「じゃあ果歩、バイト頑張ってね。」
「うん、じゃねぇ知子ちゃん。」
大学を終えた果歩は知子と別れて、アルバイト先のトミタスポーツへ向かった。
トミタスポーツの仕事にも慣れてきた今日この頃。
いや、慣れるというか、トミタスポーツでの仕事は今のところ受付だけで、高い時給のわりに楽な仕事。
高い時給はもちろん嬉しかった果歩だが、遣り甲斐(やりがい)という面では若干物足りなさを感じていた。
トミタスポーツの建物に着いた果歩はスタッフ用の入り口から中へ入る。
「おはようございま~す」
次々と顔を合わせる男性スタッフにあいさつをしていく果歩。
ここのアルバイトを始める時は女性スタッフが少ないとは聞いていたが、仕事を始めてみると、マッサージ室に1人と、事務に1人、そしてアルバイトの果歩、女性はこの3人だけだった。
それに他の2人は毎日いるわけではなく、週一くらいしか出勤しなかったため、実質ここのスタッフで女性は果歩だけのようなものだった。
ここでの仕事服、トミタスポーツのロゴがはいっているTシャツとハーフパンツに着替えるため果歩は更衣室へ向かった。
「お~い、果歩ちゃん!ちょっと待って!」
「え?」
遠くから駆け寄ってくる誰かに名前を呼ばれた果歩、後ろに振り返った。
「え、キャッ!!と、富田さん・・・」
駆け寄って来きたのは、ここのオーナーでもある富田だった。
果歩が悲鳴に似た声をあげたのは、富田の格好を見たからである。
プールで水泳のインストラクターをしていた富田は水着姿であった。
しかもその水着は男性用のビキニの水着のようだったが、普通のビキニタイプではなくて、いわゆるブーメランタイプと呼ばれる水着で、中学、高校時代に水泳の授業で男子が着ていた物よりもかなり際どい水着だ。
富田のその姿を一瞬見た果歩は目をそらして顔を赤くした。
「と、富田さん・・・あの・・・な、なんでしょうか?」
「ハハッ、おいおい果歩ちゃん何恥ずかしがってんの?ここじゃこんな格好普通だぜ?」
「は、はい、すみません……あの、それで?」
いぜん目線を富田の身体から逸らしたままの果歩。
「あぁ、果歩ちゃんさ、今日から受付の仕事じゃなくてプールの監視員の仕事してほしいんだけどね。」
「監視員、ですか?」
「そうそう、まぁ大して難しい仕事じゃないんだけどね。決められたルール守ってない人とかを笛を吹いて注意したり、誰か溺れたりしてないかチェックする係なんだけどさ。」
「そうなんですか……はい、わかりました。」
「そろそろ受付の仕事にも飽きてきてただろ?」
「エヘヘ、はい、ちょっと。」
果歩は悪戯っぽく笑顔をつくって言った。
確かに受付の仕事は飽きてきたと思っていた果歩、新しい仕事を与えてもらえたのは正直嬉しかった。
「よし、じゃあこれに着替えて。」
そう言って富田は手に持っていたビニール製の袋を果歩に渡した。
「あの……これは?」
「水着だよ。」
「えっ、水着になるんですか!?」
「そうだよ?プールでの仕事だから、もしかして水の中に入ってもらう事もあるかもしれないしね。」
「はぁ、そうですかぁ……でも……」
「さぁさぁ!着替えて着替えて。」
「……はい、分かりましたぁ……。」
笑顔で急かすようにそう言ってくる富田。
果歩は考える余地もなく水着の袋を持って更衣室に入っていった。
まさか今日自分が水着姿になるなんて予想もしていなかった。
・・・どうしよう・・・水着なんて・・・
・・・でもなんだか断りづらいし・・・はぁ・・・
ため息をしながら袋の中を見つめる果歩。
「果歩ちゃ~ん!着替えたら仕事の説明するから早くしてねぇ!」
ドアの向こうから富田の声が聞こえる。
「は、は~い!」
