寝取られ小説 人妻 優子(8)

週明け、私は編集された動画が入っているUSBメモリを斎藤君から受けとりました。

斎藤君は寝取られマゾの私が喜ぶと思ったのでしょう、笑顔でそれを渡してきました。

そしてその日仕事から帰ると、私はすぐに書斎でその動画をチェックしました。

パソコンにUSBを差し込んで動画を再生させると、我が家の部屋が画面に映り始めました。

こうやって映像で自分の家の中を見るというのは、何とも不思議な気分です。

カメラはリビング・ダイニング・キッチンの3カ所に設置されて撮影してあるようでした。

それが上手い具合に切り替わって、移動する優子や斎藤君の姿を捉えていました。

そして最初、動画は優子がキッチンで料理の準備をしている所から始まりました。


「じゃあ斎藤君はテレビでも見て待っててね。」


「いや、俺も手伝いますよ。」


「いいよそんな、仕事の後なんだからゆっくりしてて。」


「1人でテレビ見てても全然楽しくないですよ。俺が手伝える事とかないんですか?」


「そっか、ん~じゃあ人参の皮剥いてもらうおうかな。皮剥ける?」


「そのくらい俺にだってできますよ。」


「じゃあお願いしちゃおうかな。あ、そうだ斎藤君、エプロン着る?」


「別になくても良いですよ、大丈夫です。」


「でも服が汚れちゃうし、やっぱり持ってくるね。」

画面の中でやり取りする2人の姿を、私は瞬き一つせずに見つめていました。


「わぁ!斎藤君エプロン似合うねっ。」


「そうですか?家事全くできないんですけどね。人参の皮でしたっけ?」


「うん、このピーラーを使ってね。手を切らないように気を付けてね。」


「これってこう使うんですよね?」


「そうそう、上手上手。」


「うわ、これ結構楽しいかも。他に皮剥くやつあったら俺やりますよ。」


「うふふ、じゃあポテトサラダのジャガイモもお願いしちゃおうかな。」


「優子さんはさすがに手際良いですね。」


「そう?毎日やってるからね。」


「こんな料理上手な奥さんがいるなんて、今井さんが羨ましいなぁ。」


「だったら斎藤君も早く結婚相手見つけないと。」


「なかなか居ないんですよ、優子さんみたいな良い人って。」


「もぉ~またそうやってお世辞ばっかり言って、褒めても何も出てこないよ?」

2人は料理をしながら実に楽しそうに会話をしていました。優子はその間ずっとニコニコしています。

その日のメニューであるハヤシライスとサラダが出来上がると、2人はダイニングテーブルで食事を始めました。

斎藤君はいつも通り、美味しい美味しいと言いながらハヤシライスをおかわりして、優子もその斎藤君の食べっぷりを見て嬉しそうにしていました。

そして食後はリビングのソファに移動して、2人はお酒を飲み始めました。


「カンパーイッ」

とグラスを上げて、上機嫌の優子は結構酒が進んでいます。


「今井さん何時ごろ帰ってくるって言ってました?」


「ん~10時か11時って言ってたけど。」


「じゃあまだ時間ありますね。」

斎藤君が言っていた通りなら、もうすぐ優子は斎藤君にキスをされる。

私は固唾を飲みながら画面を凝視していました。

2人はしばらくディ〇ニーやらハリーポッターの話をしていたのですが、話題はそのうち占いや風水などに変わっていきました。

そしてそこで斎藤君が


「優子さん手相占いしてあげましょうか?俺結構知ってるんですよ。」


「え、そうなの?やってやって。」

そんな流れで斎藤君が優子の隣に移動しました。


「じゃあ手を出してください。」


「はい。」

2人の距離が一気に近くなります。

優子が手を出すと、斎藤君はその手を触って手相をじっと見始めました。

斎藤君に手を触られた優子の表情は少し照れているように見えます。


