「おーい、真弓さんも飲み会に参加してくれるってよぉ!」
「おお!マジっスか!さすが新田さん!」
「おい拓実、真弓さんの座布団持ってきてくれよ。」
「あ、はい、分かりました。」
真弓が飲み会に参加する事になって男達は皆喜んでいた。
テーブルの上には空になった瓶や缶が沢山置かれていたけれど、3人共まだまだ飲む気満々という雰囲気だ。
先輩に言われた通りに座布団を持ってきてくれた拓実の横に座る真弓。
拓実だけはアルコールが効いてしまっているようで、顔が真っ赤だった。
「ほら、真弓さんも飲んでください。」
「あ、うん、ありがとう。わっわっ……そんなに入れなくても……」
「まだ一杯目だしこれくらい楽勝でしょ~」
楽しそうにそう言いながら真弓のグラスに酒を並々と注いでいく新田。
真弓は早速体育会系の飲み会の洗礼を受けているような気分になった。
そしてそこから飲み会は真弓の話題を中心に回り始めた。
「へぇー旦那さん単身赴任中なんですか、いつまでですか?」
「えっと…春頃までかな。」
「って事はそれまでずっと拓実と二人暮らしって事か……」
「あ~ぁ、羨ましいと言うか何と言うか……おい拓実!お前いい加減にしろよ!こんな美人さんと2人暮らしなんてしていていい身分じゃねぇだろがお前は!」
「す、すみません……」
「いやでもさ、真弓さんマジで美人ですよね、拓実から美人だとは聞いてはいたけどまさかここまでとは。」
「え……拓実君そんな事言ってたの?」
「そうなんですよ、この前の同窓会の時、〝俺今すっごい美人な女性と暮らしてるんですよ~〟って拓実にめちゃくちゃ自慢されたんですから俺達。」
それを聞いて少し驚いた真弓が隣にいる拓実の顔を伺うと、拓実は真弓に申し訳なさそうにこう言って謝ってきた。
「すみません……俺、酔っ払ってそういう事言ってたらしいんです、あんまり覚えてないんですけど。」
それを聞いて真弓は今日来た3人にジロジロと見られていた理由を理解した。
――なるほど、そういう事だったのね――
「で、その拓実の自慢がムカついたからどんなもんか確認してやろうって事で俺達は今日来たんですよ。」
「そ、そうだったんだ、皆物好きなんだね。」
「でも来てみたら想像を遥かに超えた美人さんが出てきたから俺達ビックリしちゃいましたよ。」
「そんな大げさな。」
「いやいや誰がどう見ても相当な美人ですよ、マジで芸能人かと思いましたもん。」
「あはは、それはさすがに言い過ぎだよぉ。」
年下の男の子達にそんな風に言われるのはなんだか気恥ずかしかったけれど、美人と言われるのは素直に嬉しかった。
しかしそのためにわざわざこの家まで来るなんて、少し笑ってしまう。
元気な男子学生だからできることなのかな。
見た目は大人びていても、やっぱりまだまだ学生身分だからなのか言ってる事は子供っぽい。
そう考えたらなんだかこの3人も拓実と同様に可愛らしく思えてきた。
そしてその後、飲み会は思いのほか盛り上がった。
真弓は最初若い男の子達の話についていけるか不安だったが、今日来た3人は皆話が上手で面白くて、気づいたら一緒に飲んで笑って楽しんでしまっていた。
最初は遠慮気味だったお酒も、楽しいと美味しく感じられてついつい進んでしまう。
「真弓さんまだ飲みますよね?さっき冷蔵庫に入れておいたチューハイ追加で持ってきますね。」
「うん、ありがとー」
「真弓さん結構酒いけるんスね~」
「そんな事ないよぉ、でも新田君達は本当に強いね。」
「いやぁでも楽しいっスわ、真弓さんみたいな美人さんと飲めて。」
「フフッ、そんなに褒めても私からは何もでてこないよぉ、もうデザートも出しちゃったし。」
「俺達は真弓さんとは一緒に飲めるだけで充分っス。ていうか拓実がマジで羨ましいわぁ、こんな家に住めるなんて普通ありえないからな、浪人のくせに。」
新田達からそう言われても、拓実は申し訳なさそうに苦笑しているだけだった。
やはり高校時代に相当厳しい上下関係があったからなのか、拓実は先輩達に何を言われても言い返す事はなかった。
普段真弓と2人でいる時よりも口数も少ない。
「おい拓実ぃ、お前だけペース遅いぞ、さっき注いだやつ早く飲み干せよ。」
そう言って新田が拓実に無理矢理酒を飲ませ、さらにグラスに酒を注ぐ。
