言われた通り、俺とA先輩は床で寝たふりの体勢をとり、吉岡先輩と太田先輩はベッドで寝ている佳代ちゃんに近づいていく。
「じゃあ俺こっちで太田そっちな。」
「OK、てかヤバい、テンション上がってきた。」
ニヤニヤと笑みを浮かべながら佳代ちゃんに気づかれないように慎重にベッドの中に入る2人。
ベッドのサイズは結構大きいので、身体の大きな吉岡先輩と太田先輩が入っても少し余裕がある。
もしかしてそれも計算づくで先輩達は佳代ちゃんをベッドで寝かせたのかもしれない。
佳代ちゃんの身体を挟むように前には吉岡先輩、後ろには太田先輩が入る。
「あれ、起きた?」
「まだ起きてねぇけど、そんなに眠り深くない感じだな。」
「てか寝顔可愛いなぁ。」
まるでテレビ番組の寝起きドッキリをしているような雰囲気で小声で話しながら楽しそうな先輩達。
俺はその様子をドキドキしながら眺めていた。
もし、佳代ちゃんが嫌がるような事があれば、止めに入ろう。
それで俺が先輩達に嫌われようが、サークルで孤立しようが別に構わない。
と、そんな事ばかりを頭の中で思考する。
でも正義感が強い自分の姿はただ想像するだけで、実際には先輩達に言われた通り寝たふりをしている小心者だ。
本気で佳代ちゃんを守ろうと思うのならば、今の時点で止めに入るはずなのだから。
「あ、起きそうだ。」
吉岡先輩のその声で息を止める。
「おーい、佳代ちゃん。」
佳代ちゃんの寝顔を指でツンツンしながら遊ぶ吉岡先輩。
「……ん…んー……え……えっ?」
佳代ちゃんの声、起きたっぽい。
「おはよーございます。」
「えっ?きゃっ!吉岡先輩!?あれ?」
「おはよーございます。」
「え?あ、おはようございます……え、どうして?ちょ、ちょっとやだ、吉岡先輩なんで入ってきてるんですか!」
「俺もいるで~」
「きゃっ!太田先輩!?もーなんなんですか、え?もう朝?じゃないですよね?」
目が覚めた同時に吉岡先輩と太田先輩に挟まれている事に気づき、軽くパニックな様子の佳代ちゃん。
「まだ全然朝じゃないよ。」
「佳代ちゃんが寝てから30分くらいしか経ってないし。」
「そうですよね……あれ?ナオ君達は?」
「あいつらは皆寝ちゃったよ。」
それを聞いて床に寝転がっている俺やA先輩B先輩の方を見る佳代ちゃん。
俺は薄目で開けていた目を咄嗟に閉じた。
「俺達ちょっと寝付けなくてさぁ、佳代ちゃん相手してよ。」
「え~それで起こしたんですか?やっと寝れたと思ったのに。」
「このベッド寝心地良いでしょ?」
「え?あ~うん、大きいから良いですよね、でも凄く高そうですね、これ。」
「ちょっとコネがあってさ、安く譲ってもらったんだよ。」
「いいなぁ、私もこれくらい大きなベッドがほしいなぁ、たぶん私の狭い部屋じゃ置けないけど。」
「佳代ちゃんなら毎日でもこのベッド使いに来てもらってもいいんだよ?」
(意味深な感じで)
「それは結構です~。ていうか完全に目が覚めちゃったじゃないですか、明日絶対バイト辛いよぉ。」
「目が覚めちゃった?よし、じゃあ今日はもう俺達とオールしよう!」
「ダメでーす、ていうか布団から出てくださーい。」
「うわっ佳代ちゃん押さないで!落ちる落ちる!」
布団の中でクスクスと笑う佳代ちゃんと先輩達の声が聞こえる。
寝ていたところを無理やり起こされた佳代ちゃんは最初こそ迷惑そうにしていたが、すぐに先輩達と楽しそうに会話をし始めていた。
とりあえず、先輩達が布団の中に一緒に入っている事はそれほど嫌ではなさそうな雰囲気だった。
「あ~ぁ、私一回起きると寝れなくなっちゃうんですよね、ホント、先輩達酷いです。」
「若いんだからこれくらい寝なくても大丈夫大丈夫、それに佳代ちゃんいつもこのくらいの時間でも俺と電話してるじゃん。」
「そうですけどぉ……」
「おーいなんだよそれ~、佳代ちゃん密かに吉岡なんかと電話してたの?もしかして2人できてんの?」
「え~違いますよぉ……」
「えっ違うの?俺めっちゃ佳代ちゃんと良い感じだと思ってたのに、俺の独りよがりだったのかよ。」
それ聞いて笑う佳代ちゃん。
「吉岡先輩には色々と相談に乗ってもらったりしてたんですよぉ。」
「相談ってどんな?」
「それは、えっと……」
「彼氏の事だよなぁ。」
「あ~彼氏と上手くいってないってやつ?」
「上手くいってない訳じゃないんですけど……」
「いわゆるマンネリってやつだよ、佳代ちゃんは。」
「そう、なのかなぁ……う~ん……」
「彼氏と何年付き合ってんの?」
「もう2年以上ですね。」
「あ~それはマンネリになるわ!色んな事がマンネリになるわ。」
