家庭教師 小森千佳(42)

その場に立ち竦む千佳。

千佳 
「……誰か……いる……」

しかも聞えてきた声が女性だった事に、千佳の心は大きく動揺していた。

声質から考えて女性というより、女の子と言った方がいいのかもしれない。

……山田さんが言ってた康介君の友達って、女の子だったの?……

千佳は出ていくために開けたドアを音がしないように静かに閉め、その逆側の寝室のドアへとゆっくりと近づいていく。


「ンァ……ハァ……ァ……ァ……」

一歩一歩寝室に近づくにつれ、徐々にはっきりと聞こえるようになっていく女の子の声。

ドキドキと高鳴る千佳の胸の鼓動。

女の子の声の出し方を聞けば大体予想はついてしまう。寝室で何をやっているのか。

緊張と不安が入り交ざった複雑な感情が、グルグルと頭の中を駆け巡る。

千佳 
「……・」

ドアの前まで来ると、ベッドの軋むような音まで聞こえてくる。

千佳はその場にしゃがみ込み、しばらくその声と音を聞いていた。

女の子の声と音は聞えてくるけど、康介の声は聞こえてこない。

だからこの状況に最悪の事態を想像してしまうが、目で見るまで確信は持てなかった。

ゴクリと生唾を飲み込んだ千佳の震える手が、自然とドアノブに伸びていく。

そしてドアノブを握り、ゆっくりとドアを開ける。


「ハァ……ン……ン……あっあっ……ンハァ……」

ドアを開けた瞬間に感じたあのアロマキャンドルの香りと、今までよりもさらにクリアに聞こえる女の子の声。

康介 
「ハァ……ああすっげぇ狭いな、お前の膣(なか)。チ○ボ千切られそうだわ。」


「ハァ……ンァ……富田先輩……はァ……」

床には脱ぎ捨てられた男女の制服、そしてベッドの上に視線を移すと裸の男女が抱き合っていた。

顔はこちらに向いていないが、その声を聞けば明らかに康介であると事が分かる。

女の子はショートカットで、顔はまだ幼さが残った可愛い感じの子だった。

高校2年の康介のことを『富田先輩』と呼ぶという事は、つまり去年まではまだ高校一年生という事だろう。

しかし幼い顔をしていても、頬を火照らせながら快感に喘ぐその表情は、しっかり〝女〟をしていた。


「ァアアッ……先輩……ンァ……アッアッアッ……!」

康介が腰を激しく振りながら責めると、女の子は切羽詰まった様子で〝先輩〟と何度も康介の事を呼びながら喘いでいた。

2人とも汗だくで、その熱気が見ているこちらまで伝わってきそうだ。

千佳 
「……ハ……ァ……」

目の前に広がる光景に衝撃を受けた千佳は、脳がグワングワンと揺れるような感覚に陥っていた。

苦しい。

どうやって呼吸をすればいいのか分からない。

空気を吸うことはできても、吐くことができなくなってしまった。

千佳 
「……ハ……ハ……」

酸素を取り込みすぎて、目の前の光景がボンヤリと霞んでいく。

抱き合って、深く唇を重ねている2人の姿が、まるで白い霧に包まれていくよう。

苦しい……苦しい……苦しい苦しい苦しい苦しい……

そしてその息苦しさが限界に達した時、千佳は自然とそのドアを閉めていた。

千佳 
「ハァァ!……ハァ……ハァ……」

ドアを閉めると、そこでやっと息を吐くことができた千佳。

しかし急激に身体の中に溜まっていったその不安や悲しみを吐き出した瞬間、千佳の目からポロポロと涙が溢れ始めた。

千佳 
「ぅ……ぅ……ぅ……」

次々と溢れてきて止まらない涙。

でも、今もドアの向こうからは女の子の声とベッドの軋む音が聞こえてくる。

イヤ……イヤ……

もう限界。

涙を流しながらもヨロヨロと立ち上がった千佳は、整理のつかない頭で、困惑と悲しみを抱いたまま康介の部屋から出て行った。

コメント

  1. メンメン より:

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    りぃさんコメントありがとうございます。返信遅れてしまってすみません。

    そうでしたかぁ、官能小説っていかに感情移入できるかが重要だと思うので、そう言ってもらえて作者としては凄く嬉しいです☆

    これからも、主人公の気持ちに拘って書いていきたいと思います。

    ※楽しみにしてもらっているのに更新ペースが遅くなっていてすみません。明日には続き更新できそうです。

  2. りぃ より:

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    富田さんあたしの彼氏にイメージがピッタリなんで大好きなんですけど、今回他の女の子とHしちゃったのがスッゴいショックで、余計感情移入しちゃいます!いつも主人公の気分になって興奮したり凹んだりしてます(笑)これからどうなっちゃうのか本気でドキドキしてます☆

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