その部屋にはあまりに非現実的な空間ができていた。
室内の温度は急激に上がっているように感じた。
それは20人もいる男達の熱気が原因なのであろう。
発情した野獣のようになった男達、そのドロドロとした欲望の矛先は、全て果歩に向けられている。
大きなベッドの上で果歩を取り囲んだ男達はゆっくりとその手を裸である果歩の身体に伸ばしていった。
果歩
「・・・ぁ・・・イヤ・・・」
果歩の細い足首を1人の男が掴んだ。
反射的に果歩は脚を引こうとしたが、男の手はビクともしなかった。
今度は別の手が逆の足首を掴んでくる。
そして手首、肩、腰、次と次と男達の手は伸びてきて、果歩の身体を動けないように固定した。
ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・
男達は無言だった。聞えてくるのは荒くなっている息使いだけ。
毎日のように顔を会わせ、挨拶を交し合ってきた人達が、今はまるで別人のような顔をしている。
果歩
「ぅ・・・ぁぁ・・・」
そして2本の手が果歩の2つの乳房に伸びてきて、ゆっくりとその柔らかな膨らみを揉み始めた。
優しく仕事を教えてくれたあの人と、いつも冗談を言って笑わしてくれていたあの人が、今は鼻息を荒くして自分の乳房を揉んでいる。
・・・柔らけぇ・・・とだけ呟く声が聞こえると、果歩の身体を触る手の数は一気に増えていった。
これが現実に起きている事だとは到底受け入れ難い。
しかし身体の至る所から感じる男達の手の感覚と、この部屋に充満する熱気と男達の臭いが、これは現実なんだと果歩に教えてくる。
果歩
「ァァ・・・」
多くの男達に全身をベタベタと手で触れる行為に、果歩の身体は反応していた。
身体が熱くなってきている。
アソコからジワっと熱いものが溢れてくるのが自分でも分かった。
・・・イヤ・・・・
喜んでる・・・身体が喜んでる・・・
沢山の手から伝わってくる感覚が、熱に変わって下腹部に集まってきていた。
またあの感覚だ。
ジンジンと疼くようなあの感覚。
淫乱なアソコがアレを欲しがり始めている。
そしてその感覚は、果歩の心までをも浸食し始めるのだ。
それはいつもの事。
やがて我を忘れて性的欲望を剥き出しにしてしまう自分が想像できる。
・・・私・・・何してるんだろう・・・
男達に身体を弄られながら、果歩は天井をジッと見つめた。
富田とのSEXに溺れる日々・・・
友哉との別れ・・・
秋絵への嫉妬・・・
友哉の言葉・・・
秋絵の言葉・・・
知子の言葉・・・
果歩の頭の中を、今までの様々な記憶と言葉がグルグルと掻き回す。
・・・知子ちゃん・・・秋絵先輩・・・
・・・友哉ぁ・・・
果歩
「・・・ぁぁ・・・ぅああ・・・」
ぁぁ・・ああああ・・・あああああああ・・・・!!!!
記憶に掻き回されグシャグシャになっていく果歩の心。
感情が崩れていく。
そして・・・何もかもが崩れ去った後、果歩の目の前は真っ暗になった。
暗い世界。
底無しだと思っていたその世界。
富田と初めて身体を交わらしたあの日から、欲望と快楽だけの暗い世界に沈んでいった果歩は、今その世界の底に着いたのだ。
真っ暗で・・・冷たくて・・・寒い・・・
ここには何もない・・・
果歩は真っ暗な世界で1人立ち竦み、辺りを見渡した。
果歩
「・・・・・ここ・・・イヤ・・・寒いよ・・・寂しいよぉ・・・」
果歩は途轍もない不安と寂しさに襲われていた。
どちらに向かえばいいのか分からないまま、果歩は歩きだす。
果歩
「・・・友哉ぁ!・・・知子ちゃーん!・・・秋絵センパーイ!・・・・どこにいるのぉ・・・」
まるで迷子になった子供のように、目に涙を溜めながら果歩はさ迷い続けた。
しかし何処を探しても誰も居ないし、何処まで行っても見えるのは真っ暗な暗闇だけだった。
果歩
「ぅぅ・・・ぅぅ・・・ぅぅ・・・ヒック・・・ぅぅ・・・ぅああ・・・!!」
果歩はその場に膝から崩れ落ち、声を上げて号泣し始めた。
ボロボロと流れる涙。
悲しくて、寂しくて、切なくて・・・
果歩は泣き続けた。
果歩
「ぅぅ・・・ぅ・・・」
ようやく涙が止まり始めた頃、ふと何かに気付いたように果歩が顔を上げる。
何か人がいる気配を感じたのだ。
果歩
「・・・・・誰・・・?」
涙に濡れた真っ赤な目で、果歩は気配を感じる方向を見つめた。
果歩
「・・・・・・」
遠くの方に人が立っている。男が・・・ひとりで。
その男はただ呆然として無表情でそこに立っていた。
そしてその男の目はどこか寂しそうでもあった。
果歩
「・・・・富田・・・さん・・・?」
果歩は泣き疲れて重くなった身体でゆっくりと立ち上がり、富田の名前を呼んだ。
果歩
「・・・富田さーん・・・!」
しかし富田は、ただ立ったままで果歩の声に何も反応しない。
