千佳
「複数……プレイ?」
複数プレイという言葉の意味は、全く見当がつかない訳ではなかった。
しかし今までの千佳の人生の中では、縁遠い言葉であった事は確か。
だから千佳は少し困惑していた。
康介
「そ、何人かでいっしょにヤルんだよ。どう?」
千佳
「どうって言われても……」
康介
「ほら、もう俺達結構いろんな事やってきたしさ、ここらで新たな刺激が欲しくない?」
千佳
「別に私は……」
新たな刺激と言われても、千佳はいまいちピンとこない。
千佳は康介とこうしていっしょにいるだけで満足しているのだから。
もちろん康介とのSEXは好きだ。
SEXがこんなにも気持ち良いものだなんて初めて知ったし、今では3日もしないと欲求不満を感じてしまう程に千佳の身体は変化してしまっている。
でもそれは康介が相手だから。
康介が相手だから自分は気持ち良くなれるし、解放した自分を康介に表現する事もできる。
康介に夢中になっている今は、他の人とするなんて千佳には考えられなかった。
康介
「そういうの嫌?ダメ?」
千佳
「嫌っていうか……うん……ねぇ康介君、康介君はしたいの?その……複数で……」
康介
「ちょっと興味あるんだよね、どんな感じなのか。まぁ千佳先生が嫌ならいいけどさ。」
千佳
「……ごめんね……」
康介
「いやいいよ別に、言ってみただけだし。」
千佳
「……。」
千佳は少し考え込んで悩んでいるような顔をしていた。
康介は自分の事をどう思っているのだろうと、改めて思ってしまう。
本当に好きな相手に康介は〝複数でしてみないか〟なんて聞くのだろうか。
私の事好き?
それを康介に聞く事はまだできなかった。
康介の心の中を見るのが、まだ怖かったのだ。
だから、身体を重ねる日々の中でもずっと考えないようにしてきた。
相手の気持ちに確信を持てない中途半端な状態のままズルズルと続いていく関係。
これでは駄目だと思いながらも、怖くて聞けない。
ただはっきりしている事は、康介の事が好きだという自分の気持ちだけ。
電車の窓から、千佳は外の景色をボーっと眺めていた。
夜の街に点々と灯っている光と、窓に映り込んでいる自分の顔。
千佳はその自分の顔を見ながら、そっと指で唇を触る。
今日も康介に駅まで送ってもらった。そして別れる時、初めて自分の方から康介にキスをしてしまった。
恥ずかしがり屋の千佳が、人目も気にせず。
改札口の前で手を振って別れるのはいつもの事なのに、今日はなぜか康介の顔を見て手を振ろうとした瞬間、愛おしさが胸の奥から溢れていきて、気付いたら背伸びをして自分からキスをしていた。
康介は最初少し驚いていたようだったけど、すぐにそっと抱き締めてくれた。
ベッドの中とは違って外で抱き締められると、空気が冷たい分、康介の温かさをよく感じる事ができる。
康介と、いつまでもこうしていたい。
千佳はそんな事を思いながら、その温かさの中で幸せを感じていた。
でもそれから康介に手を振って1人で電車に乗ると、途端に寂しくなってくる。
大げさかもしれないけど、電車を乗り換えて戻って、またすぐに康介に会いに行きたいと思ってしまう。
それ程までに、今の千佳は康介に依存していたのだ。
もう康介無しの人生は考えらない……そう思うくらいに。
ガタンゴトンと揺れる電車の中で千佳は携帯を開き、カレンダーを見ていた。
千佳
「……そっか、明日は家庭教師の日なんだ。」
今日は康介に呼ばれたから会いに行ったが、また明日すぐに康介と会う理由があるのだ。
早く明日になってほしい。早く会いたい。
康介の家から帰る途中だというのに、もうそんな事を考えている。
会えない日は不安や寂しさが募るばかりだけど、会って抱きしてしめてもらえば、またそれを一時的に忘れる事ができる。
恋の病を患った千佳にとって、それは薬のようなもの。
このままずっと続けば……そんな保障は全くないのに、無意識の内に期待を抱いてしまう。
そしていつか康介の方から〝好きだよ〟と言ってもらえるかもしれない……と。
しかしそんな千佳に次の日、思わぬ出来事が待っていた。
コメント
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こちらこそ毎度アドバイスありがとうございます。
今回の箇所は、きっと他の読者の方も引っ掛かった部分だと思うので、助かりました。
逆に気付けなかった自分はやっぱりまだまだだなぁと。頑張ります☆
もう冬になっていくんですね。僕は今日おでんを食べて温まりました。
京香さんも冷えないようにして、体調には気をつけてください。
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毎度言いたい放題になってすみません。
読者参加型にしてもらえてるのは、メンメンさんの心の広さだと思ってます。
ありがとうございます♪
今までのメンメンさんとのコメントやり取りの中で、
【好きな人のために】何でも受け入れてしまう女性像を感じていました。
それは男性の都合の良い性幻想だし、その理由で受け入れられる行為には【限度】があるって事です。
