女子大生 水野果歩(139)

富田 
「たまには良いだろ?フランス料理っていうのも。」

果歩 
「は、はい・・・凄く美味しいです。私、本格的なフランス料理なんて初めてです。」

富田 
「そうか、よかった。」

窓から見える街の夜景を眺めながら、2人は食事を楽しんだ。

途中レスラン側から富田の誕生日祝いの演出があり、花束やらシャンパンやらを渡された。

それが落ち着いた所で、果歩はバックからラッピングされた箱を取り出す。

果歩 
「富田さん・・・あの・・・これ・・・。」

富田 
「・・・ん?俺に?いいのか?」

富田は食後のコーヒーのカップを置いて、果歩からのプレゼントを受け取った。

果歩 
「どんな物が良いかわからなくて・・・気に入ってもらえるか分からないんですけど。」

富田 
「開けていいか?」

果歩 
「ハイ。」

果歩が富田に送ったプレゼントはネクタイだった。

年上の男性に送るには定番かと、果歩は勝手に思っていたのだ。

しかし買ってから気付いたのだが果歩は富田のスーツ姿を見た事がない。

富田 
「・・・ネクタイか・・。」

果歩 
「あ・・あの、ごめんなさい、もしかして富田さんスーツとか着る事ってないですか?」

富田の格好といえば、スポーツジムで働いているためいつもスポーツタイプのジャージか、ラフな格好だ。今日はレストランという事でジャケットを着用しているが、ネクタイはしていない。

富田 
「いやいや、俺だってあるぞぉネクタイが必要な時くらい。まぁ本社での会議とか、たまにだけどな、その時に使わせてもらうわ。ありがとな。」

富田は笑いながらそう言って果歩にお礼を言った。

果歩も富田につられる様に笑っていた。

富田 
「ハハッ!それでな・・・」

落ち着いた雰囲気のレストランで時間はゆっくりと流れていく。

富田が話し、果歩が笑う。

そんな普通のカップルの様な時間。

その途中、富田はふと果歩の笑顔を見たとき、なんだか胸が不思議な感情に包まれる感覚を覚えた。

富田 
「・・・・・。」

今まで幾多の女性と身体の関係を持ってきた富田。

自分の誕生日なんて特別な思いは何もないが、なんとなく毎年適当に女を選んで共に食事をとってきた。

女達は皆自分とのSEXに溺れ、そして自分に夢中になっていく。

それぞれの女をその時の富田の気分で好きなように調教した。

女達は富田のどんな要求にも応えたし、どんな破廉恥な事にも女としての理性を捨てて応えた。

富田は内心、そんな女達を見下していた。

交際相手が居ようと居まいと、富田と出会って富田に狙われた女達は皆簡単に股を開く。

数多くの女と寝てきた富田の心には、もはや恋愛感情など存在しない。

・・・どうせあの女も・・・あの女も・・・

もう顔や名前さえ薄っすらとしか覚えていない女達を思い浮かべる。

そして、今目の前にいる果歩も同じだ。

果歩は自分とのSEXに溺れているし、もはや何もかも自分の言いなり。

今までの女と同じじゃないか。

・・・同じじゃないか・・・

・・・なのに・・・何だこの気持ちは・・・

富田は自分の心に芽生え始めている感情に戸惑っていた。

もう散々汚したはずなのに、果歩の笑顔からはまるで汚れを知らないような美しさ、可愛らしさ、清純な雰囲気を感じる。

それがなぜなのか、富田には分からなかった。

富田 
「果歩・・・そういえば、留学中の彼氏君とはその後どうなんだ?」

果歩 
「・・・ぇ・・・・?」

唐突に富田の口から飛び出した質問に、果歩は戸惑いを見せる。

富田 
「連絡とか、取っているのか?」

果歩 
「・・・・・。」

富田 
「・・・・・。」

果歩 
「・・・メールは・・・でも・・・返せなくて・・・。」

果歩は俯き加減で考えた様子を見せた後、ボソっと小さな声でそう言った。

富田 
「どうして返せないんだ?」

果歩 
「・・・それは・・・。」

そう言ってまた黙り込んでしまう果歩。

先程まで楽しかった雰囲気が一気に重くなる。

富田 
「俺とヤってるからか?」

果歩 
「・・・・・。」

果歩の目がウルウルと潤み出している。

富田はそんな果歩の表情を見つめながら、ゆっくりと口を開く。

富田 
「・・・・ホテルの部屋、とってあるんだ。行くか?」

果歩 
「・・・ぇ・・・?」

富田 
「明日大学休むんだろ?」

2人はレストランを出ると、そのままホテルの階を上がり部屋へ向かった。

富田はこの日スイートルームを用意していた。

果歩 
「わぁ・・・凄い・・・・。」

果歩は部屋に入った瞬間から目を丸くした。

驚くのも当然だ、果歩はこんな高級ホテルはもちろん、こんな豪華なスイートルームに泊まるのは初めてだったのだから。

窓からの景色はもちろん、椅子やテーブル、さり気無く置いてある小物まで全て高級品に見える。

部屋に入った所で呆然と立って部屋を眺めている果歩。

富田 
「ルームサービスでワインでも頼むかな・・・あ、さっきのシャンパンでもいいな・・・・果歩、少し休んだらシャワー浴びてこいよ。」

果歩 
「・・・ハ・・・ハイ・・・。」

シャワー浴びてこいよ・・・富田のその言葉を聞いた瞬間、果歩は自然と胸が熱くなるのを感じた。

コメント

  1. メンメン より:

    SECRET: 0
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    更新しました、今週もよろしくお願いします。

  2. 匿名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    更新、心待ちいたしております。

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