果歩
「・・・富田さん・・・ぁぁ・・・富田さん・・・」
気付いた時には富田の所へ向かって走り始めていた。
・・・ひとりは嫌・・・ひとりは嫌・・・ひとりは嫌・・・1人は嫌・・・寂しいのはイヤァ・・・
果歩
「はぁ・・・はァ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
しかし富田はただそこに立っているだけなのに、果歩と富田の距離は一向に縮まる事はなかった。
果歩がどんなに一生懸命に暗闇の中を走っても、富田の所へは辿り着けなかった。
果歩
「はぁはぁ・・・どうして・・・富田さん・・・待って・・・私・・・富田さんがいないと・・・ぁぁ・・・行かないで・・・お願い・・・」
それでも果歩は必死に走り続けた、ただ感情も何もない人形の様に立っている富田を求めて・・・。
コメント
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コメントありがとうございます。
毎日…そうですかぁ嬉しいです!ありがとうございます。
クライマックスはまだかなぁ…もうちょっとだと思います。もしかして200話くらいはいくかもしれません(苦笑)
凄い長いですけど、最後まで果歩の物語に付き合ってもらえたら嬉しいです。
はい、頑張ります!
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初めましてこんにちは。
コメントありがとうございます。
そう言って頂けると嬉しいですね、やっぱり。書いてる甲斐があります。
そうですかぁ、なんか水野果歩はMな女性の方に多く支持を頂いているみたいですね。
果歩と自分を重ねて読んでます、みたいな方が多いです。
それは官能小説を書いている身としては、凄く嬉しい事なんです。
読んでいる人を妄想の世界に引き込めるような小説が書きたいと思ってやってますので。
性癖はある程度濃い方が楽しいですよね、まぁ現実でできない事は、妄想ではある程度何でもできますので…楽しんで頂けたらと。
これからも読者の方を感じさせられる物を目指して頑張りたいと思います。
ま、まぁ…僕はどんな意見でも欲しい方なんで大丈夫ですけどね。コメントがないと僕も淋しいですし☆
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お久しぶりです和泉さん。
和泉さんがおっしゃりたい事…よく分かります。
水野果歩は前半部分と後半部分でかなり方向性が変わってしまった事は僕も自覚してます。
その原因は話が長くなり過ぎたって事だと思います。
長い期間書き続ける事で、小説のジャンルが変わってしまったかなと…。
和泉さんが求めているのがどんなの物か、なんとなく分かるんですよ。ただ、水野果歩はこのまま突き進むしか…やっぱり官能小説って相性がありますもんね。
次回作で和泉さんを興奮させてみせます!…たぶん…兎に角頑張りたいと思います。
僕にとって重要なコメント、ありがとうございました。
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孤独っていうのは一番辛いですもんね。
果歩の悲しい気持ちを書いていると、こっちまで悲しくなります。
でもこれって官能小説としてはちょっと可哀相過ぎてダメかなぁ…なんて思ったり…
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毎日楽しみにしてます!
無理せず頑張って下さいね!
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はじめまして。
いつも作品楽しく見させて頂いてます。
他の読者の方々同様
「果歩ちゃーん!あーっ!」
みたいな状態でハラハラドキドキキュンキュンしながら見てました。
私自身M体質なので、その状態も快感だったりするので「Mって楽しいなぁ」と思ったりしています(笑)
これからも楽しみにしています。
下の顔文字の方は可哀相な淋しがり屋さんなんでしょうね(笑)
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メンメンも変わっちまったな(_´Д`)ノ~~
完全に中弛みしてないかい
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今日の果歩は大変せつないですね。(ToT)
独りぼっちになった果歩の、心の深淵が感じ取れます。(*_*)
従業員たちに代わる代わる犯されるて
果歩は一体どんな精神状態を保てるか?
可哀想でもあり
蠱惑的でもあるなぁ。