真弓は拓実に抱きしめられながら目を閉じ、拓実の胸の鼓動を聞いていた。
今までで一番気持ち良かった、二人で溶け合い一つになったセックス。
その余韻をずっと味わっていたかった。
そして拓実に言われた言葉を思い出す。
〝俺…好きです…真弓さんの事…〟
また胸の奥が熱くなる。
そして、つい言ってしまった、真弓の本音。
〝拓実君……私も……好き……〟
夫の正人と結婚して、もう自分は恋愛はしないんだと思っていた。
結婚した時は幸せだったけど、同時にそれが少し寂しくもあった。
でも、まさかこんな年下の男の子とこうなるなんて、思いもしなかった。
それに、この胸の奥が熱くなる感じ……。
まるで学生の頃に戻ったみたい。
しかもそれが嬉しいと感じてしまう。
それじゃいけないのに。
正直最初は火遊びのつもりだった。
好奇心に突き動かされて、拓実とセックスをした。
浮気。
そう、浮ついていた。
夫が海外に行き、浪人生の男の子と2人暮らしをしていて、気分が浮ついていた。
今まで女として生きてきて、そんな事をしたのは初めてだったし、自分でも信じられなかった。
でも拓実とのセックスは、今まで真弓が経験してきたセックスと違い過ぎた。
拓実とのセックスで真弓は女としての悦びを初めて知ったのだ。
しかも回数を重ねれば重ねるほど、どんどん気持ち良くなってくる。
そして今回、2週間拓実と身体の距離を置いてみて真弓は気付いた。
拓実の心と身体が真弓に依存しているのと同じように、真弓自身の心と身体も拓実に依存していたのだと。
2週間、ずっと拓実の事を考えていた気がするし、ずっとセックスの事も考えてた。
早く拓実に抱かれたいと思っていた。
拓実がいない生活を、今は考えられなかった。
毎日拓実にご飯を作って、美味しそうに食べてる拓実の笑顔を見て、ソファで拓実と一緒にドラマを見て、そんな拓実に愛されながら蕩けるような気持ち良いセックスをする。
そう、真弓は拓実との二人暮らしの生活に、幸せを感じていたのだ。
女としての幸せを。
そして拓実に告白されて真弓は今、最高潮に幸せな気分になっていたし、気分もさらに浮ついていた。
浮つかずにはいられない。だって嬉しいんだから。
それがありのままの真弓の気持ちだった。
「……真弓さん……」
しばらくしてセックスの余韻がようやく引いてきたところで、顔を上げた拓実が名前を呼んできた。
その時の拓実は、やっぱり少し切なそうな表情をしていた。
〝好きです〟〝私も〟
一瞬二人は結ばれたように思えるけれど、最終的にはこの恋愛が成就しない事を拓実も分かっているからだ。
そして何より、拓実も人の妻に手を出しているんだという事を、告白してしまった事で逆に実感しているのかもしれない。
だから切ない顔をしているんだ。
でも……なんだろう……
真弓はそんな風に苦しんで切なそうにしている拓実が可愛くて、愛おしくて仕方なかった。
そしてそんな真弓の中で、小悪魔が顔を出す。
「もぉ……言っちゃダメって言ったじゃん。」
そう言って真弓は拓実の頬っぺたを指でツンツンと突いた。
「……すみません。」
申し訳なさそうな顔をする拓実。
その顔がまた可愛い。
もっと見たい。
「拓実君、私結婚してるんだよ?」
「……はい。」
「拓実君は、私とどうなりたいの?」
「……分からないです……俺はただ、真弓さんに伝えたくて……すみません。」
申し訳なさそうに謝る拓実。
そんな拓実を見ていたら、真弓はまた堪らなくなって拓実の唇にチュッとキスをした。
そしてまた笑顔を見せて真弓は拓実にこう聞いた。
「拓実君、私がなんて答えたか聞こえてた?」
「……はい……」
「それを聞いてどう思ったの?」
「……すごく……嬉しかったです。」
その言葉を聞いて、真弓も自然と嬉しい気持ちになる。
そして真弓は少し恥ずかしそうにしてこう言った。
「私も……拓実君が好きって言ってくれて凄く嬉しかったよ。」
「……真弓さん……」
「私達……どうしたらいいんだろうね……」
そう言って真弓は拓実を優しく抱きしめた。
不安そうな顔をしている拓実を、抱きしめたくなったから。
