家庭教師 小森千佳(34)

結局その日、悩みながらも千佳はいつも通り康介の部屋に来ていた。

もちろん家庭教師の仕事をするつもりで、なのだが。

康介 
「お、来た来た。なに飲む?お茶?」

千佳 
「う、うん……。」

いつもとは違う、複雑な気持ちを胸に抱きながら家庭教師のアルバイトに来た千佳とは違い、康介の様子は至っていつも通りであった。

3日前にセックスをしてから千佳はずっと悩み続けてきたというのに、康介はまるで何もなかったかのようにあっさりしている。

このまま何もなかったって事にするつもりなのかな。

でも、それが普通なのかもしれない。恋人としてしたセックスではなかったのだから。

あの夜だけって事なのかな。

恋人でもないのに身体の関係を続けるのもいけない気がするけど、それはそれで寂しい。

康介は千佳よりそっち方面に関しては経験豊富だから、そういった割り切り方には慣れているのかもしれない。

だからこんなにもあっさりした顔をしていられるんだ。

そんな事を考えながら千佳は康介からお茶を受け取る。

康介 
「あれから、調子はどう?大丈夫?」

康介はそう言いながら、ソファに座っている千佳の隣に腰を下ろす。

千佳 
「え、調子って?」

康介 
「身体だよ。ほら、この前の。」

千佳 
「……う、うん……大丈夫……」

康介が急にその事に触れてきたため、千佳は下を向いて顔を赤くした。

康介 
「ホント?身体とか痛くなってない?」

千佳 
「え……あ、うん……ちょっとだけ筋肉痛みたいにはなっちゃったけど……。」

康介 
「ハハッ、やっぱそうか。結構盛り上っちゃったもんね、俺達。」

千佳 
「……。」

……笑っていられるんだから、やっぱり知らないんだろうな……私がどんな想いをしてるかなんて……

結局、康介にとってあの夜の出来事は、単なるイベントのような物だったのかもしれない。

今日この部屋に来るまで康介の前でどんな顔をすれば良いのか迷っていたのは、千佳には2つの顔があるからだ。

康介よりも年上で大人、もうすぐ社会人になるという家庭教師としての顔。

そしてもう1つは、ただ1人の恋する女としての顔。

千佳 
「……ごめんね……康介君。」

今謝ったのは、家庭教師としての自分。

そう、今日は家庭教師としての顔でいかないとダメなんだ。

女の顔になったら、ダメになっちゃう。

康介 
「ん?なんで謝るの?」

千佳 
「だって……あんな事になっちゃって……」

康介 
「そんな、別に謝らなくても。ていうかどっちかって言うと俺からだし。え?なんか後悔してるの?」

千佳 
「……後悔は……」

康介 
「じゃあやっぱり謝る必要なんてないじゃん。そんな気にする事ないのに。」

千佳 
「……気に……するよ。だって……私は康介君の……」

そう言いかけたところで、隣に座っていた康介は、突然千佳の肩を抱き寄せてきた。

千佳 
「きゃっ……康介君?」

康介 
「俺、また会いたいって思ってたよ、ずっと。早く千佳先生に会いたいって。」

熱い息を吹きかけるように千佳の耳元で囁く康介。

その声を聞いた瞬間から、千佳は身体が固まってしまったかのように動けなくなってしまった。

抱き寄せられて、甘い言葉を囁かれただけで、千佳の女心は大きく揺らされてしまう。

そして2人の間に数秒間沈黙が続いた後、康介は千佳の唇に顔を近づけていった。

しかし、そこでハッと我に返った千佳。

千佳 
「ちょっ……ちょっと待って、康介君。」

康介 
「なに?どうしたの?」

千佳 
「あの……あのね、今日は家庭教師の……」

再び大人としての自分を取り戻そうとする千佳。

しかし、康介はそれを上手く遮る。

康介 
「この前、千佳先生も良かったろ?」

千佳 
「え?」

康介 
「千佳先生も結構楽しんでたじゃん。」

……楽しん……でた……?

康介のその言葉使いが引っ掛かる。

康介 
「俺、また千佳先生としたいよ。ダメ?」

千佳 
「そんな事……言われても……」

……やっぱり康介君が求めてるのは……私の身体なんだ……

それにまた流されたら、もっと辛くなっちゃう。

千佳 
「……康介君……私は……ンンッ!」

私はもう、康介君とはそういう事はしちゃいけないの。

千佳がそう言おうとした時だった。

康介は千佳の唇を力ずくで強引に奪った。

コメント

  1. メンメン より:

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    京香さんお久しぶりです!コメントありがとうございます。

    そうですねぇ、ちょっと果歩の時代とは性格が違うというか、あの富田さんらしさは出てないですね。

    最終的には富田さんらしく?なる予定なんですが(笑)

    若い康介君ですからね。精神的には大人の富田さんよりももっと不安定な部分があるかもしれません。
    それがこれからどうなる事やら……。

    ☆夜中寒くて昼間暑いですよね、京香さんもお気をつけてください。
    ちょくちょく休んでしまってますが、更新頑張りますね☆

  2. 京香 より:

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    お久しぶりです。

    康介君(この物語は富田さんって呼べない雰囲気)
    今のところ普通の男子ですねぇ(笑)

    個人的には、簡単に抱かれて後で気持ちを欲しがる清純ぶってるビッチはボロボロになって捨てられる。
    こうなってほしい気が…(笑)
    ↑意見がドSっぽいですが…(うちの彼は、こういう女性は、ただのオナホ扱いなので^^;)

    そういう意味で、康介君頑張れー♪て感じです(笑)

    まだまだ暑かったり、急に冷えたり気温差が激しいので体調崩さないようにしてくださいね。
    更新楽しみにしています♪

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