「小溝、今日は定時で上がれよ。」
「え?なんでですか?」
「知らん、上からの指示だ。お前残業のし過ぎじゃないのか?」
その日、智明は突然上司から定時退社するよう命じられた。
まだ今月はそれ程残業時間は溜まってないのに……と不思議に思いながら智明は帰り支度をしていた。
とは言え、この会社に勤め始めてからはずっと働きづめだったから、定時帰宅は素直に嬉しかった。
「久しぶりに子供達と晩御飯が食べられるな。菜穂ももう家に帰ってきてる頃かな。」
今日から菜穂は天野部長の秘書として働き始めている。
――菜穂はちゃんと秘書の仕事をこなせたのだろうか――
元々関連企業のOLだったとは言え、結婚、家事、育児でブランクは長い。
だから智明は菜穂の事を少し心配していた。
――あまり無理をしてなければいいけど――
すると智明が会社を出ようとした所で菜穂から電話がかかってきた。
「もしもし、菜穂?どうした?」
『……ん…はァ……』
「ん?菜穂?」
『……ご、ごめん、智明。』
『どうした?何かあったのか?』
電話越しの菜穂に急に謝られて少し驚く智明。
『……智明、近藤さんから聞いたんだけど……今日定時なんだよね……?』
「あぁ、そうだよ、だから今日は家族で久しぶりに晩御飯を」
『ごめん智明……あのね、子供を迎えに行ってほしいの。』
「え?菜穂はまだ家じゃないの?」
『……うん、まだ仕事があって……』
「まだ仕事?4時か5時には終わるって言ってなかったっけ?」
『そうなんだけど、やっぱり初日は色々と覚えないといけない事があって……もうちょっと時間が掛かりそうなの……だから……』
「そうか、大変だな……分かった、幼稚園には俺が迎えに行くよ。」
『うん、ごめんね。』
「そんな謝ることないよ、夫婦なんだからこういう事は協力してやってかないと。菜穂もこの前俺にそう言ったろ?」
『……うん…ンァ…ハァ……ダメ……』
「え?」
『……う、ううん!……ハァ、なんでもない……じゃあ子供達の事…お願いね』
「ああ、子供達と家で待ってるよ。」
『うん……ハァ…じゃあ後で…』
ブツンッ……プープ―……
「菜穂っ……あ~切れちゃったか。」
智明は電話越しの菜穂の声が少し疲れているように感じていたが、それを聞く前に電話は切れてしまった。
――軽い雑用をさせられるだけかと思ってたけど、秘書の仕事も結構忙しいのかもな。帰ってきたら菜穂に聞いて、あんまり大変そうだったら近藤に相談してみよう――
そんな事を考えながら智明は会社を出て駅へと向かった。
「それにしても子供を幼稚園に迎えに行くのは随分と久しぶりだな。お母さんじゃなくてお父さんが迎えに来たら、喜んでくれるかな。」
電車の中で我が子の笑顔を思い浮かべて、1人微笑む智明。
そして智明は窓の外の景色を眺めながらここ数年の事を思い出していた。
会社の倒産、そしてなかなか決まらなかった再就職。
今までの人生で一番辛い時期であった事は確かだ。
少し前までは全く心に余裕が持てていなかった。
それが打って変わって今はこんな穏やかな気持ちでいられる。
今は働く事も、家族といる時間も、全てが楽しくて幸せだった。
――それもこれも、今の会社を紹介してくれた友人の近藤と、天野部長のお陰だな――
智明は心から天野と近藤に感謝していた。
2人共自分をどん底から救ってくれた恩人だ、と。
しかしまさか今、その天野部長と近藤に、妻の身体を弄ばれているとは、智明は知る由もなかった。
「ハァ……んっんっあっあっ……」
「奥さん、小溝君は何と言ってました?」
「ハァ、子供を迎えに行ってくれるって……あっンァ…」
「それは良かった、じゃあ今日はもう少し楽しめそうですね。それより奥さん、近藤君にチンポを挿れられながら旦那さんと電話するのは、どんな気分でした?興奮しましたか?」
「……」
「ほら!答えろよ!」
バックの体位で繋がっていた近藤は、そう乱暴な言い方をすると、菜穂の尻を強く手で叩いた。
バチーンッ!!
「ああんっ!!」
菜穂の尻に近藤の手の跡がハッキリと残る。
「興奮してたんだろ?電話してる間もマン汁垂らしてチンポ締め付けてたしよ。」
「ハァ……ハイ……んァ……」
「ハハッ、奥さんは罪悪感でも興奮してしまうんですか?いやはや、これはどうしようもない淫乱マゾですねぇ。」
「ハァン……はァ……」
「おお、今またオマンコが締まったな。天野部長に淫乱マゾって言われて感じちゃったのか?」
「……」
「フハハッ、奥さん、やはり貴女は素晴らしい。これだけの美人で、素晴らしい家庭を持っていながら、本物のド変態なんですから。こちらとしても遣り甲斐がありますよ。これからもっともっと調教してあげますからね。」
「ハァ……調教……」
「そうですよ。奥さんの身体の穴と言う穴全て、全身を調教して、性欲処理専用の身体に変えてあげますからね。」
〝全身を……穴を全部……〟
天野の言葉に、身体がゾクゾク反応する。
「おお、また締まった。ハハッ、こりゃいいや。天野部長、これなら〝あの方達〟も気に入ってくれるんじゃないですか?」
「そうだね近藤君、きっと〝あの方達〟も喜んで下さるでしょう。秘書としても性奴隷としてもこれほど優秀な女は過去にいない。初日からよく頑張ってくれましたね奥さん。ほら近藤君、ご褒美にまた中出ししてあげなさい。さっきから奥さんの腰が突いて欲しそうにクネクネ動いてますよ。」
「ハハッ、了解しました。おい菜穂ちゃん、また中出しして欲しいのか?」
「ハァ……近藤さん……」
「あれほど身持ちが堅かった君が、まさか俺に中出しを強請る日が来るとはねぇ。へへ、さぁたっぷり突いてやるから沢山喘げよ!」
そう言って近藤は腰を激しく振り始めた。
「あっあっんああああっ!!!!!」
「チンポ気持ちイイか?マンコ気持ちイイか?」
「はァあああっ!!!近藤さんっああんっおチンポ気持ちイイです!!!オマンコっあっあっ気持ちイイですっあああああ!!」
ホテルの一室に、菜穂のあられもない声と、肉と肉がぶつかる音が鳴り響いていた。
この日菜穂は、1人の女として、人妻として、母親として、落ちて所まで落ちてしまった。
我欲に溺れた人間は、そのまま人生の下り坂を転がるようにして落ちていく。
菜穂は天野と出会ってから、短期間でここまで足を踏み入れてしまった。
それは、今まで自分でも気づかない内に心の奥に溜め込んでいた不安や不満が、あまりにも大きかったからなのかもしれない。
長年のセックスレス、夫の失業……
しかしどんな理由であれ、一度転がり落ちてしまえば、途中で止まる事は難しい。
なぜならもはや菜穂は、その落ちていく自分にさえ酔い痴れ、快楽を感じているのだから。
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