官能小説 人妻 吉井香苗(11)

しかし2人からのその提案に、香苗はどうしても乗り気にはなれなかった。

香苗 
「ご、ごめん私、明日朝から色々とやらないといけない事あるから……。」

恭子 
「朝からって、祐二さんが帰って来るからですか?」

香苗 
「う、うん、一応ね……。」

中嶋 
「旦那さん想いなんですねぇ、ますます旦那さんが羨ましい。」

香苗 
「そんなに大した事ではないんですけどね。」

本当の理由はそれだけではない、中嶋に対して生まれている警戒心が、早く自分の部屋に戻りたいという気持ちにさせていたは確かだった。

恭子 
「そうですかぁ、でもまた何時でもできますしね。お隣同士なんだし。」

香苗 
「そうね、またいつでもできるわ。」

中嶋 
「次はぜひ旦那さんも。」

香苗 
「そうですね。」

片付けを終えた頃には時計は0時を回っていた。

帰る香苗を玄関まで見送りに来た中嶋と恭子は仲良さげに肩を寄せ合っていて、まるで新婚の夫婦のよう。

恭子 
「今日は美味しい料理ありがとうございました。」

香苗 
「いえいえ、こちらこそ美味しいお酒ありがとね。」

中嶋 
「奥さん、旦那さんに宜しく言っておいてくださいよ。」

香苗 
「はい。今日はホントに楽しかったです、また今度やりましょう。それじゃおやすみなさい。」

恭子 
「おやすみなさ~い」

軽い挨拶をして恭子の部屋を出た香苗はすぐ隣、自分達の部屋のドアを開けて中に入っていった。

香苗 
「……ふぅ……」

自宅の玄関で香苗は思わず深く息をつく。

香苗はなんだか妙に疲れを感じていた。

久しぶりにお酒に酔っているからだろうか、それとも中嶋にあんな事を言われたからだろうか。

キッチンへ行き、冷蔵庫を開け、ボトルに入った冷えたミネラルウォーターを口に含む。

香苗 
「……はぁ……」

アルコールで少し火照った身体がなんだかだるく感じる。

鏡に映っている火照った自分の顔を確認して、熱くなっている頬っぺたを手で触りながら、香苗は中嶋の言葉を思い出していた。

……奥さんも色々と溜まるものもあるでしょう……

……美味そうな身体してるよなぁ……

香苗 
「……何言ってるのかしら……あの人……。」

今1人になって冷静に考えてみればみる程、中嶋という男が下品に思えてきた。

あのニヤけた表情。

中嶋に言われた言葉を思い出すだけで、なんだか今まで感じた事のないような変な気分になる。

不快感?嫌悪感?違う、そんなんじゃない。

……なんなのよ……

まだ今日会っただけなのだが、香苗にはどうしてあのような男性が恭子のような真面目な女性と恋仲になれたのか疑問に思えてきていた。

もちろん、ああいった男性が恭子のタイプだというだけの話なのかもしれないが。

香苗に対するセクハラ的な言葉も、もしかして中嶋にとっては日常茶飯事でごく普通の挨拶のようなものなのかもしれない。

それでもあんな事をストレートに男性に言われた事など香苗は今までなかったのだから、驚いてしまっても仕方ないだろう。

そんな事を考えると、何かちょっと、恭子と中嶋が別の世界の人間であるかのように感じてしまう香苗。

同じ男性でも祐二とは全く違う人間性を感じる中嶋、そしてその男を恋人として選んでいる恭子に距離を感じたのだ。

香苗 
「恭子さんも、変ってるわよね……。」

そんな事を呟きながら、香苗はミネラルウォーターのボトルを片手に何気なくリビングから窓の外を見た。

香苗 
「あらやだ!洗濯物っ!」

ランダに祐二のシャツを干したままにしていた事に気付いた香苗は、思わずそう声を上げ、慌てて窓を開けてベランダに出た。

香苗 
「あ~ん、ちょっと湿気吸っちゃったかなぁ……明日もう一度陽に干さないと。」

干されていたシャツの生地を触り、残念そうにそう呟いた香苗は、洗濯物を一度部屋に取りこむために物干し竿から外そうとした。

と、その時だった。


「アッアッ……ンァ……ハァ……ダメ……ハァ……アッアッ……!」

香苗 
「……!?」

何処からともなく聞こえてきた、誰かの声。

……ぇ?……

洗濯物を手で掴んだまま動きを止めた香苗は、そのままその場で耳をすましてしまう。


「ァハァ……アンッ…アッアッスゴイ……ああ……」

香苗 
「これって……」

その声が女性の喘ぎ声だという事にすぐ気付いた香苗は思わず口に手を当てた。

この喘ぎ声が恐らくあの行為の最中のものである事は、大人の女性である香苗には当然簡単に予想の付く事である。

しかし香苗が驚いている原因はそれだけではない。

それは香苗がその女性の声に聞き覚えがあるという事と、その声は明らかに隣の部屋から聞こえてきていたからだった。

コメント

  1. ナオト より:

    SECRET: 0
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    更新楽しみにしてます

  2. ゆっきー より:

    SECRET: 0
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    はじめまして。いつも楽しく拝見しています。
    また時間を見つけて、遊びに来させて頂きますね!

  3. メンメン より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    コメントありがとうございます。

    今回の小説は、より実用的な展開を目指していますので多くの方に気に入ってもらえるように頑張りたいと思います。

    更新頑張ります!

  4. メンメン より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    コメントありがとうございます。

    初めましてこんにちは。

    なるべく更新は途切れないように頑張りたいと思っていますので、ぜひいつでも来て物語を楽しんで頂けたらと思います。

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