「では行きましょうか。」
「はい、ありがとうございます。」
バイトが終わり、カフェまで迎えに来てくれた真田の車の助手席に乗る志乃。
服装は子供っぽくならないように背伸びをして少しだけ大人っぽくコーデをした。
ベージュを使って落ち着きある色合いでまとめ、下は女性らしくスカートに。
まさに清楚な女子大生という雰囲気の志乃によく似合う服装だ。
真田が乗ってきた外国製の高級感のある黒い車は、乗り込んだ瞬間に車内から良い香りを感じた。
大きな車を慣れた様子で走らせる真田を、時折助手席から眺め、志乃は嬉しそうに笑顔を見せていた。
——運転してる真田さんもカッコイイなぁ——
助手席に乗り、まるで真田の恋人になっているかのような気分を志乃は味わい、それだけで嬉しくなっていた。
そして煌びやかな夜の街を車で走り、真田が予約してくれたレストランに到着した。
——わぁ……なんだか凄いお店……ちょっと緊張しちゃうかも——
そこは所謂高級レストランと呼ばれる場所で、まだ大学1年の志乃はこのような高級レストランに来るのは初めてだった。
しかし真田はそれも分かっていてくれたのか、個室を用意していてくれた。
周りの目が無ければ、そこまで緊張する事もないだろう。
食事が始まり、出てきた料理は、志乃が今まで食べた事のないようなものばかりで、しかも全てが驚くほど美味しかった。
そして何より、真田との食事は楽しかった。
真田は話の引き出し方が上手で、気づいたら志乃は自分の事を沢山話していて、真田はそれを穏やかな表情で聞いてくれた。
「このお店のお料理、本当に美味しいですね、私感動しちゃいました。」
「それは良かった、美味しそうに食べてる志乃さんを見ていて、私も幸せな気持ちになりましたよ。」
真田にそう言われ、志乃はまた嬉しそうに笑顔を見せた。
志乃も真田と一緒に食事ができて幸せだった。
できればこの時間がずっと続けば良いのにと、心の中で願う志乃。
やがてテーブルにデザートが運ばれてきた。
お皿の上にある薄いドーム型のチョコレートに、料理人が志乃の目の前で炎が上がるリキュールをかける。
するとドーム型のチョコレートが溶けて中からフルーツをふんだんに使ったデザートが現れた。
チョコレートとリキュールの甘い香りがする大人のデザートだ。
志乃は目をキラキラさせながら、興味津々でそのデザートを食べ始めた。
「わぁ凄い……私こんなの初めてです。それにとっても美味しい、こんなに美味しい物があるんですね。」
「ハハッ、良い顔をしてますね志乃さん、新しい体験との出会いはいつも刺激的で楽しいものですよね。」
「本当にそうですね。私、世間知らずなので、知らない事の方がずっと多くて。」
「それは若い証拠ですよ、知らない事が多いって事は、その分楽しい体験が沢山待っているという事です。
私はある程度の事は全て経験してしまったし知ってしまったので、刺激がなくて少し退屈なんですよ。」
「退屈……そうなんですか……」
「えぇ、でも志乃さんが新しい体験をしている姿を見るのは楽しいですよ。そしてそれが私の刺激になる。」
「ぇ……私……ですか?」
「はい、私が一番気に入っているこのレストランに志乃さんを連れてきたのも、それが見たかったからなんです。
そして狙い通り、志乃さんの良い笑顔が見れた。」
「……真田さん……ありがとうございます、私なんかのために。」
真田の言葉に、感激してしまう志乃。
まるで夢の中にいるような気分だった。
そしてそんな志乃を見つめながら、真田はこう言ってきた。
「志乃さん、この後なんですが、実はある場所へ行って志乃さんに見せたいものがあるんですよ。」
「見せたいもの……ですか?」
「えぇ、また新しい体験と新しい刺激が得られるものをお見せします。きっと楽しいですよ。」
コメント
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更新ありがとうございました~
いくつの予想が…次回の更新でもしそのどちらが当たるとは楽しみねW
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いよいよ始まるのか、、、