居候と人妻 真弓(33)

結局、その日の夜も真弓は拓実の部屋に遊びに来ていた。

一応口実は〝漫画の続きが読みたいから〟だったが、真弓も拓実も他の何かを期待しているのは互いに表情を見て分かっていた。

それに、お風呂上りのパジャマ姿で一緒にベッドの上でゴロゴロしていたら、若い拓実が欲情しない訳がない。


「……ま、真弓さん、あの……」


「ちょっと待って、今良いところなの。」

漫画に夢中になっている真弓。

しかし拓実は耐えられなかった。

真弓の方から感じるシャンプーの甘い香り。お風呂上りのしっとりとした肌。そしてプルンと潤っている柔らかなそうな唇。

風呂上りの女性と言うのは、どうしてこんなにも色気が増すのだろう。

今日の午後は昨夜のセックスの事ばかり考えてしまい勉強なんて殆どできなかった。

セックスの味を知ってしまった若者は野獣のようになる。

例え昨日満腹になるまでそれを味わったとしても、一日も経てばもう空腹だ。


「真弓さん俺……もう我慢できませんっ…!」

そう言って拓実は寝転がりながら漫画を読んでいた真弓の身体に抱き付いた。


「キャッ!ちょ、ちょっと!拓実君!?」


「真弓さん……ハァ……」


「拓実君ったらどうしたの?落ち着いてっ」


「俺、我慢出来ないです。」


「……何が我慢できないの?」

もちろん真弓も分かって聞いている。だから真弓は笑顔だった。


「それはその……セックス……したいんです。ダメですか?」


「……拓実君さ、昨日のアレは誕生日プレゼントだって言ったでしょ?」


「……はい……」


「拓実君の誕生日は昨日で終わりでしょ?」


「そうですけど……」


「じゃあ今日は出来ないよね?」

真弓のその言葉を聞いてガックリする拓実。

でも諦めきれないのか、拓実は真弓に抱き付いたまま離れない。


「……」


「……拓実君?」


「……どうしても……ダメなんですか?」

あまりに必死な拓実にクスクス笑ってしまう真弓。

しかも拓実の硬くなったアレが真弓の腰に当たってる。


「もぉ、そんなにエッチしたいの?」


「……はい。」


「じゃあね……私をその気にしてくれたらいいよ。」


「真弓さんを、その気にですか?」


「うん。」


「でも、どうやってやればいいんですか?」


「それは拓実君が考えてよ。」


「……分かりました。」

真弓の要求は〝昨日は私がリードしたんだから今日は拓実君がしてね〟という意味。

しかし童貞を捨てたばかりの拓実にとってそれはなかなか難しい事だ。

拓実はそのまま少し考え込むような素振りを見せた後、いきなり真弓にキスをしようとした。


「ちょ、ちょっと拓実君、ダーメだよ、いきなりキスなんて。」


「えっ、あ、すみません……」


「もっと雰囲気作りっていうかさ、そういうのやってよ。」


「……でも、分かんないです、俺。真弓さん、最初だけ教えてください。」


「ん~……じゃあ最初だけだよ?まずはこうやって……ちゃんと抱きしめて。」


「こ、こうですか?」


「うん、ギュってして。」

そう言って抱きしめ合う2人。


「……拓実君ってさ、肩幅広いよね。」


「そう、ですね、まぁ俺くらいの身長のやつは大体このくらいはありますけど。肩幅広いと良いんですか?」


「うん、なんか抱きしめられてる~って感じがするし。拓実君はこうしてて私で何か感じる?」


「感じる、ですか?えっと……真弓さん、オッパイ柔らかいですね。」


「え~オッパイ?拓実君ってほんとオッパイ好きだよね。」


「はい、大好きです。」


「もぉ……私で感じる事、それだけ?もっとドキッとするような事言ってよ。」


「ドキっとする事ですか?えっと、あとは……」


「あとは?」


「真弓さんって、良い匂いしますよね。」


「わぁ、匂い?私ってどんな匂いなの?」


「なんか、甘いです。」


「そうなんだ……甘いのが良いの?」


「良いです。なんていうか、興奮してきます。」


「え~そうなんだ……あ、でも私も拓実君の匂い好きだよ。」


「俺の匂いですか?どんな匂いですか?」


「どんな匂いかなぁ……上手く例えられないよ、拓実君の匂いって感じ。他にはないような。」


「臭くないんですか?汗臭かったり。」


「全然臭くないよ、良い匂いだよ。あ、でも私、汗臭いのとかも結構好きかも。」


「そ、そうなんですか……もしかして真弓さんって匂いフェチですか?」


「あ~言われてみればちょっとそうかもね。好きな匂いとダメな匂いはあるだろうけど、拓実君の匂いは好きだよ、うん。」


「真弓さんに匂いを嗅がれてると思うと興奮してきます。」


「ほんと?じゃあもっと嗅いじゃおうっと。」

そう言って真弓は拓実の腋の間に顔を突っ込んだ。


「ちょっ!ま、真弓さん、そこはヤバくないですか?」


「うふふ、大丈夫だよ~いい匂いだから。」

まるで恋人同士がイチャイチャするようにそんなやり取りをしながら、2人はしばらく互いの身体の匂いを楽しんでいた。

そして気分が高まった所で拓実が真弓に再び聞く。


「真弓さん、次はどうしたらいいんですか?」


「次いきたいの?」


「ダメですか?」


「ううん、ダメじゃないよ。でも……ここからは拓実君がリードして。拓実君がしたいように、私もするから。」


「……分かりました。じゃあ……」


「……」


「……」

見つめ合う2人。

男と女は、相性が良ければ、見つめ合うだけで分かり合える。

拓実が目で
「キスしてもいいですか?」

と聞き、真弓も目で
「うん、いいよ」

と答えた。

そして2人はゆっくりと顔を近づけ、唇を重ね始めた。

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