこんなふうに潰してしまうなんて。
――もう・・・あのおもちゃ、気持ち良すぎちゃうだもん――
でも、秋絵先輩なんであんな物を・・・
秋絵先輩も彼氏がいない時はこういうおもちゃ使ってるのかなぁ・・・
大学が終わり、駅前の雑貨屋のアルバイトも終えた夜、駅近くのコンビニに果歩の姿はあった。
やっぱ長持ちするのは高いんだよね・・・
いくつかのメーカーが並ぶ乾電池のコーナーから、比較的高価なものを手に取る果歩。
少し考えた後、8個入りの物を買い物カゴに入れる。
昨日、中途半端に終った自慰行為から、ずっと燻り続けていた小さな快感の炎とムラムラ感は、この日の夜になっても消えなかった。
昨日の自慰行為後の後悔の念は、一日中続いたこのムラムラ感によって果歩の頭から消え去っていた。
今は一刻も早く自分の部屋に帰り、昨日の続きをしたいという気持ちでいっぱいだった。
「果歩ちゃん」
「え・・・?」
レジに並んでいた果歩は急に後ろから誰かに名前を呼ばれ、少し驚いたように後ろに振りかえった。
「あ、秋絵先輩!」
「フフ、こんばんわ、バイト帰り?」
「は、はい。」
顔を赤くして俯き加減で答える果歩。
なんだか秋絵の目を見て会話ができなかった。
秋絵は明らかに様子のおかしい果歩を見て少し不思議がっていたが、ふと果歩が手にしていた買い物カゴの中の乾電池を見て、ニヤッと怪しげな笑みを浮かべた。
いっしょにコンビニを出たふたり、急に何かを思いついたかのように秋絵が口を開いた。
「そうだ、果歩ちゃん、今からウチに寄っていかない?夜ご飯まだでしょ?昨日作っておいたココナッツ風味のカレーがあるんだけど、どう?」
「わぁ~ココナッツ風味のですかぁ?あ、でもいいんですか?」
「うん、結構たくさん作っちゃったし、一人で食べるより果歩ちゃんと食べたほうが楽しいし。お口に合うかわからないけど。」
「秋絵先輩が作ったカレーなら絶対おいしいですよぉ!」
料理上手の秋絵の手料理が食べられる、断る理由はなかった。
あんな物をプレゼントされて、驚きと少しの疑問はあったものの、果歩の中の秋絵に対する尊敬と憧れの気持ちは消えていなかった。
「フフ、ナンもあとは焼くだけにしておいたのよ。」
「え~ナンも手作りなんですかぁ?わぁ~すごい楽しみぃ!明日知子ちゃんに自慢しちゃおっと。」
秋絵の部屋に向かう間はカレーの話題で盛り上がり、さっきまでの少し気まずい雰囲気はどこかに消えていた。
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