・・・んもう・・・しょうがないかぁ・・・
果歩は意を決して自分の着ている服に手を掛けた。
更衣室の前ではブーメランタイプの水着姿で富田がニヤニヤと不適な笑みを浮かべていた。
(果歩の水着姿かぁ・・・へへッ・・・どんな身体してんのか楽しみだぜ・・・それにしても・・・ありゃ押しに弱いタイプだなぁ・・・もうちょっと強引にいっても良さそうだな・・・)
ヤダ・・・ちょっと・・・この水着・・・私には小さいよぉ・・・
身に着けていた衣服をすべて脱いだ果歩はさっそく渡された水着を着てみた。
果歩は今まで夏にプールや海に行くような習慣はなかったので、水着になるのは高校時代の水泳の授業以来だ。
その当時着たのはスクール水着で、海やプールにも行かない果歩はスクール水着以外の水着はほとんど着た事がなかった。
そして今、富田に渡された水着、それは競泳用の水着だった。
こうした水着は水泳で鍛えている女性が着れば、イヤらしさなどほとんどないのかもしれないが、果歩のようなまったく水泳に縁がないような女の子が着ると妙にイヤらしく見えてしまう。
それにこの水着、果歩には少し小さいようだった。
身体が全体的にきつい感じがしたし、恥ずかしかったのは股の部分がハイレグタイプだった事だ。
結構角度が深い・・・果歩のアソコの毛は薄くて範囲も小さかったため、毛がはみ出してしまうようなことはなかったが、少しズレたら・・・と思うと少し怖い。
それにサイズが小さいためか、お尻の割れ目の部分に水着が少し食い込んでしまう。
更衣室にあった鏡で自分の水着姿を確認する果歩。
・・・あ~・・・ダメ・・・ダメだよ・・・こんなの人に見せられないよ・・・
真っ白な身体に食い込む黒い水着、そんな自分の水着姿に果歩は顔を赤くする。
他のに・・・他の水着に変えてもらおう・・・こんなのダメだもん・・・
果歩はドアに近づき、外にいる富田に声をかけた。
「あのぉ・・・富田さ~ん」
「ん?どうしたぁ?もう着替えた?」
「いえ…あの…この水着、私にはちょっと小さいみたいなんですけど・・・」
「え~マジ?いやぁ女性スタッフ用の水着それしかないんだよねぇ。あ、でも大丈夫、上からTシャツ着ればいいからさ。な?それならいいだろ?」
「Tシャツですかぁ?ん~・・・」
「大丈夫大丈夫、Tシャツ着ちゃえば水着姿なんてほとんど見えないんだから。」
「え~でも…」
「ハハ、大丈夫だって、秋絵ちゃんもそうしてたから。ね?ほら、早くしないと時間ないし。」
「ん~…わかりました…」
ガチャ・・・
それから少ししてから、更衣室から果歩が出てきた。
富田に言われた通り果歩は、渡された競泳用水着の上にTシャツだけを着た姿で現れた。
・・・はぁ・・・でもやっぱり恥ずかしいよぉ・・・
「さ!じゃあ行こうか。」
顔を赤くして恥ずかしがっていた果歩に対し、そんなことはまったく気にしていないかの様に富田はそっけなくそう言った。
「は、はい・・・」
Tシャツは着ているものの、ハイレグの股部分や、食い込んだお尻の部分がチラチラ見えてしまっている。
いっしょにプールへ向かう二人。
富田は果歩に気づかれない様に横目でそっと果歩の身体を見た。
(ハハ、こりゃおいしそうな身体してるぜ・・・)
果歩の真っ白な脚と、果歩が自分でTシャツを少し引っ張って隠そうとしている水着姿の下半身を、イヤらしい目線で見つめる富田。
(それにしても、あんな小さい水着、もしかしたら断固拒否されるかと思ったんだけどなぁ。ハハ、こりゃ先が楽しみだわ)
富田は心の奥から沸いてくるイヤらしい笑みを堪えることができなかった。
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