私はあの日の夜の事を斎藤君に謝ろうと思っていました。
しかし週明け、斎藤君は会社で私の顔を見るなり笑顔で声を掛けてきました。
「今井さんおはようございます!先週は飲み会に来てくれてありがとうございました。」
「え、あぁ、こちらこそ、凄く楽しかったよ。」
「今井さんあの後どうやって帰ったんですか?電車もうなかったでしょ?」
「うん、だからタクシーで帰ったよ。」
「そうだったんですか。すみません気がつかなくて、終電が来る前に俺が起こせば良かったですね。」
「いやそんな、寝ちゃった俺が悪いだけだから。」
「あっ、あと今井さん、あの事なんですけど……他の皆には言ってませんよね?」
斎藤君は周りには聞こえないように声を小さくしてそう聞いてきた。
〝あの事〟とはもちろん、斎藤君と伊藤さんの事だろう。
「も、もちろん、誰にも言ってないよ。ごめんよ斎藤君、私もあんなつもりはなかったんだ、そのなんて言うか……覗くつもりはなかったんだ。ただ君に声を掛けてから帰ろうと思って、それで……本当に申し訳ない。」
「いやいや謝らないでください、いいんですよ、あれくらいは。ただあんまり会社で噂とか広がっちゃうと困っちゃうんで。」
「そうか、そうだよね。でも驚いたよ、まさか斎藤君と伊藤さんが付き合っていたなんて、全然知らなかった。」
私がそう言うと、斎藤君からは意外な言葉が返ってきました。
「ハハッ、まぁ別に付き合っている訳ではないんですけどね。」
「え?そうなの?」
「ただのセフレですよ、セフレ。」
「セフレ……?」
私が少し驚いた顔をしていると、斎藤君はニヤっと笑みを浮かべてまた冗談っぽくこう言ってきました。
「あいつ、結構良い身体してたでしょ?」
私はどう反応すればいいのか、迷いました。
でも何となく、この会話が何かに繋がるような気がして、私は斎藤君のノリに合わせてみる事にしました。
あの夜、私は覗き見しながら伊藤さんを優子と重ねて興奮していた。
だから私はもっと知りたかったのだと思います。斎藤君の本性を。
「ハハ……そうだね。」
私は笑みを浮かべてそう答えました。
「でしょ?あいつ本当にエロいですよ、簡単にヤらせてくれましたしね。まぁヤリマンってやつですね。」
「そうなの?意外だなぁ、あの伊藤さんがねぇ。」
「女の普段の姿なんてあてにならないですよ。ベッドに入ったら皆豹変するんですから。まぁそれが良いんですけどね。」
優子も、斎藤君のような男とベッドに入ったら豹変するのだろうか。少なくとも私の前で優子はそんな姿を見せてくれた事はない。
「あ、そうだ。今井さんにだけ、良い物見せてあげますよ。これ、皆には秘密ですよ。」
そう言って斎藤君は携帯の画面を私にこっそり見せてきました。
そこには裸の女性の画像が映っていました。
しかもよく見ると、それは私もよく知っているこの会社の女性社員だったのです。
「ほら、他にもありますよ。」
そう言って画像を次々と切り替えて色んな女性社員の裸の画像を見せてくる斎藤君。
私は目を丸くして、ただただ驚いていました。
「す、凄いね、これ全部斎藤君が?」
「そうですよ、この会社に来てからもう8人くらいですかね。俺のコレクションです。まだまだ増やすつもりですけど。あれ?もしかして引いちゃいました?」
正直、私は呆れていましたし、引いていました。
学生ならともかく、社会人にもなってこんな事をしている男がいるなんて。
でも、馬鹿らしいかもしれませんが、呆れると同時に私はそれ以上に興奮していたのです。きっと私も斎藤君とは別のタイプの変態なのでしょう。
だからそんな私は、この話題に喰いつかない訳にはいかなかった。
「いやいや、羨ましいなぁと思って。それにしても驚いたよ、女の子の顔を知っている分、グッと来るね。」
「普段からのギャップが最高でしょ?」
「あぁ、良いね。堪らないね。」
「アハハッ、今井さんなら分かってくれると思いましたよ。いやね、本当は自分だけで楽しむために撮影しているんですけど、やっぱりこれも男の性なのか、誰かに自慢したくなっちゃうんですよね。それがまた楽しくて。」
「そうなんだ、まぁその気持ちも分からなくはないよ。」
「でしょ?ところで今井さんはどうなんですか?結構遊んでるんですか?」
「え、俺?俺には無理だよ、君みたいにイケメンではないしね。」
「そうですか?今井さんはそんな事ないと思いますけど。」
「いや、それに俺は結婚してるしね。」
「あ~やっぱり結婚してからだと色々厳しいですか?」
「ま、まぁね。」
適当に話を合わせていましたが、私は女性は優子しか知りませんし、女で遊んだ事も、風俗にさえ行った事はありません。
斎藤君は趣味を共有できる仲間ができたと思ったのでしょう(相当悪趣味だが)、終始嬉しそうに私に女性達の話をしてきました。
あの人はセックス依存症だとか、あの人はあの上司とも不倫をしているだとか。
女性社員達の意外な素顔を知り、私は興奮していました。
そして斎藤君はさらにこんな事を言ってきました。