「やっぱり、皆そういう風になるんですか?」
「なる、俺の周りにもそういう女の子多いよ、まずときめきが無くなるでしょ、彼氏といてドキドキする事ってもう無くなったんじゃない?」
「う~ん、確かに……でも安心感みたいなのはありますよね。」
「あ~ダメだよそれ、そんな夫婦みたいな関係になるにはまだ早いっしょ。もっと情熱的な恋をしなきゃ、佳代ちゃんも無意識の内にそういう恋を求めてるから彼氏との関係に満足できなくなってるんじゃないの?彼氏もきっと同じように感じてるんじゃない?」
「そう……なのかなぁ……」
佳代ちゃんが彼氏と別れそうと言っていた理由は、つまり単に彼氏との関係が冷め始めているということのようだった。
彼氏と別れるなら俺としては少し嬉しいような気もするけれど、今はそれどころじゃない。
佳代ちゃんは今、その身体を狙っているヤリチンの先輩達と一緒にベッドの中にいるのだ。
先輩達がここからどういう流れにもっていこうとしているのかは分かりきっている。
そして案の定、吉岡先輩と太田先輩は話の方向を下の方が持っていき始めた。
「あ~じゃあその感じだと佳代ちゃんさ、どうせ彼氏とのセックスもマンネリだろ?」
太田先輩にそう聞かれて
「え~」
と言いながら少し笑う佳代ちゃん。〝も~セクハラですよぉ〟みたいな感じで。
「そうそう、佳代ちゃんその辺ぶっちゃけどうなのよ?もしかしてセックスレスとかじゃねぇの?最近カップルでも多いらしいからな。」
で、俺はてっきり佳代ちゃんは今まで通りそういう下ネタは適当にはぐらかすんだろうなと思っていたら、
「え~それは……」
と、少し考え込むような佳代ちゃんの声が。
「お、心当たりありそうな反応だな、やっぱりそうなんだ?」
「……そんな事はないですけどぉ……」
「どうせヤッてても毎回同じ体位とかでエッチしてんだろ?」
「……そ、それは……」
(少し動揺したような感じ)
「うわ、図星じゃん!なんだよ、彼氏正常位しかしてくれないとか?」
「……。」
(これも図星なのか、どう答えていいのか分からなくて黙っちゃった感じ)
「マジで?佳代ちゃんそうなの?うわぁ、だとしたら超つまんない彼氏じゃん。」
「……そ、そんな事……」
彼氏との性事情を先輩達に暴かれていく佳代ちゃん。
今までだったら絶対に聞けなかった佳代ちゃんのそういう話。
俺は寝たふりを続けながら、先輩達と佳代ちゃんのその会話をドキドキしながら聞いていた。
そしてもちろん吉岡先輩と太田先輩は、これだけでは止まらない。
コメント
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清楚ぶってる女がエロい本性引き出されていく展開期待してます!
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更新頻度を上げてください。
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更新待ってました。
楽しみにしています。
未完作品の「志乃」の続きがどうしても気になります。
こちらの更新もぜひお願いします。
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皆さんコメントありがとうございます。
更新は明日くらいになりそうです。すみません遅くて。
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毎度思う事ですが、本当に文章のリズムが良くて惹き込まれます。
エロ度の展開も申し分無いし・・
本当にいつもありがとうございます!
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> 清楚ぶってる女がエロい本性引き出されていく展開期待してます!
コメントありがとうございます。
まさにそういう展開になっていくと思います。僕の大好きな展開です。
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コメントありがとうございます。
ありがとうございます。更新頑張ります。
志乃の続きも……ちょっとまだ時間がかかりそうですが、なんとか完結させたいと思います。
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ありがとうございます。
そう言って頂けると本当に嬉しいです。頑張ります。