モデルのアルバイト初日、志乃は緊張した面持ちでスタジオがあるビルの中へ入っていった。
中では貴子が待っていてくれて、貴子の優しい笑顔を見た瞬間に、志乃はホッと安心した。
貴子は志乃の緊張を少しでも緩める事ができるように笑顔で撮影の説明をしてくれた。
そしてその後、志乃の撮影を担当するカメラマンを紹介された。
「志乃ちゃんの撮影を担当する安本さんよ。安本さんは最近うちが契約したカメラマンなんだけど、とても腕が良いのよ。」
「わ〜そうなんですね!初めまして、小松志乃と言います、よろしくお願いします。」
「よ、よろしく……」
志乃が安本に深々と頭を下げると、安本も頭を軽く下げてきた。
安本は以前志乃のカフェに行って志乃の接客を受けているが、志乃は安本の事を全く覚えていなかった。
ましてや、この男に今までの露出プレイを盗撮されていた事や、自分の身辺を事細かく調べられていた事も、志乃は知る由もない。
その後、志乃はメイクをしてもらい、さっそく用意された衣装を着る事になった。
衣装は大学1年の女子である志乃にピッタリの可愛らしい物ばかりだった。
プロにメイクをしてもらい、可愛い服を着させてもらったら、気分が上がらない女子などいないだろう。
志乃は鏡に映る自分の姿を見ながら、笑顔をこぼしていた。
「志乃ちゃん、とっても可愛いわ。少しは楽しくなってきたでしょ?」
「はいっ!本当にすごく可愛い服ですね、こんな可愛い服を着させてもらえるだけで凄く楽しいです。」
「うふふ、じゃあさっそくスタジオに入りましょうか。今日は練習だと思って気楽にやりましょうね。」
「はいっ」
二人でスタジオに入ると、そこにはあの真田が待っていて、カメラマンの安本とその他数人のスタッフが撮影の準備をしていた。
スタッフに慣れた様子で指示をする真田。
——あ…真田さん……——
真田の姿を見つけた志乃は、胸がキュンとするのを感じた。
仕事のスイッチが入った真田の表情は、やはり格好良かった。
正直、このモデルのアルバイトも、真田のような男性に誘われなかったら引き受ける事はなかった。
「志乃ちゃんどう?真剣に仕事をしている男の人ってカッコイイでしょ?」
「はい、本当にそうですね。」
貴子に耳元でそう言われ、志乃は真田の方をじっと見つめながらそう返事をした。
貴子はそこにいた男性スタッフ全員の事を指して言ったのだろうが、志乃の目には真田しか見えていなかった。
真田の方ばかり視線を送っているそんな志乃を見て、貴子はクスっと笑みを浮かべていた。
「ようこそ志乃さん、今日は撮影を楽しんでくださいね。」
志乃に気づいた真田は、いつものあの優しい笑顔でそう声を掛けてきてくれた。
「よろしくお願いします!」
志乃がそう頭を下げると、他のスタッフもみんな笑顔で志乃を歓迎してくれた。
そしていよいよ撮影が始まり、志乃は真田の説明や指示を聞きながらカメラの前に立った。
撮影初日という事もあって、やはり志乃は不慣れであったし、とても緊張もしていたが、真田や貴子の気配りもあり、撮影は終始和やかな雰囲気で進められた。
「今の表情とても良いよ志乃さん、そうそう、リラックスして、その笑顔良いね。」
真田が志乃にそんな声を掛けながら、カメラマンの安本がカメラのシャッターを次々と切っていく。
カメラに撮られる事に慣れていない志乃は、シャッター音とフラッシュが焚かれる度に胸をドキドキさせていた。
そして初日という事もあって、撮影は割と短時間で終わった。
緊張していた事もあり、志乃にとってはその時間はあっという間であった。
「志乃ちゃんお疲れ様、これ見て、今日撮影した写真よ。」
撮影終了後、貴子はそう言ってディスプレイの画面を志乃に見せてきた。
その画面を見た志乃は、目を丸くした。
「これ……私……ですか……?」
「うふふ、可愛く撮れてるでしょ?」
その画面に映った自分の姿は、まるで自分ではないようだった。
友達と一緒に撮るような写真とは全く違う。
志乃の若さや可愛さが最大限に引き出されている写真は、まさにプロの技。
自分の写真を見るのは恥ずかしいけれど、それ以上にその写真の完成度の高さに志乃は感激していた。
そしてそんな志乃の後ろから真田も声を掛けてきた。
「志乃さんお疲れ様、今日はどうでした?」
「真田さんお疲れ様です!凄く緊張したけど楽しかったです!」
「それは良かった。
志乃さんはモデルの才能があるよ、こちらからの指示や説明もすぐに理解してくれるし、私達もとてもやりやすかった。」
「そんな、真田さんや貴子さんから優しく教えて頂けたからです。」
「次からは本格的に撮影をしていく事になるけど、しっかりサポートさせてもらいますから、一緒に頑張りましょう。」
「はい!よろしくお願いします!」
そうしてモデルのアルバイト初日が終了し、志乃は帰宅した。
