駅近くのカフェで、千佳は雨が降っている窓の外の景色をじっと眺めていた。
昼間の空は厚い雲に覆われている訳ではなく、太陽の光が入ってきていているのに、雨も降っているというちょっと不思議な光景。
薄い雲を通して入ってくる太陽光は少し黄色みがかっていて、風も無くシトシトと静かに降る雨にそれが反射している。
明るい光と、涙のような雨が入り混じるその景色は、まるで今の千佳の心境を表しているかのようだった。
あれから3日経つ。
あの日の事は全て、別世界で起きた出来事のように感じていた。
康介に抱かれている時は、今この優しい太陽の光が街を包み込んでいるように、光り輝く幸福感と、凄まじくも甘い快楽に、千佳の身体は包み込まれた。
初めて知った、女の悦び。
身体の中が康介で満たされる、あの感覚。
繋がっている時は、他の事は全て頭の中から消えてなくなっていた。
ただ康介の体温を感じ、息遣いを聞きながら、快楽に溺れる。
そして自分は、普段は他の誰にも聞かせる事のない喘ぎ声を胸の奥から吐き出して、大人の女を表現した。
用意していた4つのコンドームを使いきった頃には、もう全身が溶けてしまったかのように動けなかった。
ハァハァと呼吸をしながら、汗だくになった状態で、康介の厚い胸の中に倒れ込み、康介の精液の匂いと、康介の汗の味、そして康介の鼓動を感じながら快感の余韻に浸る。
あの夜、千佳の五感に康介という存在は深く刻み込まれた。
もう……忘れられそうにない。
今でも、康介の事を思い出すだけで胸が苦しくなるし、そして身体はジンジンと熱くなってくる。
毎日会っても足りないかもしれないくらい、康介欲してしまう自分がいる。
千佳にとってこんな経験は初めての事であったから、この心理状態が一時的なものなのか、それともずっと続いてしまうものなのかは分からない。
辛かった。
千佳は心の中で泣いていた。
そう、窓の外で降っている雨のように、静かに泣いていた。
千佳には分かっていたのだ。
康介が自分に対して恋心など持っていない事を。
直接そう言われた訳ではないが、なんとなく分かってしまうのだ。
きっと、康介は性的な欲求を満たすためだけに自分を抱いたのだと。
千佳はそれに気づきながらも、SEXの最中はその不安さえも忘れ去って快楽を味わう事に没頭していた。
だって嬉しかったから。
康介が自分を求めてくれている事が。
お互いに求め合いながら抱き合っている間は、まるで2人の間に愛があるかのように感じられた。
でも終わってから、それが偽物なのだと分かる。
康介は抱き合っている時、一度も〝好き〟とは言ってくれなかった。
それが2人の関係の全てを物語っているのだと思う。
……どうしたら良いんだろう……
……でも、どうする事もできない……
だから辛い。
嘘でも康介が〝好きだよ〟と言ってきたらまた全てを許してしまうと思う。
あんなに格好良くて、いっしょに居ると楽しくて。
心の全てが吸い取られていきそうな程キスが上手くて、全身が蕩けそうになる程SEXが上手くて。
その康介の全てが魅力的だった。
そして、千佳はそんな康介に惚れ込んでしまっていた。
もう、自分ではどうしようもない程に康介の事を〝好き〟になっていたのだ。
……好き……好き……好き好き好き好き好き……
たった10分でも康介の事を考え続けていると、そんな感情が胸の奥から溢れてきて、涙が出そうになる。
身体を重ねた事で、こんなにもはっきりとしてしまった自分の気持ち。
この気持ちはどこに持って行けば楽になれるんだろう。
康介に伝えたらどうなるのだろう。
いや、それをしたら千佳は康介を失う事になるかもしれない。
……そんなの……今の私には怖くてできない……
初めてこんなにも人を好きになったのに、それを失うなんて。
今は兎に角、それが怖くて堪らなかった。
あれから3日経つ。
今日は家庭教師の日だ。
千佳は、康介の前でどういう顔をしたらいいのか分からなかった。
そして、どういう目で康介が自分を見てくるのかが、不安だった。
コメント
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コメントありがとうございます。
ご指摘の点ですが、まずこのブログは私が創作したオリジナルの小説を掲載していまして、どこからか盗作した物では決してありません。
桃沢りくさんという方の『家庭教師亜矢』という作品を確認してみました(ちなみに私はこの作品を初めて拝見しました)。確かに『女子大生の家庭教師と男子高校生』という設定は同じですね。ただ、登場人物の特徴、文章の表現もかなり違っていると思います。少なくとも私の目からは2作品が類似しているとは全く感じませんでした。
また、桃沢りくさんのサイトを確認してみると、これは07年に書かれた作品のようです。私がこのブログを始めるより以前の作品のようなのであちらが私の作品を真似たという可能性もゼロだと思います。
よってご質問の答えは〝全くお互いに関連なく独自に創作した作品です〟という事になると思います。
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同じFC2の官能小説作者に桃沢りくという作者が降ります。その作品に
「家庭教師亜矢」という作品があります。最近読んで見ると粗筋はこの作品「家庭教師小森千佳」に類似してます。貴方と桃沢のどちらが原作者なのでしょうか。それとも全くお互いに関連なく独自に作品を創作したのでしょうか。「家庭教師亜矢」を読んでいてストーリーの展開が全く同じで気分が悪くなりました。質問にお答えください。よろしく。