痴女子大生 志乃(19)

 

——うそ……こんな事ってあるの……?——

まるで自分が愛読している官能小説と同じような展開に、志乃は信じられないような気持ちだった。

そして男性から受け取った名刺を見て、志乃はさらに驚いた。


「……真田…さん…!?」

名刺に書いてあった名前は〝真田龍弥〟。

そう、《露出奴隷 愛美》に出てくる真田と同じ名字だったのだ。


「どうですか?撮影は週に1度程度なので、ここのアルバイトを続けながらでもできますし。」


「……で、でも……私…モデルなんて……」


「突然の話で驚くのも無理はないですよね。
モデルのスカウトはいつも担当のスカウトマンに任せているのですが、今回は社長の私があなたに一目惚れしたんです。
偶然入ったこのカフェで初めてあなたを見た時、絶対にモデルになってもらいたいと思ったんです。
だから今日、お声かけしました。」


「私が……そんな……本当ですか…?」


「えぇ、お顔はチャーミングですし、スタイルもモデルとして申し分ないです。今は大学1年目ですか?お年は?」


「はい、18です。」


「でしたらあなたはこれから大学でも社会でも色んな事を経験されて成長し、どんどん女性としても綺麗になっていくでしょう。
私はそんなあなたの成長していく姿が見たいのです。
私の会社はそういう女性のモデルさんを求めて、ずっと探していたのです。
そして見つけた、それがまさに小松志乃さん、あなたです。」


「……そう言って頂けるのはありがたいですけど……私モデルなんてした事がなくて……写真を撮られるのも苦手なので……」


「心配なさらないでください、最初は誰でも不慣れなものです。私もスタッフもしっかりサポートしますから、大丈夫ですよ。もし途中で嫌になったら正直に言ってもらえばいいですから。」


「……でも……」


「あ、そうだ!では今度スタジオに見学に来ませんか?不安ならお友達を連れてきても良いですから。モデルの仕事をするかどうかは、その後じっくり考えて頂ければ良いですから。」


「見学……ですか。」

話が急展開過ぎて、志乃の頭はついていけない。

困惑ばかりで頭がいっぱいになり、どう返事をすれば良いのか分からなくなってしまう。

しかし表情が硬いそんな志乃を見て、真田はクスっと笑い、声のトーンを変えてきた。


「それも難しそうかな?こんなおじさんに急にこんな話されても困っちゃうよね。」

真田はいつもの優しい笑顔でそう言ってきた。

堅苦しい話になっていたのを、その笑顔が志乃の気持ちを和ませた。

さっきまではいかにも会社の社長という雰囲気で強気な感じがあったけれど、この笑顔で話しかけられるとやっぱり素敵で、胸がキュンとする。


「いえ、そんな事は……私スカウトなんてされた事なかったのでビックリしちゃって。」


「そうか、それはそうだよね。
スタジオ見学と言っても、遊びに来るつもりで来てくれれば良いですから。
ちなみにうちの男性モデルはイケメンばかりだよ、それを見に来るだけでも面白いかもしれませんよ。」


「そ、そうなんですか……きっと友達を連れてったら喜ぶと思います!」


「ハハッ!そうか、じゃあぜひぜひ、お友達を誘って来てください。」

そうして話はまとまり、志乃は同じカフェで働く友人である沙耶を誘って、真田の会社のスタジオに見学をしに行く事になった。


「でも信じられない、あの人の名前が真田さんだったなんて、こんな偶然あるの?しかも私にモデルをやりませんか〜?なんて。」

カフェのバイトを終え、部屋に帰ってきた志乃は、偶然の一致としては出来過ぎていた今日1日の出来事を、思い返していた。

——まさか……本当にあの真田さん……?——

しかしいくら考えてみても、そんな事はありえないという結論にしかならない。


「そんな訳ないかぁ〜」

ずっと気になっていた真田さんと会話ができただけでも今日は嬉しかった。

優しい笑顔とあの渋い声、その裏に何かを秘めていそうな雰囲気も、やっぱり小説の中の真田さんと同じで素敵だと、志乃は思った。

そして今日も貴子の官能小説は更新されていた。

愛美はカメラマンと真田の前で、筋肉質な男性モデルと共に下着姿になっていた。

志乃は徐々に脱がされていく愛美と自分自身を重ね合わせて想像していた。

カメラのフラッシュが焚かれるたびに身体を熱くさせる愛美。

——私も、そんな事させられたら絶対濡れちゃう……——

と、想像するだけでも濡れてきてしまう志乃。

もしモデルの仕事を受けて、下着になってほしいと言われたら……そんな事できる訳がない。

水着だって……写真を撮られるだけでも恥ずかしいのに。

でも、試しにカメラの前で下着姿や水着姿になる自分を妄想してみる。


「……」

そのシーンを頭の中で再生させた志乃の顔が真っ赤になる。


「ダメダメ!そんなのぜーーーったい無理だよぉ!恥しすぎるもん!」

顔を横に振って、妄想を強制的に止める志乃。

水着姿でカメラを向けられるなんて。

真田さんの前で下着姿になるなんて。

顔から火が出るくらい恥ずかしい。


「はぁ……」

そして現実に戻ろうとする志乃。

——その前にそんな事ありえないよね、真田さんにはモデルのアルバイトを頼まれてるだけだもん——

そう、現実にはそんな展開はありえない。

ありえない、ありえない。

そう、ありえないはずだった。

コメント

  1. なか より:

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    いい展開です。
    楽しみです

  2. 匿名 より:

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    志乃ちゃんにワクワクが止まりません

  3. メンメン より:

    SECRET: 0
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    コメントありがとうございます。

    エロシーンに入るまではワクワク感が大事ですよね。

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