(複数は限度を越えてるって事ですね)
だから、多くの官能小説パターンだと弱味を握られ無理矢理って話が多いのかも。
もしくは、実は女性自身がそれを望んでいた(性癖)っていうのだと思います。
この場を借りて…
★愛音さん
愛音さんのコメント、なるほどなぁ…女性というものを上手く説明しているなぁと納得しました。
急に冷え込むようになってきました。
メンメンさん、他読者さん…体調崩さないように気をつけてくださいね。
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少し付け足しです。
>>お身体の方は大丈夫でしょうか?
身体は大丈夫です!結構丈夫なので☆
ちょっと最近忙しくて(見苦しい言い訳ですが)ペース遅くなってますが、これからも続けて頑張っていきたいと思います。
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コメント&優しいお言葉ありがとうございます。嬉しいです。
このブログは基本的には作者の僕が思い通りに書いていき、それにプラスして読者の方の意見も聞きながら成長していくブログと考えいるので、皆さんの正直な感想やアドバイスは大歓迎で、感謝しています。
もちろん応援コメントも凄く嬉しいです。
最近少し忙しくて更新ペースが遅いですが、これからも頑張りますので宜しくお願いします。
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KOUWAさんお久しぶりです。コメントありがとうございます。
生意気だなんてそんな事全く思ってませんよ、大丈夫です。読者の方が感じた事や正直な感想が、僕にとっては本当に貴重なので、そういったコメントは本当に嬉しいですし、感謝しています。
今回は物語の中とはいえ、ちょっと女性を軽率に描き過ぎたと反省しています。まぁ果歩の時や今までもちゃんんとできているとはとても言えないとは思いますが。
やはり女性を描くなら、その人の気持ちをしっかり考えて煮詰めないといけませんね。いい加減に考えるとやはり読者の方にバレてしまうなぁと実感してます。
>>私としては富田さんが真剣に愛した女のひとみたいに展開していってほしかったです
やっぱりそういう展開を皆さん希望する方が多いですよね。官能小説を読んで暗い気持ちになるのもちょっと嫌ですよね。
う~んちょっと悩みます。今回はストーリーを決めているので難しいかもしれません。
これもそうなんですけど、おそらく官能小説のバッドエンドで興奮できるのは男性だけなのかもしれまんせんね。
女性の方が性と恋愛心が密接にあるのだろうなぁと最近感じてるので、興奮と同時に心も温まるような物語も書いてみたいと思っています。
これからもできるだけ頑張るつもりですので、宜しくお願いします。
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愛音さんコメントありがとうございます。
とても参考になるご意見、本当にありがとうございます。
僕も経験とかそんなに多い方ではないで、やっぱり女性の気持ちを描くのは難しいですね。
愛しているが故にというのが、実は千佳の自己愛なのだというのは〝なるほど〟と何度も頷きました。
僕の考えはまだまだ浅いなぁと実感してます。
それで一応修正はしてみたんですけど、まだちょっと微妙かもしれませんね。難しいなぁ。
でもこれからも皆さんのご意見を参考に頑張って書いていきたいと思います。男としても良い修行だと思います。
僕の小説を読んで、女性としてありのまま感じた事をコメントして頂けて、作者としては本当に嬉しいです。ありがとうございます。
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京香さんコメント、アドバイスありがとうございます。
僕も読み返して千佳の事を考えた結果、少し修正する事にしました。それでもまだ微妙かもしれませんが。
次の展開は最初から決めていたので、そこに持っていくのに少し強引になり過ぎてしまいましたね。
現実では経験できないような興奮を小説の中で感じてもらいたいと思っても、心理描写がいい加減で現実離れしていると全く感情移入できませんよね。
今回読者の皆さんから多数のご意見を頂き、やっぱり男が女性の気持ちを描くのは難しいなぁと改めて実感してます。
あと、そうですよね、短編ではなくってますね。更新が休みがちってものあるけどもう3ヶ月近く続いてますし。ダラダラ長くなってしまうのも直さないと。
>>辛口コメントになってしまってすみません。
とんでもないです。いつも正直な感想とためになるアドバイス本当に感謝しています。ありがとうございます。
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作者が男なんだから当たり前でしょう。メンメンさんにどうしてもらいたいのでしょう。感想、指導、苦情、一体何?