「お、優子さん金運良いですよ。」


「ホントに?やった!ねぇねぇ、健康は?」


「健康も良いですよ、ていうか優子さん良い手相してますね。」


「わぁ嬉しい!じゃあ斎藤君の手相は私が見てあげるっ。」


「え、優子さん分かるんですか?」

分かるはずもないのになぜか優子が斎藤君の手を取って手相を見ます。

少しはしゃいでいるような優子の様子を見て、酔っ払っているのだと分かりました。


「斎藤君の指、すらっとしてて綺麗だね。」


「優子さんの手と全然大きさ違いますね。」


「うん、大きい。」

そう言って2人は手を合わせて大きさ比べをしていました。

そして優子は急に自分がしている事に気付いたのか、
「あっ……」

と言って恥ずかしそうに手を引っ込めました。

すると、斎藤君はここがチャンスだと思ったのでしょう。

斎藤君は優子の顔に顔を近づけました。


「優子さん髪の毛に何か付いてますよ。」


「え、ホントに?埃かな?」


「取ってあげますよ。」

そう言って斎藤君は優子の頭に手を当てました。

そして斎藤君はじっと優子の目を見つめます。

斎藤君に見つめられ、優子は〝え?なに?〟といった顔をしています。

……

見つめ合った2人の間に流れる沈黙の時間。

そして、斎藤君は優子が固まっているその瞬間に、優子の唇を奪いました。


「ゆ……優子……」

私はキスをする2人の映像を見て、胸にナイフをグサっと刺されたような感覚に陥る程のショックを受けました。

2人の唇が重なっていたのは3秒くらいだったでしょうか。

短く軽いキスの後、斎藤君が顔を離すと、優子は目を丸くして驚いた表情を見せていました。


「……え?え?なに今の。」


「あ、すみません、つい。ビックリしました?」


「……うん……」

優子は声小さくて顔真っ赤です。

そして我に返った優子は慌ててソファから立ち上がり斎藤君から離れました。


「わぁ~もぉ!なんで?斎藤君どうしたの?」

赤くなった顔を手で扇ぐ優子。


「いやなんか、我慢できなくて。」


「も、もぉ……酔っ払ってるでしょ?」


「ですね。」


「ダメだよぉ、こういうの。」


「やっぱり駄目ですか。」


「駄目に決まってるじゃん、もぉ、こらッ!」


「痛っ、すみませんすみません、もうしませんから。」

怒ったような口調で優子が斎藤君の腕を叩きました。

でも本気で怒っている表情でなく、大人が子供の悪戯を叱っているような、そんな感じでした。


「斎藤君はやっぱり危険だね。」


「優子さんの美しさに我を失っちゃったんですよ、許してください。」


「もぉ、そうやって褒めれば良いと思ってるんでしょ?その手には乗りません。」


「許してくださいよぉ、酒のせいです、ちょっと飲みすぎました。」


「お酒のせいねぇ、じゃあ今回はそういう事にしといてあげる。もうこんな事絶対しちゃ駄目だよ?」


「はい、反省します。」

反省と言っても、斎藤君は笑ってます。

2人共ついやってしまった事故ぐらいにしか考えていない、そんな雰囲気です。

斎藤君は優子は嫌がっていなかったと言っていましたが、確かにその通りでした。

言葉では怒った風に言っていても、表情は全く違います。

なんというか、照れているような、恥ずかしがっているような、女丸出しの表情を優子はしていたのです。


「優子さん、今井さんには秘密にしておいてくださいね。」


「言えるわけないじゃん。あ~もぉ、斎藤君ってホント嫌、フミ君に秘密なんて作りたくないのに。」


「落ち着くために、もうちょっと飲みます?」


「もう飲まないよっ、もうすぐフミ君帰ってくるし。」

その後優子は私が帰ってくるまで斎藤君と距離を取るようにキッチンに入って洗い物をしていました。

斎藤君が
「俺も手伝いましょうか?」

と聞いても優子は