体育会系の飲み会なら普通の事なのかもしれないが、拓実が心配な真弓はそのやり取りにすぐに口を挟んだ。
「こら~、拓実君に無理矢理飲ませちゃダメだよ。まだそんなに慣れてないんだから。」
「大丈夫ですって真弓さん、拓実まだ飲めるよな!な?」
「いや、もう俺結構飲んじゃったので……」
「全然飲んでねぇよ、お前も身体デカいんだからもっと飲めるって、ほらそのくらい一気にいっちまえよ。」
「こらっ、もう飲ませちゃダメだよ新田君!拓実君をイジメないで。」
年上らしく新田を叱る真弓。
「イジメてないですって、俺は高校時代からいつも拓実の事は可愛がってきましたから。」
「え~ホントかなぁ。」
「ホントですって、俺高校の時から後輩にはめっちゃ優しかったですから、な?そうだよな?」
新田が拓実を含め酒井と西村にもそう聞くと、3人は揃って苦笑していた。
「いやいや新田さん、新田さんは正直怖かったっスよ。俺達後輩は皆新田さんにビビってましたし。」
「まず顔が怖かったですからね、高校生とは思えなかったですもん。」
「お前らなぁ……顔は生まれつきだから仕方ねぇだろ」
そのやり取りを聞いて、真弓は思わずクスっと笑ってしまった。
「確かに新田君ってちょっと顔怖いよね。」
真弓のその一言で全員が笑い盛り上がる。
「真弓さんまで何言ってんスかぁ、見た目で判断しないでくださいよ、俺ほど後輩想いのキャプテンはいませんよ。」
「いやでも新田さん1年の奴らを殴りまくってたじゃないですかぁ。」
「西村よ、あれは愛のムチと言うんだよ。」
「その愛のムチで何人の部員が退部していった事か……」
「え~新田君そんな事してたんだ、私それはさすがにどうかと思うよぉ、やっぱり新田君って怖いね……。」
真弓が本気で引いたような表情でそう言うと、新田はアタフタしてそれを否定した。
「真弓さん違うんですって、殴ると言っても本当にに軽くですよ?ビンタと変わらないくらい。」
「ビンタじゃ歯は折れないんだよなぁ。」
「おい西村、あんまり余計な事言うなよ。」
「とにかく暴力はダメだよ新田君、まさか大学でもそうなの?そんな事してたら女の子にモテないよ?」
少し説教っぽく真弓が言うと、新田はシュンっと小さくなって真弓には敵わないといった雰囲気でこう言った。
「いやだなぁ真弓さん、さすがに大学ではそんな事してないっスよぉ、俺も反省してるんですよ、高校の時はキャプテンとしての責任感から少し後輩に厳しくし過ぎたなって。でももう心入れ替えましたから、大丈夫です。」
「ホントかなぁ、とにかく拓実君や後輩の子達をイジメたら私が許さないからねっ。」
「真弓さんもっと言ってやってくださいよ、新田さん今でも飲み会になると昔の新田さんに戻っちゃうから俺らも参ってるんですよ。」
「ウフフ、いいよ、じゃあ新田君には私がガツンと言ってあげるから、皆不満に思ってる事があったら今から順番に言ってって。」
「ちょっと勘弁してくださいよぉ真弓さん。おいお前ら卑怯だぞ!真弓さんを味方につけるなんて。」
まるで弟を守る姉のように振る舞う真弓は、飲み会の中ですっかり皆のお姉さん的な立ち位置になっていた。
後輩達に対して常に厳しく偉そうにしてきた新田が美人人妻にコテンパに説教されるという面白い展開に、飲み会はさらに盛り上がっていった。
コメント
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展開が読みにくい
だから
ワクワクドキドキです
\(^_^)/
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真弓さんのお姉さん的な立場が性の誘惑に揺さ振られ
御奉仕する立場にならなければ良いけど…
新田は酒を飲ませて隙あらばって感じでしょう。
権力と腕力で後輩を虐げるような奴と性的関係を持つと
本当に厄介な事に巻き込まれるからねぇ
拓実!寝ちゃダメだ[絵文字:v-237]
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おぉ、ついに、暴力系来たか!!たまにはサディスティック系見たかったです!
まぁ、不倫とか悪いことしてるんでバチですね。
ボコボコにされてください!!