菜穂が天野の秘書として働き始めてから1ヶ月が過ぎようとしていた。
当初は週に3~4日の出勤という話だったはずだが、それがいつの間にか平日は毎日、時には土日にも菜穂は天野に呼び出されるようになっていた。
そしてその度に、菜穂は天野や近藤に身体を捧げていた。
まさにセックス三昧の毎日。
そして天野と近藤による調教で、菜穂の身体はすっかり過敏体質に変わり果ててしまっていた。
乳首や陰核など、元からの性感帯だけではなく、背中や腕や脚を触られただけでも感じてしまう。
もっと言えば、菜穂は天野の顔を見たり声を聞いたりするだけでアソコをグッショリと濡らしてしまうほどに調教が進んでいた。
天野の調教は身体だけではなく、頭の中、脳にまで及ぶ。
天野に対しては絶対従属、命令は必ず守らなければならないと、菜穂はマインドコントロールに近い形で脳を支配されてしまっていた。
当然、それだけの事をしておいて、ほかの生活に影響が出ない訳がない。
菜穂が帰りが遅くなったり休日に天野に呼び出される度に、育児は夫の智明にやってもらっていた。
その替わりに智明は会社からの指令で定時帰宅の日が多くなったものの、智明がそれに対して何も思わない訳がない。
菜穂の秘書としての給料はかなり高い。だから智明の残業時間が減って給料が多少下がっても、菜穂が働いている分、寧ろ家計の収入は倍増している。
しかし家族で過ごす時間は極端に減っていた。
「菜穂、ちょっと話したい事があるんだけど、今いいかな?」
ある日の夜、家で智明は菜穂にそう声を掛けて話し始めた。
「菜穂の仕事の事なんだけどさ、最近ちょっと働き過ぎじゃないか?」
「……」
「なんとなく元気がないようにも見えるし、疲れてるのかなぁって、ちょっと心配でさ。」
「……そんな事ないわ。大丈夫よ、心配しないで。」
「本当に?それに菜穂さ、最近ちょっと痩せたんじゃないか?秘書の仕事で何かストレスが溜まるようなことやらされてるんじゃ……」
「ううん、そんな事ないし、ストレスはないわ。天野部長は本当に私に良くしてくださってるの。それに働き始めて分かったんだけど、私、専業主婦よりも外に出てた方が気持ち的には楽みたいなの。」
「そ、そうか……でもさ……」
「智明は私に家に居てほしいの?正直私、家に籠りっぱなしじゃ腐っちゃいそうなのよ。」
どこか機嫌が悪いような菜穂の言い方に、智明は慌てて笑顔を作ってフォローを入れた。
「いや働くのは全然良いんだよ。菜穂がそんなに今の仕事に遣り甲斐を感じているなら尚更。でもさ、出勤日数が多すぎやしないか?ほら、最初は週に3日くらいって話だったろ?それが最近は毎日じゃないか。」
「……。」
「それにさ、最近晩御飯も惣菜屋で買ってきたものばかりだろ?ほら、菜穂は料理が好きだったじゃないか。子供達にもさ、やっぱり母親の温かい料理を食べさせた方がいいじゃないかな。」
「……それは……仕方ないじゃない……今の世の中そんな家庭は沢山あるわ。
ねぇ智明、これから景気がどうなるか分からないし、また前の会社みたいな事になる可能性だってゼロじゃないと思うの。家のローンだけじゃなくて、子供達はまだ小さいし、大学卒業までは沢山お金が掛かるわ。だから私も働ける職がある内に沢山働いておいた方が良いと思うのよ。」
「ま、まぁ、それはそうだけどさ……」
「私……先が見えない、あんな辛い想いはもうしたくないの。智明だってそうでしょう?」
「菜穂……」
それを言われたら智明は何も言い返せない。
確かに菜穂の言う通り、もうお金の事で苦労はしたくはない。今の内に将来のために貯金を増やしておく事は大切だ。
しかしそれでも智明は心配だった。
お金は大切だが、今のままでは家族がバラバラになってしまいそうで不安だったのだ。