「あ、そうだ。動画とかもあるんですけど見たいですか?実は写真より動画の方がかなり凝ってるんですよ。ちゃんと編集とかもしてますし。」
「編集まで?凄いね。」
「それこそ、その辺のAVには負ける気しませんよ。どうです?見てみます?」
変な自信持ってるなぁと、また内心呆れていたのですが、私の返事はもちろん決まっています。
「いいの?」
「もちろんですよ!じゃあ明日俺の自信作持ってきますから。」
そして翌日、斎藤君は私にUSBメモリを渡してきました。
「ぜひ感想聞かせてくださいよ。」
「あぁ、分かったよ、ありがとう。」
私はさっそく家の書斎のパソコンで、優子にバレないようにこっそりとその動画を見ました。
内容は……確かに凄かったです。
私が知っている女性社員達が、見事に斎藤君に喰われてる。
裸にされた女性達が、斎藤君のAV男優顔負けのテクニックの前にあられもない姿を晒していました。
きっと斎藤君は運動神経も抜群なのでしょう、とても素人とは思えない様なアクロバティックな体位で女性達を突いていました。
大股開きで恥ずかしい格好をさせられているの姿を見ていると、女性達までまるでAV女優のように見えてきますが、顔は確かに私が知っている会社の社員達なのです。
この前の伊藤さんはもちろん、いつも私に元気よく挨拶をしてきてくれる森山さんや、お茶やお菓子をくれる総務の安藤さん、まだ大学を出たばかりの新入社員の山本さんまで……。
映像の中で繰り広げられている痴態は、にわかには信じ難かったです。
でも確かにこれは現実なのです。
特に印象的だったのは、森山さんが斎藤君にイラマチオをされているシーンでした。
『ほら、もっと奥まで入るだろ?喉まで使うんだよ。』
そう言って斎藤君はペニスを口で咥えた森山さんの頭を持って、腰を乱暴に動かしていました。
森山さんは苦しそうに何度も吐きそうな仕草を見せるのですが、斎藤君はそれに全く構わずイラマチオを続けます。
その映像から斎藤君がかなりのサディストである事が分かります。
そして最後に涙と涎をダラダラと垂れ流している森山さんの口内に、斎藤君はたっぷりと射精していました。
私はその映像の森山さんがあまりにも苦しそうなので見るのも辛かったのですが、それでも斎藤君の精液を飲まされた後の森山さんの表情はどこかうっとりとして嬉しそうでした。
それは動画に出てくる全ての女性に共通していました。皆、斎藤君のテクニックやサディスティックなプレイに惚れ込んでいるのがよく伝わってきます。
そして何よりも、斎藤君とセックスをする女性は皆気持ち良さそうな表情を見せていました。
私はどうして女性達がこうも簡単に斎藤君の罠に嵌ってしまうのか、分かったような気がしました。
もちろんルックスの良さはあるでしょう。でもそれだけではない。
斎藤君は女性の心理の動かし方を熟知しており、言葉も巧みで、余裕が感じられる。
そしてセックスをしてしまえば、これだけの快楽を与えらえるのだから、女性達が夢中になってしまうのも無理はないのかもしれません。例え身体だけの関係だとしても。
あと、動画を見て驚いたのは、カメラの撮影の上手さと、編集の上手さです。
斎藤君は自信があると言っていましたが、確かにこれはプロ並です。
自分でカメラを持ちながらセックスをするハメ撮りは揺れも少なく綺麗に撮れていますし、
固定したカメラで隠し撮りのように撮影された映像も、複数台のカメラが使われており、それが見事に女性達の素顔を全て捉えていました。
それにそのカメラ自体も高価な物を使っているようで、森山さんも、山本さんも、安藤さんも、伊藤さんも、皆それぞれ乳房の形から乳首の色、アンダーヘアの生え方、巨根を咥え込んだ濡れた女性器からアナルのシワまで、はっきりと高画質で映し出されてしまっています。
確かに斎藤君が言っていた通り、この動画はそんじょそこらのAVよりもクオリティーが高い。
それに加え、出てくるのは私が知っている女性ばかりなのですから、興奮しない訳がありません。
当然、私はその動画を見てオナニーをし、射精しました。
しかし何かがスッキリしません。
私がその動画を見ている時、優子は丁度お風呂に入っていました。私はその隙にまたあのタンスの中をチェックしに行きました。
バイブ用コンドームはまた減っていました。
少なくとも、優子は週に3回以上はオナニーをしている。
きっと、年齢的にも今が一番性欲が高まる時期なのでしょう。
優子は、本当はどんなセックスがしたいのだろうか。
優子は、私以外の男とのセックスに、興味はあるのだろうか。
そんな事をしばらく考えた後、私はある事を思い付いたのです。
〝優子を試してみたら、どうなるんだろう〟と。
私の身勝手な願望だということは分かっています。
でも、私はもう自分の欲望を抑える事ができなかったのです。
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