月曜日、まだ薄暗い朝5時前に、安本はカメラを持って駅近くに来ていた。
証明写真ボックスの位置を確認。
写真ボックスから2~30メートルくらい離れた場所で、その時が来るのを待つ。
こんな時間に証明写真を撮ろうなんて人間は他にはいないはずだ。
来るとしたら……
――来るのか、愛美……いや、志乃は――
周りには人は殆どいない。駅前は静まり返っていた。
そして時計が5時を指した丁度その瞬間、1人の女性らしき人物が写真ボックスの方に向かって歩いてきた。
――……おっ!誰か来た!志乃か!?――
女性はワンピースを着ていて、まだ朝早くて肌寒いからなのか、その上に薄いカーディガンを羽織っていた。
――志乃……だよな?くそっ、よく見えないな――
辺りが薄暗いのと、女性が俯き加減で歩いているために顔がよく見えない。
女性は写真ボックスの前で立ち止まった。
そしてその瞬間、写真ボックスの照明に照らされて女性の顔がはっきりと見えた。
――やっぱり志乃だ!――
その決定的瞬間を逃すことなくカメラのシャッターを切る安本。
やはり志乃はあの官能小説を読んで、愛美の真似をしているんだ。
興奮せずにはいられない安本。
しかしそれと同時に〝あ~……やっぱり志乃だったのか……〟というショックもある。
実は昨日も志乃が働くカフェにコーヒーを飲みに行っていた安本。
それは志乃の事を調べるためではなく、志乃にまた会ってみたかったからだ。
客と店員とはいえ、志乃がこちらに向けてくる笑顔は、やはり可愛かった。
可愛いだけじゃなく、礼儀正しくて純粋な感じがして……そんな志乃に対して安本は少なからず好意を抱いてしまっていたのだ。
だからこそ、そのイメージが崩れるようで少しショックだった。
……あんな良い子そうなのに、痴女なんだなぁ……
志乃は周りに人が居ないのを確認するように見渡した後、案の定写真ボックスのカーテンを開けて中に入った。
そしてすぐに閉められるカーテン。
あの中で今、志乃は股間をレンズに向けて露出しているのだろうか。
カーテンの隙間から、フラッシュの光が漏れる。
それから少しして、志乃は写真ボックスから出てきた。
そしてまた周りを気にするように見渡した後、恥ずかしそうに小走りで去って行ってしまった。
安本は志乃の姿が見えなくなるまで待った後、写真ボックスに近づいた。
志乃が写真を手に取る様子はなかった。つまり、志乃は真田の命令通り撮影した写真を置いていったはず。
――小説の中じゃ愛美の写真は真田が拾いに来ることになってるが、志乃の物は俺が見てやる――
まるで自分が真田になったかのような気持ちで、安本は写真ボックスの写真取り出し口を確認した。
「お、あったぞ……志乃のやつ、本当に写真を置いていきやがった。」
その現実に再度興奮しながら、安本は写真を手に取った。
そしてそこに写ったものを見た瞬間、安本は思わず笑みを浮かべた。
「くっくっくっ……志乃!これがお前のイヤらしいパンティなんだな。」
写真には、自分でワンピースのスカートを捲り上げて、下着を露出した志乃の下半身が写っていた。
顔は写っていないが、間違いなくさっきの志乃だ。
そしてやはり目を見張ったのは志乃が穿いていた下着だ。
色は薄いピンク色、サイドが紐で結ばれている所謂〝紐パン〟というやつで、肌を隠している部分はかなり小さい。
女子大生が穿くにしては随分と卑猥なデザインだった。
それによく見ると、フロントのレースから志乃の黒い陰毛が透けて見えてしまっている。
「へへ……これが志乃のマン毛か。童顔のくせに、結構しっかり生えてるじゃねぇか。」
志乃の下半身の写真を舐めるように見つめながら、安本は一人、その場で股間を硬くしていた。
コメント