「うん、美味しい、これなら上出来よねっ。」
志乃は作ったタラコスパゲティとサラダを自画自賛するようにうんうんと頷きながら食べていた。
一人暮らしを始めてからは節約のためになるべく自炊するようにしている。
母にも、将来のためにもなるから学生の間はしっかり自炊してある程度料理ができるようになっておきなさいと言われていた。だから志乃にとって自炊はある意味花嫁修業でもあるのだ。
「うーん、でもなんだか物足りないような……うふ、ちょっと飲んじゃおうかな、明日は休みだし、いいよね。」
食事の途中で席を立って冷蔵庫を開けた志乃は、缶チューハイを取り出した。
プシュっと音立てて缶を開けると、志乃は嬉しそうに口をつけた。
「ぷはァ、美味しい。」
志乃が酒を覚えたのは大学に入ってからである。
女友達だけで集まってお泊り会をした時に初めて飲んで、それからは自分でも買って時々部屋で飲んでいる。
厳しい事を言えば、志乃はまだ酒を飲んでいい年齢ではない。しかし大学に入ればサークルなどで当たり前のように飲み会はあるし、志乃の周りでお酒を飲んだことのない子なんて殆どいない。
親に知られればきっと怒られるだろうが、〝これくらいは1人暮らしの特権よね〟と、今の志乃は気にしない。
志乃は子供の頃から親の言う事をよく聞く子だった。それは両親の躾が厳しかったせいもある。
だから中学高校時代は色々と我慢しなければいけない事も多かった。
皆は普通にやっている事なのに、どうして私だけはダメなの?と。
「あ、そうだ、スカート合わせてみよ。」
志乃は食事を終えると、紙袋をテーブルの上に置いた。
今日の帰りにアルバイトの給料で洋服を買ってきたのだ。
袋の中から取り出したのは、数種類のミニスカート。少し大胆に見える程短いが、女の子らしい可愛らしいデザインのスカートだ。
高校の時、周りの友達は皆制服のスカートを短くしていたのに、志乃だけは親が許してくれなかった。私服でも短いスカートは
「そんな格好で歩いていたら危ない」
と買わせてもらえなかった。
でも今は誰にもそんな事は言われない。
志乃は両親とは仲は良いし、もちろん尊敬もしている。でもそれとは別に、一人暮らしは親の躾に縛られていた志乃に開放感を与えていた。志乃はそれが嬉しく嬉しくて仕方なかったのだ。
着替えて、鏡の前でその姿を確認する志乃。
「わぁ、やっぱり短い。」
思い切って買ってきたけど、やっぱりまだミニスカートは穿き慣れないし、恥ずかしい。
志乃はミニスカートの裾を手で触りながら、先日の事を思い出していた。
自分でミシンを使ってスカートを短くし、ノーパンで過ごしたあの日の事を。自分でもどうしてあんなに大胆になれたのか、分からない。
あの異常なほどの昂揚感は、今までの人生で味わった事のないものだった。
思い出すだけでもドク……ドク……と脈打つように身体が熱くなってくる。
「……はァ……あっ、そうだ、今日は更新されてるかな?」
ここ数日更新がなかった官能小説サイトTAKAKO’S ROOM、もしかしてと思い、さっそくパソコンでチェックする志乃。
「あっ、更新されてる。」
新着の文字を見て、志乃はドキドキしながらページを開いた。
更新されたページには、志乃と同じように愛美がノーパンで一日を過ごした後、一人暮らしをしているアパートでオナニーに耽るシーンが描かれていて、その後に真田からの新たな命令が書かれていた。
真田
《愛美、どうやら露出プレイの味を覚えてきたみたいだな。
随分と恥ずかしそうにしてたが、俺には分かる。お前、ノーパンのまま男の店員と話してた時、感じていただろ?完全に発情したメスの顔になっていたぞ。
お前は露出プレイに男が関わってくると余計に感じてしまう体質のようだな。
まったく、お前は調教のし甲斐があるよ。
次の命令を出してやる。
来週の月曜、お前が一番イヤらしいと思う下着を穿いて朝5時に駅前にある証明写真ボックスに行くんだ。
そこでスカートを捲ってお前のイヤらしい下着を穿いた股間をレンズに向けて撮影してこい。
そしてそのまま写真を置いて帰るんだ。
俺が写真を拾って確認してやる。まぁもしかして俺より先に他の奴が拾ってしまうかもしれないがな。
見ず知らずの人間にお前の変態写真が見られる可能性もある。その事も頭に入れながらプレイするんだ。その方が興奮するだろう?
分かったな?来週の月曜の朝5時だ。命令は絶対だぞ。》
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