柔らかな真弓に包まれながら目を閉じる拓実。
「私ね……本当の事言うと、今も酷い事を考えてるんだよ。」
「酷い事……ですか?」
「うん……拓実君にはもっともっと私に夢中になってほしいって思っちゃってるの……拓実君が傷つくのは分かってるのに。」
「……それは……真弓さんは悪くないです。俺、真弓さんにそう思ってもらえるのは凄く嬉しいですし、それに俺の方が酷いですよ、真弓さんが結婚していると知っておきながら、こんな事をしているんですから……」
そう真剣に話す拓実を見て、真弓はついクスクスと笑ってしまった。
拓実はどうして真弓が笑うのか分からないようで、頭の上に?を作っていた。
「真弓さん……?」
「ごめん笑っちゃって……私達、2人共酷いなって思って。」
「……そ、そうですね。」
拓実もそう言って少しだけ笑った。
「私……先の事なんて考えられないよ。」
「……俺もです……。」
「じゃあ、もう考えるの止めよっか。」
「え?」
「今は、今の事しか考えれないし……私、今はとにかく拓実君とこうしていたい。」
「真弓さん……」
顔を起こして、再び見つめ合う二人。
「……ねぇ拓実君、お願いがあるんだけど。」
「なんですか?」
「もう一度言って欲しいの。」
「もう一度……ですか?」
「うん……その……好きって。」
「え……今ですか?」
「嫌なの?」
ちょっと怒った風の顔で言う真弓。
「嫌じゃないですけど……ちょっと恥ずかしいです。」
「え~さっきはあんなに言ってくれたのに、言ってくれないともうエッチしてあげないよ。」
「わ、分かりました、言いますから。」
「ウフフ、じゃあ言って、気持ちを込めてねっ。」
「……好きです……」
「もう一回。」
「……好きです……真弓さん……」
嬉しい。拓実の真っ直ぐな気持ちが嬉しくて、胸の奥がまた熱くなる。
「……私も……好きだよ、拓実君。」
「真弓さん……」
真弓と拓実は互いに顔を近づけ、再び濃厚なキスをし始めた。
そしてそのまま自然とセックスへ。
お互いの気持ちを確かめ合った後のセックスは、さらに気持ち良かった。
身体を重ねれば重ねるほど、気持ちが一つになっていき、幸福感が増していく。
先の事は考えない、考えられない。
今は……今この瞬間だけは……
拓実は真弓の事だけを想い、真弓は拓実の事だけを想っていた。
そして真弓と拓実はその夜、何度も何度も、心ゆくまで愛し合ったのだった。
コメント
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コメントありがとうございます。
いいですね~僕もそういうのが好みなので、それっぽい展開を予定していたのですが、ちょっと今考えてます。
読者さんのコメントを読んで、危険な純愛路線をそのまま過激にしていくのもありかなぁと。
たぶん女性の読者はその方が好きな人が多いと思うんですよね。
佳代と亜紀は男性目線で描いていたので、今回は女性を興奮させたいという気持ちもあります。
今後の展開、ちょっと修正したりして迷い中です。
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大学に入ったら、新歓コンパなどで過去の体験をぶっちゃけるトークで盛り上がったりすると思うのですが、酔いの勢いで真弓との関係を話してしまい、ヤリチンが手を出そうとする、別の友達は童貞で真弓卒業しようとする。などなど、そこまで引っ張る必要もなさそうなネタはいくらでも出てきますね!
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> 私も今回は複数プレイではなく、危険な純愛路線を期待したいです。
危険な純愛路線、それも良いですねぇ。
少し考えますけど……複数プレイは……まだ何とも言えないですねぇ。
ご期待に沿えるかどうか、微妙かもです。
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> いい感じ!
