翌日、真弓がベッドの中で目を覚ましたのは昼前だった。
「ごめん拓実君!寝坊しちゃった。朝ごはんどうした?もしかして抜いちゃった?」
「大丈夫ですよ、ランニングついでにコンビニでパン買ってきて食べたので。」
「ごめんね、じゃあ今から急いでお昼ご飯用意するねっ。」
「でも珍しいですね、真弓さんが寝坊なんて。」
「う、うん……」
昨日あの後、母屋に帰ってからお風呂場でオナニーをし、それでも満足できずに今度は寝室のベッドの中で明け方までずっとオナニーをしていたなんて、拓実には絶対に言えない。
拓実との破廉恥な行為(手コキ)で、完全に身体の女の部分に火が付いてしまった真弓。
それを鎮めるために長時間オナニーをしたが、結局今回も自分では絶頂に達する事ができず、中途半端なムラムラ感を抱いたまま疲れて眠りについた。
「拓実君はちゃんと寝れたの?」
「はい、もうぐっすりでした。」
「……いいよねぇ、拓実君はスッキリできるんだもん……」
「え?」
「ううん、何でもなーいよっ!さて、お昼ご飯何にしようかなぁ!」
昨日のムラムラが今でも身体の奥で燻っているのが分かる。
――また夜になったら我慢できなくなっちゃいそう……――
そしてその日の夜も案の定、真弓は寝れない時間を過ごしていた。
身体が疼いてじっとしていられない。
しかも自分で慰めても無駄だという事は分かっているから、余計にもどかしい。
ベッドの上でジタバタする真弓。
「あ~ん、もぉ……困ったよぉ……」
そして欲求不満を堪えられなくなった真弓の頭の中に浮かんだのは、やはり拓実だった。
携帯を手に取ってベッドに座ったまましばらく考えた後、真弓は拓実に電話をかけた。
「もしもし?ごめん拓実君、寝ちゃってた?」
「起きてましたよ。どうしたんですか?」
「……うん……なんかさぁ……今日遅くまで寝てたからなのか、なかなか寝れなくて。」
「あ~ですよね。」
「拓実君はまだ眠くない?」
「はい、俺は大丈夫ですけど。」
「……あ、あのね、それで私、ちょっと暇っていうか……今日も拓実君の部屋、行っていいかな?」
「え、全然いいですよ。」
「いい?じゃあ今から行っちゃうよ?」
「はい、どうぞ。」
「うん、じゃあ今から行くね。」
電話を切ると、真弓はパジャマ姿のまますぐに拓実の部屋へと向かった。
拓実の部屋に行けば欲求不満が解消されるという訳ではないけれど、なぜか真弓は拓実の部屋に行きたくて仕方なかったのだ。
あの一人暮らしをしている男のアパートに行くような感覚を、真弓はまた欲していたのかもしれない。
ワクワクドキドキするあの感じを、また味わいたくて。
「また来ちゃった。」
「ど、どうぞ。」
少し照れたように笑って部屋に入る真弓。
「差し入れにお菓子持ってきたんだけど食べる?」
真弓はそう言って来る時にキッチンに寄って持ってきたスナック菓子をテーブルの上に置いた。
「食べます食べます、ちょうど小腹が減っていたんです。」
「食べちゃいけない時間に食べるお菓子って美味しいよね~。」
「ですよね。あ、しかもこれ俺が好きなやつですよ。」
「拓実君も好きなんだぁ、私もこのシリーズ好きだよ。コーンポタージュ味も美味しいよね。」
「コーンポタージュ味、高校の頃めっちゃ嵌ってました。」
「あの味は病み付きになるよねぇ。……あっ、これなに?拓実君、私が来るまでこれ読んでたの?」
お菓子の話で意気投合しながら、真弓は拓実の机の上に置いてあった漫画に気付いて手に取った。
「はい、気分転換になると思って実家から持ってきてたんですよ。」
「へぇ~なんか面白そうだね。」
「面白いですよ、全巻持ってきてますけど読みます?と言ってもこれ短いから3巻で完結ですけど。」
「え~いいの?読む読む!」
と、そこからは2人でベッドに寝転がりながらしばらく漫画に熱中する事に。
「拓実君、次の巻は?」
「え?もう読んだんですか?真弓さん早いですね。」
「だって面白いんだもん。あ、次のって拓実君が今読んでるの?」
「はい、いいですよ、俺はもう一度読んだ事ありますから、どうぞ。」
「ううん、拓実君が読み終わるまで待ってるからいいよ~、ゆっくり読んでて。」
そう言ってベッドの上を寝転がりながら身体を移動させて部屋を見渡す真弓。
そしてふと昨日のエロ雑誌の事を思い出した真弓は、何気なくベッドの下を覗き込みようにして頭を下げた。
――あ、なにかある……――
昨日は確認しなかったベッドの下の奥の方を覗くと、また何冊か雑誌が落ちてるのが見えた。
拓実が漫画に集中している横で、気付かれないようにベッドの下へ腕を伸ばす真弓。
「う゛ーん……届かない……ん~あっ、取れた……」
取り出して見ると、やはりそれはエロ雑誌で、昨日とは違う物ではあったけれど、表紙には〝人妻〟という文字が大きく書かれていた。
しかもDVDまで付録されている。
〝淫乱な人妻は好きですか?〟
〝人妻浮気ドキュメント 背徳エッチで淫らな欲望を満たす不貞妻たち〟
〝どМな人妻 極太チ○ポでイキまくる〟
タイトルが卑猥過ぎて、表紙を見るだけでもドキドキしてしまう。
――やだ……いやらしい……――
漫画を読んでいる拓実の横でひとり、エロ雑誌を見て身体を熱くさせる真弓。
「真弓さん、読み終えましたよ。……って、あっ!」
「もぉ……拓実君ったら、昨日の一冊だけかと思ったら、ベッドの下に沢山隠してたんだねぇ。」
「ちょ、真弓さん、なんか静かにしてると思ったら勝手にそんな……」
昨日と同じ様に動揺している拓実を見てクスクスと笑う真弓。
「ねぇ、拓実君はもうこのDVD見たの?」
「え……まぁ、はい……見ましたよ。」
「どうだった?」
「どうだったって聞かれても……」
「拓実君の感想を聞かせてよ。」
「感想ですか……まぁ……よ、良かったですけど。」
「良かったんだぁ、じゃあ拓実君的にはこれはおススメ?」
「おススメって、真弓さんにって事ですか?」
「……私さ、こういうのあんまり見た事がないんだよね。」
「AVですか?」
「……うん、大学の頃友達の家で皆でふざけて少しだけ見たくらいで。」
「もしかして真弓さん、これ見たいんですか?」
「ん~……ちょっとだけね……なんていうか、好奇心?だって私、殆ど見た事ないから。」
「……見ます?」
「……いいの?」
「はい、ていうか俺は、真弓さんがAVを見てる所を見たいです。」
「あはは、なにそれ。……わぁでもどうしよう、また変なテンションになってきたかも。」
「俺もです。」
「拓実君、私に引いてない?」
「引いてないです。全く。寧ろなんか、真弓さんとこういう話ができるのは嬉しいっていうか……」
「あはは、嬉しいの?」
「はい。」
「じゃあ……一緒に見ちゃう?」
「はいっ、俺、DVD見れるようにセットしますね!」
「……うん。」
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