その日は、先週とは別の意味の緊張を感じながら、千佳は富田家の離れの部屋の前に立っていた。
そう、今日は康介の誕生日。
手には康介へのために用意したプレゼントを持っている。
この誕生日プレゼントを選ぶのにどれ程時間を費やした事か。
恋人でもなく、ただの男友達という訳でもない。家庭教師と生徒という微妙な関係。
そういった相手に対するプレゼントはどういった物が相応なのか、随分と悩んだ千佳。
康介から〝誕生日プレゼントのお返しはいらないから〟と言われたが、だからと言って何も無しという訳にもいかない。
相手に気を使わせない程度の物で、それでも気に入ってもらえるような物を選んだつもりだ。
それと、千佳が康介のために用意したのはそれだけではない。
千佳
「……大丈夫……かな……」
インターホンのボタンを押す前に、千佳は何度も自分の身形を確認するような仕草をする。
……やっぱり恥ずかしいよ、これ……
アパートを出る前に何度も鏡で確認したけれど、やはり自分には大胆過ぎるような気がしていた。
今まで着た事がない程丈が短くて、露出が多い服。
ここに来るまでだって、男性とすれ違う度に視線を感じた。それがどれだけ恥ずかしかった事か。
……でも……着て来てほしいって言ってたから……
電話では絶対着ていかないと言い放ってしまったが、その後しばらく考えてみたら、なんとなく康介のためなら着ても良いかもと思えた。
自分でも不思議だった。
高校生の男の子相手に、ここまでしてしまうなんて。
……私……未だに何かを期待してるんだ……康介君に……
康介
「おっ!?それ着て来てくれたんだ。」
いつも通りインターホンを押してから千佳が部屋に入ると、康介はその姿をみてすぐに反応を示してくれた。
千佳
「へ、変じゃないかな……?」
康介
「全然変じゃないよ、すげぇ似合ってるよ千佳先生。ていうか絶対着ないとか言ってなかったっけ?」
千佳
「う、うん……なんとなく、着てみようかなぁって……折角プレゼントしてくれたんだし……。」
そう少し恥ずかしにしながら言う千佳。
康介
「へぇ……って事はその中にはあの下着も着けてくれてるの?」
千佳
「えっ……そ、それは秘密……」
康介
「へへ、そっかぁ。でも驚いたよ、まさか着て来てくれるとは思ってなかったからさ。それにその服、結構エロいしさ。ほら、少しこうやったらパンツ見えそうじゃね?」
康介はそう言って冗談っぽく頭を下げて千佳のスカートの中を覗くような動きを見せる。
千佳
「ちょっ、ちょっと嫌っ!」
康介
「冗談冗談。でもさ、駅の階段とかで絶対男に見られたと思うよ、ちゃんと押さえてた?」
千佳
「一応……隠すようにはしてたけど……やだ……やっぱり見えちゃったかな……もう、康介君が変な服プレゼントしてくるからだよ。」
康介
「ハハッ、でもそれを選んで着てきたのは千佳先生自身でしょ?」
千佳
「そ、そうだけどぉ……」
この服を着ていけば、康介がそういう目線で自分を見てくるだろう事は千佳にも分かっていた。
それも承知で千佳はこの服を着てきたのだ。
さっきから康介の目が何度も身体を見てきているのが分かる。
脚から太腿、そして胸元も。
千佳
「あ、そうだ康介君、これ……大したものじゃないけど……誕生日の。」
持っていた袋から用意していた康介への誕生日プレゼントを取り出す千佳。
康介
「え?いいって言ったのに。買ってきたの?」
千佳
「うん、だって私だけ貰ってばかりって訳にもいかないし。でも……ホントに大したものじゃないんだけどね。受け取ってくれる?」
康介
「いやまぁ……ありがとう。」
千佳
「気に入ってもらえるか分からないけど。あ、あとね、ケーキも買ってきたから後で食べてね。」
康介
「なんか結構大きそうなケーキだね。2人で食べようよ、その方が美味しいし。」
千佳が康介のために用意したプレゼントというのは、ハンカチだった。
アクセサリーや財布ほど高価な物ではないが、ハンカチでもそれなりに高級な品を選んだ。
千佳が迷いに迷って決めたプレゼント。
ハンカチなんてもので康介が喜んでくれるか心配だったが、何だかんだと言って康介はそれを受け取って嬉しそうな表情をしていたから千佳は安心していた。
それからケーキを食べ終わった2人は、いつものように机についた。