メンメンさん、思い通りに作品書き上げてくださいね。
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お久しぶりです。その後お身体の方は大丈夫でしょうか?いつも楽しく拝見させてもらっています。今回は恋愛関係になっていくのかと楽しみに読んでいました。富田さんの高校時代とはいえ、ピュアな感じでいけないのかもしれませんが私としては富田さんが真剣に愛した女のひとみたいに展開していってほしかったです。すみません、後々そうなるのかもしれないのでなんともいえないのですが、みなさんのおっしゃるとおり、女はそんなに軽薄ではないですし・・。生意気いってすみません。今後も期待して読み続けたいと思っています。
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別に自分を愛するのを否定してるわけじゃありません。とても大事なことです。
ただ、千佳の自己愛と思われる部分を「康介を愛しているが故に」みたいな書き方をしているのが、私は腑に落ちなかったのです。
「好きな人に喜んでもらいたい」とは、みんな思っていると思います。
でも「好きな人が喜んでくれるなら」ではなく、「自分がしたいから」するんだと思いますよ。
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初めてコメントをします。
私は恋愛経験も知識もそんなに豊富ではないのですが、京香さんと同じような印象を持ちました。
性行為に限らず、「(本当は望んでいないのに)好きな人が喜ぶから」という理由で行動を起こす人って、一見献身的に見えるかもしれないけど、主体性がないなぁ、自分っていうものを持ってないんだなぁという印象を受けます。
たどっていくと「相手に嫌われたくない」っていう思いがあって、要するに「自分が相手にどう思われているか」「自分が愛されてるかどうか」しか考えてないのですよ。
千佳が愛しているのは康介ではなく千佳自身ってことです。
なので千佳と同じ年齢、同じ性別の私からしたら、千佳に全く魅力を感じないし「ほんまに好きなんやったらもっと本気でぶつかれよ」と思って、共感しかねます。
そこで、京香さんのコメントを読んで、「なるほど、男性の幻想なのか」と、妙に納得してしまいました(笑)
そういうところを見抜く京香さんはすごいと思います!
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補足します、笑。
身体の事を考えれば、ありえない。
もちろん、それもあるでしょうが、
どちらかというと心がストップかける(傷付き悩み苦しむ)
【好きな人が喜ぶなら…】を肯定するために、
もの凄く“こじつけ”られてる男の幻想を感じます。
辛口コメントになってしまってすみません。
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作者のメンメンさんが男性だからでしょうね。
【男の性幻想】が物語に反映されてます、苦笑。
【好きな人が喜ぶなら…】
これで複数をokする女なんていないもの、笑。
ゆきずりなセックスは別として、好きでもない男に抱かれるのは嫌だし、ましてや好きな男が【複数】って言ったら、普通は
傷付く。
Mな人でも【妄想】にはあっても、実際にできる人はいないです(ここがボーダーラインって人多い)
いても、そういう性癖だからこそですし。
SMで、ご主人様が喜ぶならってありますが、実行できるようになるのは、かなりの労力と時間を要します。
リアルSMな住人としては(女性としても)
【好きな人が喜ぶなら…】
っていうので進むのが、
薄っぺらいというか、スッ飛ばした感がします。
短編予定(ってもう、読む側からすると短編な感じがしない)だから、スッ飛ばすのは仕方ないかもしれませんが、
そうなると、読む側は感情移入しにくいです。