「ダ~メ、斎藤君はもうキッチンに入ってこないで。」

とまた少し怒っている風の口調で拒絶してました。

さらに優子は念を押すように
「斎藤君、私怒ってるんだからね」

と何度か言っていましたが、斎藤君は
「分かりましたよ、反省してますから」

と軽く受け流してました。

そしてそこで動画は終わりました。

複雑な気持ちでした。2人がキスをした瞬間はショックでしたし、その後の軽い雰囲気も、何だかモヤモヤしたものが残ります。

今までは想像するだけでしたが、こうして実際に妻と他の男がキスをするところを見るのは、思った以上に辛い。

動画を見た後も、なんとか私は優子の前では平静を保っていましたが、正直感情を抑えるのでいっぱいいっぱいでした。

優子は斎藤君とキスをした事を私に隠している。

優子は私に隠し事は一切しない、できない性格だと思っていたのですが、その前提が崩れ始めていました。

他にも私に隠している事があるんじゃないか。

もしかして好意を寄せられていたと言う優子がパートをやっていた時の店長とも何かあったんじゃないか……そんな過去の事についても変な勘繰りまでしてしまう始末。

しかしそこで私は思い直します。

優子が私に隠し事をするとしたら、それは夫である私を想っての事です。

キスは事故だった。斎藤君から一方的にしてきたのであって、優子がしたくてした訳ではない。

だから優子が私にその事を言わないというのは、優子の優しい性格ならば、ありえる事なのです。

そう考えれば、少し冷静になれます。

そして動画を見た次の日、会社で斎藤君がまた話し掛けてきました。


「動画どうでした?ちゃんと綺麗に撮れてたでしょ?」


「え、あ、あぁ、撮れてたよ、ありがとう。」

妻とキスをした男にお礼を言う、私はなんと滑稽な男なんでしょう。でも、撮影は私が頼んだことですから。

それに、実はあの動画を見た後、夜中にこっそり、私は優子と斎藤君がキスをしている映像を思い出しながらトイレでオナニーをしてしまったんです。

どうしてもあの映像が頭から離れなくて、そしたら胸に溜まっていたモヤモヤしたものが、やがて猛烈な性欲に変わり沸き上がってきて、我慢できなくなってしまったのです。

やはり私は寝取られ変態マゾなのだと、改めて自覚しました。

そして斎藤君はさらに私にこう聞いてきました。


「で、次はどうします?」


「次?」


「俺としては次で勝負掛けたいと思ってるんですけど。」

ついにここまで来てしまったか、という気持ち。

勝負というのは、もちろん斎藤君が本格的に優子を口説くという意味です。

斎藤君はすでにやる気充分のようでした。

自分から誘っておいてなんですが、正直怖いです。

前回は不意のキスだけだからまだいいものの、もし優子が斎藤君に口説かれてしまい、それ以上の行為を許してしまえば、私は大切な妻を失ってしまう可能性さえある。

ここまで斎藤君と計画を進めてきて、今さら止めるとは言い辛いですが、止めるなら今しかない。

優子を信じて最終計画を実行するか、斎藤君に謝って中止にするか……。

私はこの時点でも優子が私を裏切る訳がないと信じていましたが、しかし一方で心の中にまだ微かに優子への疑いが残っているのも確かでした。

斎藤君と2人で過ごしている時の優子の笑顔や、不意にキスをされた後の表情を思い出すと、本当に優子は浮気をしないのだろうかと、確認したくなる。

もしここで計画を中止したら、私は一生優子へのこの疑いを消す事ができないでしょう。

信じきれない愛を信じてこれからも2人で生きていくのか……優子を疑ったまま生きていくのか……それはそれで辛い。

やはりここまで来たら、最後まで確認せずにはいられません。


「分かったよ、斎藤君。」



コメント

error: Content is protected !!
タイトルとURLをコピーしました