もちろん、康介はいつものように嫌がっていたが。
康介
「今日はさすがに勉強しないでいいと思ったんだけどなぁ。」
千佳
「フフッ、ダメだよ、勉強は勉強。ちゃんとメリハリつけなくちゃ。」
康介
「つくづく真面目だなぁ、千佳先生は。」
そう少し面倒くさそうにしながらも、康介は千佳が用意した問題集をやり始める。
……。
毎回の事なのだが、康介が勉強に集中し始めると、この部屋は一気に静かになる。
聞こえるのは康介がペンを進める音だけ。
千佳は康介の横に座って、邪魔にならないようじっとして康介が勉強している姿を見つめるのだ。
しかし、今日は勉強を開始してからすぐに、突然康介のペンは止まる。
康介
「……ねぇ、先生。」
千佳
「何?分からないところでもあった?」
康介
「あのさ、どうしてその服着てきてくれたの?」
千佳
「ぇ……それはだから……なんとく、着てみようかなって……」
康介
「さっきからさ、先生の胸の谷間が見えてるんだけど。」
千佳
「えっ?……あっ……」
康介にそう指摘されて慌てて胸を隠す千佳。
康介
「フッ、先生さ、それホントに今気付いた?なんか見せ付けてきてるのかと思ったんだけど。」
千佳
「そ、そんな事……」
康介
「……俺のために着て来てくれたの?」
千佳
「それは……。」
康介の目付きが、さっきまでと違う。
何か、心の全てを康介に見透かされてしまっているような、そんな感じがした。
しかし千佳は、自分から素直には言えなかった。康介が喜んでくれると思って大胆な格好をしてきたという事は。
自分が康介に何かを求めてしまっているという事は、知られたくない。
知られたくないけど、心のどこかで、少しだけ気付いてもらいたいと思っている自分もいるという矛盾。
康介からの問いに、千佳はなんと答えれば良いのか分からなかった。
だが、そんな千佳の心理も読んでいるのか、康介はこう続けてきた。
康介
「ねぇ千佳先生。俺さ、もう1つ先生からプレゼント欲しいんだけど。いい?貰っても。」
千佳
「え……?プレゼントって……?何?」
康介
「何か分からない?」
千佳
「……うん……」
康介
「じゃあさ、そこに立ってくれる?それが何か教えてあげるから。」
コメント
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とめさん返事遅くなってすみません。コメントありがとうございます。
昨日は官能的な構想を教えて頂きありがとうございました。
あれですね、【寝取られ】と言っても、そこから人それぞれ性癖の分類は細かく分かれるんだなぁと思いました。
正直に言うと僕の場合、親子愛や家族愛が寝取られに繋がっていく感覚はちょっと分からないというか、性的興奮に持っていくのは難しいかなぁと。
たぶん寝取られ属性って人それぞれの人生での経験によって種類が別れていくのかもしれません。(寝取られだけではないかもしれませんが)
彼女が寝取られると興奮するって人もいれば、彼氏がって人もいるし、付き合っていないけど好きな人がって人もいるし、家族がって人もいますね。
性癖は多種多様ですね。
寝取られ系のサイトとか見てても『こんなの寝取られじゃねぇよ』みたいなコメントは多いですから、人それぞれ自分の中に寝取られの定義みたいなものを持っているのかもしれません。
そういうのが、官能小説を書く上で難しい所なんでしょうね。なかなかピッタリ来る官能小説にはめぐり逢えないですから。
でも、とめさんの構想の中にある二重の寝取られというのは面白いですね。
寝取られている方だけじゃなく、奪われている方も、奪われている事に興奮していくというのは新鮮でした。
そういうお互い相乗効果的に増幅していく興奮って今までに無い感じですね。
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削除ありがとうございます
自分の性癖というか妄想というかさらけ出したときに非公開にし忘れてしまいました
お手数おかけしました
メンメンさんの文章が好きなので応援してます
これからもがんばって下さい
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すいません
非公開にするつもりが
消しといてもらえませんか