祐二は隣でグッスリと眠りについている。やはり仕事で疲れが溜まっているのか少しイビキも掻いているようだ。
香苗
「……」
もう時計が0時を回ってから大分経っていて、すっかり夜中だ。
香苗もいつもなら疾うに寝ている時間帯である。
……どうしよう…寝れないわ……
子供の頃から大人になるまで、両親の教育のお陰か至って健康的な生活を送ってきていた香苗。
夜更かしなどはなるべくしないようにしていたし、規則正しい生活で夜眠れなくなる事なんて殆ど無かった。
それが昨日に引き続き今日もこんなに眠れなくなってしまうなんて、香苗にとっては珍しい事であった。
そうだ……香苗は昨日も同じように寝れなかったのだ。
身体の中に溜まっていたモヤモヤとしたモノがどうしても解消できなくて。
そして今香苗が眠れない原因も、実は昨日と同じであった。
香苗
「……はァ……」
隣で祐二が眠るベッドを抜け出した香苗は、リビングで温かいお茶を入れて口に含んだ。
……どうしてなの?……・
寝間着の上から自分の下腹部にそっと手を当てる香苗。
香苗は自分自身の身体に戸惑いを感じていた。
……さっき祐二としたばかりなのに……
そう、先程祐二と性的交わりを終えたばかりだというのに、未だに香苗の身体にはモヤモヤとしたモノが残っていたのだ。
いや、今やモヤモヤなんて生易しいモノではない。
それは昨日よりも、そして今日祐二と交わる前よりも酷くなっていたのだ。
身体が疼いて疼いてたまらない。
思わずテーブルの下で腿と腿をすり合わせてしまう香苗。
……イヤ…どうして……
祐二とのSEXに幸せを感じていたのに、満足感を感じていたはずなのに、香苗の身体はまだまだ足りないと言わんばかりに疼いている。
香苗
「……ハァ……」
どうして?と、心の中で自問する香苗であったが、それは決して香苗の本心ではなかった。
本当は心の奥にある気持ち、香苗の本心はその答えを何の疑いもなく知っている。
香苗は…もっと多くの性的快感を欲していたのだ。
そして香苗は今、逃れようのない現実にぶつかっている。
〝自分は、いや、自分の身体は祐二とのSEXに満足していないと〟
香苗は今、女性の身体に生まれて初めて感じているのであった。性的な欲求不満というものを。
香苗
「……ダメ……」
香苗は思わず首を横に振った。
認めたくなかったのだ、そんな風に夫のSEXに不満を抱き、身体を発情させている自分を。
そして香苗は今心の中で闘っていた。
どうしようもない程に自身の股間に手を伸ばしたくなっている自分と。
香苗
「……ァァ……」
自分の意思とは関係なく、頭の中に淫らな妄想が勝手に拡がっていく。
……イヤ……ダメよ…ダメ……
拒否すればする程、駄目だ駄目だと自分に言い聞かせる程、なぜかそれはエスカレートしていってしまう。
香苗の脳内に拡がっていく妄想は徐々に鮮明な映像に変わっていく。
そしてその映像の中に今ハッキリと1人の男の姿が現れたのであった。
香苗
「……ゴクッ……」
その瞬間思わず生唾を飲み込んだ香苗。
香苗の頭の中に現れた男、それはもちろん夫の祐二ではない。
祐二よりも大きく逞しい肉体、あのイヤらしい目付き、言葉……何かは分からないが、明らかに同じ男性でも祐二からは感じない何かを持っているあの男。
そう……それは中嶋だ。
中嶋が頭の中で香苗に声を掛けてくる。
中嶋 『どうしたんですか奥さん、そんな顔して……』
香苗 『ぇ……?』
中嶋 『へへっ……惚けたって俺にはすぐに分かるんですよ、奥さんが今何を考えているのか。』
香苗 『な…何を言ってるんですか……』
中嶋 『奥さん…ホントは凄くエッチなんでしょ?俺奥さんの顔を一目見た瞬間に分かりましたよ。あ~この女エロいだろうなぁ……飢えてるんだろうなぁ……てさ。』
香苗 『……イヤ……』
中嶋 『奥さん正直に言ってくださいよ、いつも我慢してたんでしょ?旦那との退屈なSEXに』
香苗 『……そんな事……』
中嶋 『ほら、今だって顔に分かりやすく書いてあるじゃないですか。〝私は欲求不満な女です〟ってさ。』
香苗 『……』
中嶋 『いいんですよ奥さん、俺の前では本性を剥き出しにして淫らになっても。』
香苗 『……中嶋さん……』
中嶋 『ほら…我慢しなくていいんです。』
香苗 『……ン……』
中嶋 『そう、手を奥さんの一番エッチな所へ……思う存分気持ち良くなればいいんです。』
香苗 『ハァ……ァァ……』
香苗は妄想の中にいる中嶋の指示通りに自ら手を寝間着の中、疼いて疼いて仕方ない秘部へと持っていってしまう。
……もう……ダメ……我慢できない……
クチュッ……
指先に感じた湿った感覚、香苗のアソコは自分でも信じられない程濡れていた。
その原因が今香苗の頭の中にいる男の存在にあるという事は、香苗自身も疑いようの無い事実であった。
香苗の身体は中嶋に濡らされていたのだ。
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