痴女子大生 志乃(25)

 

その日も志乃は真田の会社のスタジオでモデルのアルバイトをしていた。


「志乃さん良い感じだよ、その表情だ、そのまま顎をもう少し下げて。」


「はい。」


「そうそう、良いね〜。」

真田の指示の元、少し恥ずかしそうにしながらもポーズをとっていく志乃。

その志乃をカメラマンの安本が次々と写真に収めていく。

モデルのアルバイトはすでに3回目、カメラで撮られる事に志乃も少しずつ慣れ始めていた。

志乃がモデルとして着る服のコーディネートは若者向けでありつつも落ち着いたデザインで、それでいて可愛らしい服が多いため、毎回着替えるのが楽しいくらいだった。

求められるポーズも派手なものはなく、覚えてしまえば比較的簡単だった。

表情の作り方だけが難しかったが、そこは真田が優しく根気よく教えてくれたため、なんとか形になってきていた。


「志乃さん、今度はこの角度で撮ってみようか。」


「はい、このくらい……ですか?」


「そう、良いね。あとは笑顔で、そうだな、デートで待ち合わせしていた場所に彼氏が現れた時の感じで、分かる?」


「え〜分かりませんよぉ、私そんな経験ないですし……」


「ハハッ、そうか、じゃあその場面を想像してみるんだ。好きな人が来るところを想像して。」


「好きな人……」


「頭に浮かべて。」


「……は、はい……」


「さぁ、どんな気持ちになる?その時の笑顔はどんな笑顔?」


「こ、こうかな……?」


「うん、いいね〜その笑顔。じゃあ今度は好きな人が待ち合わせに遅刻してきてプンプン怒ってる顔してみようか。」


「え〜なんですかそれ〜難しすぎますよぉ」


「ハハッ、ちょっと無茶振り過ぎたかな?」

真田との会話はいつも心が弾んだ。

優しくてユーモアがあって格好良くて、大人の落ち着きがある。

話せば話すほど志乃は真田に魅了されていった。

モデルの撮影も楽しいが、志乃にとっての一番の楽しみは真田と会話をする事だった。

この日は撮影後も、真田が志乃に話しかけてきてくれた。


「志乃さんお疲れ様、今日もとても良かったよ、志乃さんは本当に飲み込みが早くて優秀だね。」


「真田さんお疲れ様です!そんな、真田さんが丁寧に教えてくださるお陰です。」


「モデルの仕事も結構奥が深いでしょう?
ポーズや表情で全く写真の印象がガラッと変わってくる。同じモデルで写真を何枚撮っても、一枚として同じ写真にはならないんだ。」


「本当にそうですね、私も真田さんに言われた通りにできた時には写真の出来栄えが全く違うので驚きました。
本当に奥が深いですよね。
私、最初は恥ずかしかったし、私なんかがモデルなんてって正直思ってたんですけど、今はなんだかとても楽しくて。」


「楽しんでもらえてるなら嬉しいよ。志乃さんは特に表情が豊かだから撮影している私達もとても楽しいんですよ。
これはもう志乃さんの才能ですからね、撮影を始めてみて、志乃さんをスカウトした私の目に狂いはなかったと確信したよ。」


「そんな……でも本当に楽しいですし、真田さんにお誘い頂いたのは幸運でした。
私、もっともっとモデルの勉強して頑張ります!」


「お〜嬉しいですね、それだけやる気になってもらえると、こちらも教え甲斐があるよ。」

真田はそう言っていつもの優しい笑顔で志乃を見つめた。

真田に見つめられた志乃は思わず顔を赤くした。

そして真田はそんな志乃を見て続けてこう話しかけた。


「志乃さん、実は今やっている撮影は初級というかね、モデルの基本を学んでもらっている段階なんだけど、さっきも言ったようにモデルの仕事は奥が深くてね、もっとレベルの高い撮影もうちの会社ではやっているんだ。」


「レベルの高い撮影……ですか……?」


「そう、それでもし志乃さんにやる気があるのであれば、来週からは少しそのレベルを上げて撮影していこうと思っているんだが、どうかな?
もちろん、急に難しい事はいくら志乃さんでもできないだろうから、少しずつ段階を踏んでね。」


「レベルを上げて……」


「少し不安かな?大丈夫ですよ、志乃さんのポテンシャルならレベルの高い撮影にもきっとすぐに適応できますから。」


「そう……ですか……」


「もちろん私が一から手取り足取り丁寧にお教えします。私に身を任せてくれれば、全て上手くいくはずです。
どうですか?挑戦してみませんか?」

〝レベルが高い撮影〟という言葉に、まだ撮影経験3回でモデル初心者の志乃は不安を覚えたが、真田が教えてくれると言う事ならその不安もすぐに吹き飛ぶ。


「私……上手くやれるか分からないですけど、真田さんに教えていただけるなら……精一杯頑張ります!」

志乃のその返事を聞いて、真田は満面の笑みで

「じゃあ来週から一緒に頑張りましょう!」

と言った。

志乃も真田のその言葉を聞いて嬉しそうに笑顔をこぼしながら

「はいっ!」

と元気よく答えた。

〝一緒に頑張りましょう〟

真田のその言葉が、志乃はとても嬉しかった。

——真田さんと一緒なら私、どれだけでも頑張れるかも……——

コメント

  1. 名無し より:

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    徐々に縄にはまってく感じ、たまんないですね・・・

    連日投稿ありがとうございます!!

  2. 匿名 より:

    SECRET: 0
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    毎日更新いただきありがとうございます

  3. うっでぃ より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    連日ありがとうございます!
    今後の展開が楽しみです。

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