官能小説 人妻 吉井香苗(40)

香苗 
「ン…ぁはあああ……アア……」

突き抜けるように快感が全身に広がり、一気に頭が真っ白になった。

身体を反らせ、顔は天を仰ぐ。

ローターのスイッチを間違えて最も強い振動に切り替えてしまった香苗は、膣の中から伝わる強烈な刺激に瞬く間に快感絶頂に導かれた。

自分自身で焦らしに焦らしていた絶頂の快感は香苗の想像を遥かに超えていて、半開きに開いた口から漏れる声は我慢する事ができなかった。
いや我慢しようと考える思考能力さえ、その強烈な快感は香苗から奪ったのだ。

香苗 
「ぁぁ……ハァ……ンァ……ハァ……」

香苗の身体は全身を硬直させた後、そこからの反動を起こすようにして一気に脱力した。
全身に力が入らなくて、絶頂の余韻に身体はビックンビックンと反応する。

そして絶頂に達した事を示すかのようにギュウっとキツく締まった香苗の膣からは激しく震動するローターが押し出されるように出てきて、そのままベランダに落ちた。

ガタガタガタガタガタ……!!!

落ちた瞬間にローターはけたたましい音を響かせる。

香苗 
「ハァ…ぁ……」

……ああ……イヤ……ダメ……

ローターが立てる大きな音を聞いて快感に思考力を奪われていた香苗に再度危機感が戻っていく。

このままでは中嶋達にバレてしまうという危機感が。

そして香苗は快感の余韻に酔う朦朧とした意識の中、なんとかローターを拾い上げた。


「ちょっと何今の音、変なの聞こえなかった?」

中嶋 
「ああ、聞えたな、確かに。」


「やだ……そこに誰かいるんじゃないの?」

中嶋 
「フッ……いるのかねぇ…ちょっと確認してみるか。」

……ダメ!!……見られちゃう!!……

手に卑猥なオモチャを持ち、顔を火照らせている、裸姿の香苗。

こんな姿を見られたら女としての人生が終わってしまう。

香苗は急いでローターのスイッチを切り、慌てて部屋に戻ろうとする。

しかしまだ快感の余韻が大分身体に残っていて思うように力が入らない。特に下半身がまだガクガクと震えて上手く動いてくれない。

……はぁぁ……戻らないと……戻らないと……

香苗は力の入らない身体で四つん這いになって必死に部屋の中へと戻って行った。

そしてなんとか部屋の中に入った香苗は、急いで少しだけ開いていたカーテンと窓を閉めた。

香苗 
「ハァ……ハァ……ハァ……」

静まり返った部屋で、荒い息遣いだけが聞こえる。

冷たいフローリングの床に裸のままペタンと腰を下ろした香苗の額は、大量に吹き出た汗でビッショリと濡れていた。

ドクドクと依然速いままの高鳴る鼓動。

急激に高まった緊張と興奮、そして快感絶頂の余韻はまだ続いている。

……ハァ……どうしよう……中島さんに、気付かれちゃったかもしれない……

香苗の痴態を直接目撃される事はなんとか免れたものの、あのローターの震動音と自分が発してしまったあられもない声に、何も思われないはずがない。

中嶋達に知られてしまったのではないかという恐怖感とまだ冷めない興奮が入り混じり、胸が押し潰されそうな程苦しい。

香苗 
「ハァ……ぅ……」

香苗は裸姿で座ったまま、両手で顔を覆う。

禁断の領域にまで手を伸ばしてしまった事を、今更ながら後悔していた。

しかしその一方で香苗があの興奮と絶頂による深い快感に今も魅了されている事も確かだった。

それは人間の本能的な部分なのかもしれない。

最高の興奮は危険と隣り合わせなのだ。

女性として恥ずかしさの限界に達する所、ある種の危機感を感じる所に最高の性的興奮はある。

香苗の身体が今も震えているのは緊張や危機に直面したからだけではない。

香苗の身体は悦びに震えていたのだ。最高の興奮を味わった悦びに。

窓を閉めた外からは何やら中嶋と女性の会話が微かに聞こえていたが、何を話しているのかはよく聞き取れなかった。

そしてどうやら中嶋達は結局ベランダでは行為に及ばず、部屋の中へと戻っていったようだった。

香苗 
「……ふぅ……」

それを耳で確認した香苗は1つ息を吐く。

もちろんそれは少しの安心から出た息であったが、まだ不安と心配が残る複雑なため息でもあった。

非現実的な世界に浸っていると時間の流れ方がいつもと違うような感じがする。

祐二が出張に出て2日目の今日、今はまだその昼の時間帯。

そう、まだまだ非日常的なこの時間は続くのだ。

香苗の人生を変える事になるこの一日は長い。

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