> とりあえず、いつもの複数プレイにならないことだけを願ってます。
う~ん……いつもの感じかどうか分かりませんが……複数プレイもあるかも……どうしよう(*_*;
僕自身が結構好きなので……。
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コメントありがとうございます。
はい、ヤリまくります。笑
勉強は……まぁこの家は浪人生の居候先としては不適切だったという事ですね(^^;)
受験の結果はまだ分かりませんが、どうなることやら。笑
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コメントありがとうございます。
4月から社会人なんですね、色々とプレッシャーもあると思いますが、人生楽しめるように、頑張ってください。yuさんの仕事が上手くいくように、祈っておきますね( ◠‿◠ )
僕の小説が励みになるだなんて……嬉しいです、ありがとうございます。
はい、これからも更新頑張りますね☆
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コメントありがとうございます。
わぁ、1207さんもW不倫中なんですね、なんだかコメント欄に不倫告白する方が続出して、僕も興奮を抑えきれません。笑
しかも1207さんの告白は生々しくて凄く良いです。
なかなか逢えないからこそ、周りを気にして隠れながらバレないようにするから、その分熱いセックスになるんですね。
そういうお話を聞くと、僕の創作意欲も湧いてきます。ありがとうございます。
更新、頑張りますね☆
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> うまいなあ
ありがとうございます(*´▽`*)
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コメントありがとうございます。
身体の相性抜群の相手と四六時中一緒に暮らしているんですからね、こんな環境だったら誰でも抜け出せなくなりそうですよね。笑
はい、更新マイペースですが、頑張りたいと思います。
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コメントありがとうございます。
ゆうさんも不倫中なんですね、そういうコメントを頂くと逆に僕が興奮してしまいます。笑
でも実際、色々大変な事もありますよね……本人達にしか分からない苦しみというか。
真弓と拓実は幸せに……なれるかなぁ……どうかなぁ。
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コメントありがとうございます。
というかGさん、まもなく同じような体験をしそうなんですか!凄い(*^。^*)
W不倫……そういうコメントを読むだけで僕もドキドキしてきます。
分かっていても止められない……なんとなく分かる気がします。
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> 更新お疲れ様です。以前、一度コメさせていただきました者ですが、ご主人にバレたら修羅場にみたいな書き込みをしたと思います。メンメンさんは、修羅場になるような設定ではない明るい感じのストーリーにとおっしゃっていたのを覚えています。
> この先の展開がどうなるか分かりませんが、多分元通りの状態に戻ると思いますが、問題はその後のご夫婦の夜の営みに影響出やしないかということですね。相性抜群で恋愛感情もある二人。真弓さんはきっぱり別れられるんでしょうかね。一度スゴイSEX快楽を味わってしまうと麻薬みたいに抜け出せなくなるタイプの女性もいますから。真弓さんはどうなんでしょうね。
コメントありがとうございます。
そうですね、今後も修羅場なしのセックスを楽しむ感じのストーリーになると思います。
真弓と拓実がどうなるか、真弓は拓実とのセックスを忘れられるのか……物語はまだまだ続きますが、最終的にどこで終わらせるかというのも、官能小説では結構難しいところです。もちろん僕の中では展開はもう決まってはいるのですが……。
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私も今回は複数プレイではなく、危険な純愛路線を期待したいです。
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いい感じ!
とりあえず、いつもの複数プレイにならないことだけを願ってます。
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こうなれば、毎日色んな所でやりまくるのでしょうね……べ、勉強は?(^^;)
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今回もすばらしいお話ありがとうございます。
僕は明日の4月からホテルに就職するのですが、圧倒的に不安が多くて精神的に重い日々が続いています。それでもおかしいかもしれませんがメンメンさんのお話が励みになっています。
これからも楽しみにしています。
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私も現在進行形で、W不倫してます。
お互い既婚ですので、外でウロウロは出来ず、
逢ったらホテルに直行です。
中々逢えないので、部屋に入ったら5分もしないうちにお互い裸になりまぐわいます。
中々逢えない分、逢った時の身も心も熱く繋がるセックスって最高です。
この小説を読んでると、今の二人がダブって興奮します。
逢えない時にこの小説を読むと、今度こんな感じでとかこんな事をしてみようとか、ついつい妄想しちゃいます。
今後も引き続きドキドキの小説お待ちしてます。
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うまいなあ
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今回はエッチというよりラブラブな感じで、この先もワクワクしちゃいますね!!
私だったら抜け出せなくなっちゃいそうですww
拓実君とくっ付いたら気持ちいいんだろうな!!
またの更新楽しみにしてますね〜
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いつもドキドキしながら読んでいます。
私は現在進行形で不倫中です。。
旦那との関係は冷めきっていて正直先が見えません。
しかしお互い子持ちで 相手の男性もどこまで本気なのかもわからず、自分もどうしたいのかわからず。。
もやもやを抱えたままいつも会っています。
2人には幸せになってもらいたいです。
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すごくいいですね。
こういう甘酸っぱい展開になるとは思っていませんでした。
行き場のない感情をどうコミュニケーションするか。
そういう場に遭遇してうまく言えなかったこともありますが、、まもなく同じような場面を体験しそうな身としてはとても参考になりました。。
期間限定のW不倫ですが、先のことなんて考えられません。
理性。
わかっていても、いつも際どいスキンシップや言葉を交わして、お互いの気持ちに気づいている以上は止められないですね。
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更新お疲れ様です。以前、一度コメさせていただきました者ですが、ご主人にバレたら修羅場にみたいな書き込みをしたと思います。メンメンさんは、修羅場になるような設定ではない明るい感じのストーリーにとおっしゃっていたのを覚えています。
この先の展開がどうなるか分かりませんが、多分元通りの状態に戻ると思いますが、問題はその後のご夫婦の夜の営みに影響出やしないかということですね。相性抜群で恋愛感情もある二人。真弓さんはきっぱり別れられるんでしょうかね。一度スゴイSEX快楽を味わってしまうと麻薬みたいに抜け出せなくなるタイプの女性もいますから。真弓さんはどうなんでしょうね。