家庭教師 小森千佳(58)

鈴木の一声で、その〝確認〟作業が始まった。

両手を頭の上に持っていかれる形で固定された千佳には、それを受け入れる以外に選択肢はなかった。

そして鈴木がポケットから出したアイマスクを目に装着させられる千佳。

千佳 
「ハァ……ぅぅ……違うって言ってるのに……やめて……」

鈴木 
「これを着けると、確認がし易いんですよ。」

千佳 
「やだ……怖い……」

視界が真っ暗で何も見えなくなる。その分、これから先どうなってしまうのかという千佳の不安は増してしまう。

鈴木 
「大丈夫です。痛い事はしませんから。千佳先生は自然のままでいてください。」

千佳 
「……そんな事言われても……嫌……」

鈴木 
「まぁまぁ、その内に気持ちも変わるかもしれないですから、ね。」

千佳 
「……ぅぅ……」

そして男達の無数の手が一斉に、身体の至るところに触れ始める。

千佳の柔肌の感触を楽しむかのように。

乳房だけではなく、耳やうなじ、脇や内腿、そして脹脛(ふくらはぎ)から足の先まで。

その中にはもちろん、千佳の性感帯も含まれる。どうやら男達はそれをこうやって触って千佳の反応を確認しながら探しているらしい。

男達のタッチはソフトなもので、決して痛さを感じるようなものではなかった。

優しく触れるか触れない程度で、くすぐったいという感覚に近いが、でも違う。

千佳 
「……ん…………ん……」

少しでも男達の手から逃れたいのか、千佳は身体をモジモジと横に動かす。

確認作業が始まって10分、最初は〝嫌〟だとか〝やめて〟などとばかり言っていた千佳の口からは、何の言葉も出なくなっていた。

何を言っても状況が変わらないと自覚したというよりは、千佳が何かに集中し始めているといった印象だった。

そう、身体中から伝わってくる男達の手の感覚に、千佳の意識は自然と集中していってしまっていた。

それはアイマスクをしていたからなのかもしれない。

視界を遮断されたことで、千佳の脳はその分聴覚、嗅覚、触覚に集中していくのだ。

今まで聞えなかった男達の息遣い、男達の匂い、そして男達の大きな手の感触が本当に細かい部分まで脳に伝わってきてしまう。

もちろんそれは、鈴木の狙いでもある。

されるがままの千佳は、こうやっていとも簡単に鈴木の術中に嵌っていくのであった。

鈴木 
「千佳先生、どんな感じですか?こんな風に沢山の人間に身体を触られるというのは。」

千佳 
「ん……くすぐったいだけ……もう……止めて……」

鈴木 
「そうですか、でももうちょっと確認させてください。そうだなぁ、あと20分くらいかな。」

千佳 
「ハァ……20分も……そんな……」

あと20分も。その数字に千佳が困惑の表情を見せるのには理由があった。

鈴木にはくすぐったいだけとは言ったものの、やはり何かが違う。

肌の表面だけを軽く触れているだけなのに、身体の奥深くで何かが疼き始めているような感じがしていた。

そしてその疼きが段々と大きくなってきている事を千佳は自覚していた。

千佳は何か本能的に、あと20分もこの状態が続いたらその疼きが途轍もなく大きくなり爆発してしまうのではないかと、危機感を感じていていたのだ。

恥ずかしさや、屈辱感よりも、今はそれが一番怖かった。

千佳 
「ん……ン……ぁ……ン……」

そして案の定、千佳が予感していた事は現実のものへとなってしまう。

身体の奥にあった疼きが、熱へと変わっていく。

……イヤ……何これ……ダメ……

ドロドロとした熱が、全身に広がっていく感覚。

千佳はそれを必死に抑え込もうとしていた。

しかし熱は静まってくれはしない。

それどころか、抑え込もうとすればする程、その広がりは加速していく。

自分の意思とは関係なく、勝手に変化していってしまう身体に、千佳は大きな戸惑いを感じていた。

……ダメ……どうして……どうして……嫌だよこんなの……

千佳 
「ン……ぁ……ンン……」

そしてその変化に気付いているのは、もちろん千佳だけではない。

鈴木 
「フフ……千佳先生、どうしました?何か変わってきましたか?」

クスクスと小さく鼻で笑う男達の声が聞こえる。


「おい鈴木……そろそろ……」

鈴木 
「そうだな。」

そして〝確認作業〟に確かな手応えを感じた男達は、次のステップへ進むのであった。

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