安本の元に貴子からの返信メールが届いたのは、安本がメールを送った翌日の夜の事だった。
今日も一日カメラ片手に志乃の尾行をしていた安本は、帰って来てからすぐにメールを確認した。
「お!返信来てるじゃないか!」
メールボックスにあった新着メールの文字を見て、安本は興奮気味にそのメールを開いた。
貴子
『メールありがとうございます。
ご質問の件、非常に興味深く読ませて頂いたのですが、残念ながら〝露出調教 愛美〟にモデルは居りません。あの物語は私の想像で書いたものです。
ですからその志乃ちゃんという女の子も、私は知りません。
でも驚きました、確かに偶然にしては出来過ぎていますよね。
その女の子、もしかして私の小説を読んで愛美を真似ているのかしら?笑
だとしたら、志乃ちゃんという女の子、私もとても気になります。
志乃ちゃんは○○大学に通っているとの事ですが、実は私もそこから遠くない所に住んでいるんです。
そんなに可愛らしい女の子なら一度見てみたいな、なんて思ったり。笑』
〝愛美にモデルはいない〟〝志乃の事も知らない〟という文を見て、予想が外れた安本は少しガッカリしていた。
しかし貴子の言う通り、志乃があの小説を読んで愛美の真似をしているという可能性も十分にある。
今日の志乃は素脚にミニスカートを穿いていて、見た感じの格好は昨日の帰りと殆ど変わらなかったものの、その表情や仕草は明らかに昨日とは違っていた。
駅で電車を待っている間も、バイトをしている時も、あからさまに頬を紅く染め、動きがぎこちなかった。
そして頻りにスカートの裾を手で押さえたり気にしたりする仕草を何度も繰り返す。
その様子から、パンストも穿いていないあのスカートの中身は、真田の命令通りに完全にノーパンなのかもしれないと思わずにはいられなかった。
一方で周りの視線を気にするような志乃の恥じらう表情は、いつも以上に可愛く見え、本当にこんな可愛い子が……?という思いも未だにあった。
割かし偏差値の高い大学で、志乃だけではなく周りにいる友人達も皆まともで真面目そうな人間に見える。
友人達と会話をしている時の志乃の笑顔は、女の子らしいふんわりとした雰囲気を醸し出しており、あまりにも〝変態〟という言葉が似合わない。
だからこそ、その真相を知りたいという欲求がさらに高まる。
そんな事を考えながら、安本はさらに貴子への返信メールを書き始めた。
安本
『そうでしたか、では私の予想はハズレだったんですね。
志乃の事、気になるなら写真をお送りしましょうか?
実は私、仕事はカメラマンをやっていまして(週刊誌なんかの)志乃の姿も撮ってきたんですよ。本当はいけない事なんでしょうけど、職業病でしょうかね、気になるものは全て写真に収めないと気が済まないものでして。』
そうメール送ると、すぐに貴子から返事が返ってきた。
貴子
『志乃ちゃんの写真、見たいです。メールで送って下さいますか?』
安本
『はい、では今から送りますね』
貴子
『写真ありがとうございます。志乃ちゃん、凄く可愛くてチャーミングですね。食べたくなっちゃうわ。笑
確かに、愛美と同じ格好をしてる。でもこれだけでは決めつけられないんじゃないかしら?本当にただの偶然かもしれないし。』
安本
『そうなんです。だから私もまだ半信半疑なんですよ。
それで提案なんですが、次の命令で志乃が愛美の真似をしているという確証になるような命令を書いてくれませんか?
これは偶然ではありえないだろうっていう感じのを。』
貴子
『それ良いですね。分かりました、考えてみます。1日か2日時間をください。
命令を出したら、また志乃ちゃんの写真を撮りに行ってくださるんですよね?』
安本
『もちろん。決定的な瞬間を撮ってみせますよ。では次の命令楽しみに待っています。』
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