家庭教師 小森千佳(15)

千佳 
「な、何……もう……ンァ……」

康介 
「ここも感じやすいんだ、千佳先生。」

千佳の首筋からは女らしい甘い香りがしていた。

康介はそれを舐めとるようにして白い肌に舌を沿わす。

チュパ……ネチャ……

くすぐったいような、でもなんだか身体がゾクゾクする。

少し汗を掻きそうなくらい身体が熱い。

それに千佳の体内では下腹部に集ってきていた熱が、むず痒いような疼きに変わり始めていた。

康介に後ろから抱き締められている事で自由にできない上半身、その下で千佳は太腿を無意識の内に擦り合わせるような仕草をする。

康介 
「ハァ……千佳先生……」

康介の熱の篭った低い声が、千佳の耳にジンワリと染みる。

それはまるで呪文のような声だった。

女性の本能に響いてくるような康介の声。

千佳はそれを聞いた瞬間、頭の中がグラグラと揺れるような感覚に陥った。そして同時に胸がギュウっと締め付けられる。

千佳 
「ハァ……ン……」

千佳の口からも甘い吐息が漏れる。

もう、理性が途切れる寸前だ。

しかし千佳が康介が作り出すその空間に呑み込まれそうになった時、一瞬カーテンを閉めていた部屋の窓に人影が映った。

ふと人の気配を感じて窓の方に視線を送った千佳はそれに気付く。

……山田さんだ……

富田家に家政婦として雇われている山田という年配の女性は、毎日庭の掃除をしている。

今は偶々康介の部屋の前の庭を掃除していたのだろう。

偶然ではあるが、それが康介が作り出す空間に呑み込まれそうになっていた千佳にブレーキを掛けた。

千佳 
「ちょ、ちょっと……康介君……ホントにもうダメ……」

両肩を上げて首筋に吸い付いてくる康介の口から逃れようとする千佳。

今度は今までとは違い本気で康介から離れようとしている。

康介もそれが分かったのか、千佳を抱き締めていた腕の力を抜いた。

康介 
「どうしたんだよ先生、いい感じだったのに。」

千佳 
「いい感じって……違う……こんなの約束と違うじゃない、もう……」

そう言って腕を退けた千佳は、少し腰をずらして康介から離れる。

しかしドキドキと脈打つ胸の鼓動はまだ速いままだ。

康介 
「千佳先生、俺マジで勉強今回頑張ったんだぜ?な?あと5分でいいからさ。」

千佳 
「ダメ……あんな事までするなんて聞いてない……」

康介 
「あんな事って?首舐めたりした事?あのぐらいサービスしてよ。」

千佳 
「ダメだよ……触るだけって言ったじゃん……」

康介 
「ダメとか言ってもなぁ、千佳先生も満更でもない感じだったでしょ?俺としてはあのまま……」

千佳 
「……あのまま……?」

そう聞き返してきた千佳に、康介はイヤらしい笑みを浮かべながらこう言った。

康介 
「へへ、結構いるんだよなぁ俺の周りでも。家庭教師とヤってる奴。」

〝家庭教師とヤッてる〟

康介のその言葉を聞いて、千佳は思わず頭の中で自分と康介がそれをしている場面を想像してしまい、また顔を真っ赤にした。

千佳 
「く、くだらない事言ってないでもうご褒美は終わったんだから、勉強始めるよっ。」

その話題から逃げるようにソファから立ち上がり、少し乱れてしまった服を整える千佳。

千佳の動揺は康介から見ても明らかであったが、それでも千佳はそんな自分の心を見抜かれないようにと必死に装っていた。

千佳 
「ほらっ、もう時間過ぎてるし康介君も早く机についてよ。」

康介 
「わかったわかった。急に先生に戻っちゃうんだもんなぁ……まぁいいか。」

少し怒ったような口調で言う千佳に、康介は仕方ないかという感じで机に向った。

それからはいつも通りの時間がこの部屋で過ぎていった。

先程までとはガラッと変わった部屋の空気。

日常に戻った今は、まるであの時間に起こった事が別世界での出来事のように感じる。

康介 
「はぁ……なんかテスト終わったばっかりだしやる気でないなぁ。」

千佳 
「ダメだよちゃんとやらなきゃ、ほら、ここの問題から。」

またグチグチと文句を言いながら問題を解き始める康介。そしてその様子を見守る千佳。

それは今まで通りの光景だ。

千佳 
「……」

しかしそれは表向きの千佳の姿である。

千佳はどうしても心だけは切り替える事ができないでいた。

一度康介から〝男〟を感じてしまった千佳の女心と身体は、もう康介の事をただの〝高校生の男の子〟という風には思えなくなってしまっていたのだ。

コメント

  1. メンメン より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    京香さんこんにちは。コメントありがとうございます。

    清純に見えて凄いエロいみたいな女性の方が書きやすいから、人物設定がそういう風になりがちなのかもしれません。
    まぁ確かに単純に僕がそういうシチュエーションが好きってのも少しあるかもしれませんが(笑)

    でも違うタイプの女性も書いてみたいですね。

    そうですねぇ、人妻モノ早く再開しないとダメですね。どうやら男性読者も女性読者も人妻モノを希望されている方が多いみたいなので。

    これから季節の変わり目、急に寒くなったりすると思うので京香さんも体調に気をつけてくださいね。

    読書の秋・恋の秋が来るという事で、僕のブログ的には特に頑張りたい季節ですので気合入れます。

  2. 京香 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    残暑が厳しく毎日暑いですね。

    読んでいて思ったんですが、メンメンさんは清純派?好きですねぇ(男の願望?笑)
    果歩ちゃん、人妻、今回…皆同じようなタイプな気がします。

    で……私が言うのも変な話ですが、人妻の話は、まだ更新しないんですか?
    続きを待ってる人もいると思いますよ♪(やんわり喝入れ?笑)
     
    まだまだ暑いので、体調崩さないように気をつけて、いい物語を作ってくださいね。

error: Content is protected !!
タイトルとURLをコピーしました