なんとなく、以前までの菜穂なら
「お金なんかよりも、毎日手作りの料理を家族に食べてもらう方が大切だと思うわ」
と言っていたような気がする。
なんだか菜穂の性格が少し変わってしまったように感じるのは、自分が職を失って菜穂にあんな苦労を掛けたからなのだろうかと、智明は責任を感じていた。
そしてその翌日……
「そうですか、やはり小溝君が聞いてきましたか。で、菜穂は私が指示した通りにちゃんと説明したんでしょうね?」
「ん…はァ…はい……将来のためにお金が必要だから…またいつ景気が悪くなるか分からないからって…天野部長には良くしてもらってるから大丈夫って…ハァ……」
「よしよし、そうやって菜穂は私の言った通りに対応していればいいですからね。そうすれば小溝君に菜穂が秘書としてどんな仕事をしているかはバレる事はありませんから。」
「はい…ん……チュパ……」
菜穂にフェラチオをさせながら笑みを浮かべる天野。
菜穂の事を呼び捨てするその様子から、この2人の従属関係がさらに深まっている事が分かる。
「しかし、このままではいずれ小溝君には勘付かれてしまうでしょうねぇ、小溝君も馬鹿ではないでしょうから。」
「そうなったら少し面倒臭い事になりますよ。天野部長、ここは早めに何らかの対応をしておくべきです。」
横にいた近藤が天野にそう言った。
「そうだねぇ、折角菜穂が私の物になったのに邪魔をされては不快だからなぁ。近藤君、君に何か考えがあるのかね?」
「はい、簡単な事ですよ、小溝にはしばらく遠くに行ってもらうんです。邪魔者にはややこしい事はせずに消えてもらうのが一番ですから。」
「あーなるほどねぇ、確かにそれが手っ取り早いのかもな。菜穂、お前はどう思う?今夫が居なくなったところで別に困らないだろう?」
「はァ……いなく……なるんですか?」
「そうさ、お前も小溝君に私達の関係を邪魔されたくはないだろう?」
「……はい……」
「ハハッ、そうだよなぁ、お前には私がいるんだから本当はもう夫なんていらないはずなんだよなぁ。よし、ではすぐにそのように手配しよう。」
菜穂は天野のその言葉を聞いて、複雑な表情をしていた。
「大丈夫だよ菜穂、子供達の事は家政婦でも雇って任せればいい。金は私が全て払ってやる。」
「……ハイ……。」
「そのかわり、これからはもっと忙しくなるからな。なんせ我が社の取引先には、お前のその淫乱な身体を味わいたがってる人間が大勢いるんだ。この前連れていったパーティーでも菜穂は大人気だったからなぁ。」
「……」
「私がたっぷり調教してやった身体だ。それを存分に使って私や会社の利益に貢献するんだぞ、菜穂、分かったな?」
「……」
「おい菜穂!ちゃんと答えんか!」
「は、はいっ!私……会社のため、天野部長のために…これからも一生懸命働かせてもらいます……」
「そう、それでいいんだよ、菜穂。お前の身体はもうお前の物じゃない、意思なんて持つ必要はない。ただ私に従っていればいいんだ。そうすればそれ相応の金と快楽と女としての幸せをこれからも与えてやる。フフフッ、分かったな?」
「……はい……」
天野の言う事にそう素直に答える菜穂の瞳は、輝きを失っていた。
智明と結婚した時の喜び、2人の子供を出産した時の喜び、幸福感。
家族への豊かな愛情を持っていた菜穂の優しげな瞳は、もうすでにそこには無かった。
それらを、菜穂は全て天野のセックスによって破壊されてしまったのだ。
麻薬に手を出した人間の生活や人生が破壊されていくのと同じように、菜穂は大切な物を失ってしまったのだ。
そして菜穂の夫、智明に海外転勤の指令が出たのは、それから数日後の事であった……。
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