初めての撮影を終え、志乃はこれなら何とかやっていけそうだと前向きな気持ちになっていた。
撮影は恥ずかしいけれど思った以上に楽しかったし、あんなに素敵な写真を撮ってもらえるのはやはり嬉しい。
そして何より、あのスタジオに行けばまた真田に会える。
真田が初めてカフェにやって来たあの日から気持ちを惹きつけられている。
この気持ちが恋なのか何なのかは志乃自身にも分からなかった。
しかし次の撮影日が楽しみで仕方ないという気持ちは確かだった。
———
「安本君、君は本当に腕が良いね、週刊誌のカメラマンとは思えないくらいだ。」
志乃が帰った後、安本はスタジオで真田にそう声をかけられた。
「そりゃどうも、しかしなんで志乃のモデルの撮影まで俺にさせるんですか?この会社なら他にも専門のカメラマンはいるでしょ?」
「君の腕が良いというのは本音だからだよ、君が盗撮した志乃の写真はただのパパラッチの域を超えているように見えた。
それに志乃の撮影は君にしてもらった方が面白いと思ったのさ。」
「そうですか、まぁ金が貰えるなら何でもやりますけどね。」
「ところで、これから別の撮影もあるんだが、それにも参加してくれないか?」
「え?まぁ良いですけど、別の撮影ってどんな?」
「男性モデル2人と女性モデル1人の合同撮影さ。そこで君には撮影の練習をしてもらいたいんだ。」
「練習ってどういう事ですか?」
「まぁ来れば分かるさ。」
そう言われ、安本は別のスタジオに連れて行かれた。
そこは小さなスタジオで、中には大きなベッドが置かれていた。
そう、そのスタジオはこの前志乃と沙耶が帰り際に見学した、あの下着モデルを撮影していたスタジオだ。
「こ、これは……」
そこにはすでに下着姿の男性と女性がベッドの上で待機していて、安本は驚きを隠せなかった。
「安本君、君にはこれからこのベッドの上で行われる芸術的な瞬間を自由に撮影して欲しいんだ。今日は君の感性が見たいんだ。」
真田からの指示はそれだけだった。
いったいどういうつもりなんだと困惑しながらも、安本はそれを受け入れた。
そして間もなく撮影が始まった。
———
「はぁ!ああん!ああっ!……真田さんっ!ああっ!もうダメ!ああっ!」
撮影開始から1時間、スタジオには女性モデルの喘ぎ声が響いていた。
ベッドの脇に脱ぎ捨てられた男女の下着。
熱のこもった息使い、肉と肉がぶつかる乾いた音と、ヌチャヌチャと鳴る粘液質な音。
男性二人の間で卑猥に揺れる、汗だくな女性モデル。
熱気の混もったスタジオ内で、安本も額に汗を滲ませながらカメラを向けてシャッターを切り続けていた。
そしてそんな目の前の異常な光景を撮影しながら安本は思わず小さく呟いた。
「なんなんだよこれ……これじゃまるでAVの撮影じゃないか……」
コメント
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更新ありがとうございます!ゆっくりお休みになれましたでしょうか。今年も楽しみにしてます!
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今年初更新ありがとうございました~
女性モデルの状況…
志乃の未来も見えますねW
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たのしくなりそうですね。
カメラの前でオナニーする志乃がみたい
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安本も、巻き込まれている側なんですよねー
今年も更新が待ちきれない、ワクワクが止まらない作品を楽しみにしています!
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コメントありがとうございます。
はい、ゆっくり休めました!今年もよろしくお願いします!
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コメントありがとうございます。
志乃の未来がどうなるか…お楽しみ!
今年もよろしくお願いします。
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明けましておめでとうございます。
カメラの前でオナニー、良いですね。
今年もよろしくお願いします!
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> 安本も、巻き込まれている側なんですよねー
>
> 今年も更新が待ちきれない、ワクワクが止まらない作品を楽しみにしています!
コメントありがとうございます。
そうですね〜安本視点でも楽しんで頂ければと思います。
楽しんでいただけるように頑張りますね!