女子大生 水野果歩(165)

結局この1週間、果歩は富田に会う事はできなかった。

どうして富田が自分の前から居なくなってしまったのか、果歩には見当がつかなかった。自分が富田にとって必要のない女になってしまったのかと、飽きられてしまったのかと悩む日々。

毎晩布団の中で涙を流していた。そして同時に止める事のできない自慰行為。

心が押しつぶされそうに辛いのと同時に、富田の事を想うと身体が疼く。

会えない事で溜まった欲求不満とストレスを、果歩は激しいオナニーで発散していたのだ。

先週大林に渡された新しいバイブとアナル用のバイブを使ってのオナニー。富田にいつアナルセックスを要求されてもいいように、毎日肛門をバイブで拡げ柔らかくしていていた。

しかし富田とのSEXと比べればかなり微弱なオナニーでの快感は、果歩を余計に欲求不満にさせていたのであった。

自分で身体を慰めれば慰める程、富田への依存心と性への欲求は増えるばかり。

果歩自身もそれは分かっていた。分かっていたがオナニーを我慢する事はできなかったのだ。

我慢しなければ溜まっていく欲求不満が限界を超えて爆発してしまいそうで怖かった。

でも疼く身体は目先の快感、オナニーでの快感を我慢する事はできない。

辛かった。

この溜まったものを早く富田に解放してほしくて仕方なかった。

今なら富田さんの顔を見ただけで、声を聞いただけでイってしまうかもしれない・・・
果歩は本気でそう思っていたし、それだけ精神状態は限界に達していた。

そんな辛い日々を過ごし精神的に弱っていた果歩、その果歩に救いの手を差し伸べてくれたのが同じ大学の友人、後藤と裕子であった。

元気のなかった果歩のために飲み会をセッティングしてくれた後藤と裕子。

涙が出る程嬉しかった。

自分の事を心配してくれる人が他にもいた・・・自分の事を考えてくれている人がいた・・・それが果歩にはとても嬉しい事であったのだ。

日曜の夕方、その飲み会は駅から少し離れたカジュアルな洋風レストランで行われた。

大学で同じ学部の20人程度が集まった。幹事は後藤と裕子、もちろん表向きは果歩のための飲み会ではなく、単なる学部で仲の良いメンバーでの飲み会という事になっている。

後藤 
「おぉ水野飲んでるかぁ?今日はパアっと飲んで嫌な事は全部忘れようぜ。」

果歩 
「う、うん・・・ありがとう後藤君。」

果歩の隣の席に座った後藤が明るく声をかけてくる。

自分を元気付けようと気を配ってくれているのだと、果歩は素直に思い、嬉しい思いだった。

裕子 
「ちょっと後藤君、果歩ちゃんあんまりお酒飲めないんだから無理させちゃダメでしょ。」

後藤 
「え?そうなの?まぁ今日は水野が酔い潰れても俺が介抱してやるから大丈夫だよ、な?ハハッ!」

裕子 
「なんかイヤらしい・・・後藤君って。」

後藤 
「おいおい、変な事言うなよ。水野が勘違いするだろ?」

裕子 
「なーんか怪しいのよねぇ後藤君は。今日は私がいっしょに帰ってあげるからね果歩ちゃん。」

果歩 
「フフッ・・・ありがとう裕子ちゃん。」

後藤は所謂イケメンで、よく女性にモテた。

180cm以上ある身長と、ニキビひとつ無い綺麗な肌、整った顔立ち。まるでモデルのようなその容姿と、持ち前の気さくな性格から、後藤に心奪われる女性は多い。

後藤とは今までそんなに話し込んだ事は無かった果歩。果歩の中で後藤はただ格好良い男の子という印象であったが、今日話してみて素直に優しくて良い人だと思った。

後藤の話は面白く、この店は酒も料理も美味しかったため、果歩は珍しく酒が進んでいた。

楽しかった。

久しぶりにこんなに笑った気がした。

近頃は泣いてばかりいたから。

後藤 
「おーい大丈夫かぁ?ったく・・・幹事が潰れちゃダメだろう・・・。」

酔い潰れて寝てしまっていた裕子を後藤が困った顔をしながら起こしている。

裕子 
「ん~ごめん大丈夫・・・大丈夫だから・・・。」

後藤 
「はぁ・・・水野はもう酔い冷めたか?」

果歩 
「私は大丈夫だけど・・・裕子ちゃんホントに大丈夫?」

裕子は立っても足元がふらつく程酔っていて、これでは歩いて帰れないと判断した後藤はタクシーを呼ぶ事にした。

そしてタクシーには裕子と同じ方面に帰る他の女の子が同行することに。

後藤 「じゃあ悪いけどこいつの事頼むな。」

   
「うん、任せて。後藤君と果歩ちゃんも気をつけて帰ってね。」

飲み会の参加者全員が帰宅の途についたのを確認した後藤は、まだ残っていた果歩に声を掛ける。

後藤 
「水野、もう遅いし送っていくよ。」

果歩 
「ぇ・・・?大丈夫だよ、私そこまで酔ってないから。」

後藤 
「酔ってなくてもこんな遅くに女の子を1人で帰らせる訳にはいかないよ、危ないし、送ってくよ。」

果歩 
「・・・ありがとう・・・後藤君。」



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