「ん?どうした?果歩ちゃん。」
「え?い、いえ、なんでもないです。」
そんなに大きな染みじゃないし、しっかり見られない限り気付かれないかな。
富田から呼ばれているのだ、この監視台から降りないわけにはいかない。
しかたなく椅子から腰を浮かせて、監視台の梯子(はしご)から降りていく果歩。
登っていく時同様、下にいる富田にお尻を向ける格好だ。
さっきと同じように富田はジロ~っと目線を果歩の下半身に向けいる。
(ん?ハハっ、果歩のやつ、妙に俺の方チラチラ見てるなって思ったら。ハハッ、こりゃいいわ。)
富田はさっき監視台に登っていくときにはなかった染み、プールに入ってもいないのに濡れている果歩の股間の小さな染みを、富田は見逃さなかった。
その染みを見つけた時、富田はイヤらしい笑みを堪えることができなかった。
監視台から降りてきた果歩をイヤらしい笑みを浮かべながらジッと見つめる富田。
「あ、あのぉ?」
「ん?あぁごめんごめん。ハハッ、ちょっと果歩ちゃんの水着姿に見惚れちゃってたよ」
「えっ?」
その言葉を聞いて顔を赤くして恥ずかしがる果歩。
「いやぁ、うちのジムほとんど女性会員いないからさ。ごめんごめん、ついつい果歩ちゃん可愛いからさ。」
「は、恥ずかしいです…あんまり見ないでください…」
果歩はTシャツの裾を引っ張りながら水着の股部分を隠しながら恥ずかしそうに言った。
富田の見惚れちゃってたよ、という言葉、さっきから熱くなっていた果歩の身体は落ち着くどころか、そんな言葉をかけられただけでさらに身体は熱くなり、鼓動は速くなる。
「ハハっ果歩ちゃん、見ないでくださいって言ってもお互い様だろ?」
「え、お互い様ですか…?」
一瞬、富田が言ったことの意味が理解できなかった果歩。
「果歩ちゃんもずっと俺の身体見てたんだろ?」
「え?」
「さっき監視台からすっげぇ視線を感じたからよ、ダメじゃん、お客さんをちゃんと監視してなきゃ。」
顔を急激に真っ赤にする果歩。
「あ、あの…す、すみません…」
「ハハっ!いいのいいの!女の子だってそういう気分の時もあるよなぁ。ハハッ!」
「と、富田さん…」
まさかずっと富田の身体を見ていた事に気付かれてたなんて、果歩はどうしようもなく恥ずかしい思いだった。
「ハハッ!いいよいいよ、気にしないで、見られて減るもんじゃないから。」
「……。」
果歩の目はウルウルして今にも泣き出しそうな雰囲気だ。
「さぁ!水質検査の道具、置いてある場所教えるからついて来て。」
「ハ…ハイ…」
果歩は顔を赤くしたまま小さな声で返事をして富田の後についていった。
「え~っと、ここだな。果歩ちゃん、ちょっとこっち来てみな。」
「は・・・はい・・・。」
果歩が富田に連れてこられたのは、いろいろな道具が置いてある小さな倉庫のような部屋だった。
狭い部屋の中に入った2人の距離は密着しそうなくらい近くなっていた。
「ここに、水質検査の道具が全部置いてあるから。」
「はい・・・。」
道具の場所を目で確認する果歩。
しかし、その目が一瞬、富田の股間にいってしまう。
間近で見る富田の逞しい身体・・・さっき富田から指摘されたにもかかわらず、反射的に富田の股間を見てしまう果歩。
富田の臍(へそ)のあたりから股間の方へ向かって生い茂る濃い毛並みは、どこからが陰毛なのかわからない。
そしてその下にあるブーメランタイプの水着の膨らみは、近くで見ると驚くほど大きく感じた。
果歩はほぼ無意識のうちに富田に気づかれないようチラっと一瞬見ただけだったが、富田はその一瞬の果歩の目の動きを見逃してはいなかった。
(ハハ、こりゃもう確実にいけるな)
自信に満ちた富田の表情。
富田の計画が成功することが、自信から確信に変わった瞬間だった。
検査道具を持ち出し、プールの側で検査道具の使い方を果歩に説明する富田。
「ほら、そんなに難しくないだろ?」
「は、はい・・・。」
「それじゃ次回から水質検査は果歩ちゃんの仕事な。」
「はい、わかりました。」
プールの側にしゃがんでいた2人だったが、富田が急に果歩の前に立ち上がった。
その時、ちょうど富田の股間が果歩の目の前にくる位置になってしまった。
「えっ?」
しゃがんだまま顔をあげた果歩は、顔の高さと同じ、目の前にあるビキニの膨らみに一瞬、目が釘付けになってしまう。
「果歩ちゃん?どうした?」
「え!?い、いえ!なんでもありません・・・。」
動揺した様子で果歩はその場に立ち上がった。
「さて、時間も時間だし、果歩ちゃんの今日のバイトは終了にしようか。」
「は、はい・・・ありがとうございました。」
そう言って、使った検査道具をさっきの部屋へ片付に行く二人。
「それにしてもいいよなぁ。」
ふと、富田が口を開いた。
「え?なにがですか?」
「果歩ちゃん、スタイルいいよなぁ?」
「え・・・」
急にそんな事を言われてまた顔を赤くする果歩。
「いや、冗談抜きで。友達とかによく言われない?」
「い、いえ・・・そんな・・・普段水着になることもないし・・・それに私スタイルなんて・・・よくないです・・・」
恥ずかしそうにそう答える果歩。
それは正直な答えだった、果歩は自分のスタイルが良いなんて思ったことはなかった。
「ハハッいやいや、肌も白いし、凄く良いと思うよ?それにこれだけ元が良いなら、トレーニングしたらもっといいスタイルになるぜ?」
「トレーニング・・・ですか?」
「あぁ、秋絵ちゃんもやってるトレーニングなんだけどね、俺が考えた特別メニューのトレーニング。」
「秋絵先輩もですか?」
「そう、果歩ちゃんもトレーニングすればもっと大人っぽいスタイルになれるよ。」
「そ、そうなんですか。」
大人っぽい・・・確かに秋絵は大人っぽかった。
同姓の果歩でも秋絵からは何か色気のようなものを感じる。
「まぁまた休みにでも時間あったら試してみてよ、果歩ちゃんなら特別に無料で教えるからさ。」
「はい、ありがとうございます。」
大人っぽいスタイルになるトレーニング・・・それがどんなものなのか、今の果歩には想像もつかなかった・・・。
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