「お〜リナいたいた!こんばんわ〜!初めまして!いやぁいきなり来ちゃってすみません!」
結達の席にやってきたリナの彼氏は、大きな体格をしたスポーツマン風の元気な男性だった。
「は、はじめまして!いえいえ、遠慮なくどうぞ。」
砂上がそう言うと、リナの彼氏はリナの隣の席に座った。
結も砂上も、その彼氏の第一印象は〝大きな人だなぁ〟だった。
身長は185センチ以上はありそうだし、腕や足も太くて全体的に筋肉の付き方が凄いから余計に大きく見える。
こんなに体格の良い男性は街中を歩いていてもそうそう出会うことはない。
しかしその理由が、この後すぐに分かる。
「近藤さん砂上さん、うちの彼氏の顔、どこかで見たことありません?」
リナはニコニコしながら結と砂上にそう聞いてきた。
「え……?どこかでって……?」
結は過去の記憶を遡っても、目の前の男性を見た記憶がなかったのでピンと来なかった。
しかし砂上は少し考えた後に、あることに気づいた。
「……あっ!もしかして!」
「砂上さんは見たことあります?」
「はい、あの……もしかして、あの野球選手の……?」
「そうなんですよ〜!うちの彼氏、実はプロ野球選手なんです!」
それを聞いて結も砂上も驚いた。
結は普段野球観戦はしないから全く知らなかったが、どうやら結構有名な野球選手らしい。
リナの彼氏の名前は岡本隼人、某プロ野球チームの主力選手だった。
「どうりで……」
現役のプロ野球選手なら、この体格の良さは納得できる。
それに岡本がこの居酒屋に入ってきてから、他の席の客がチラチラこちらを見ていたのも、岡本が有名な選手だからだ。
リナが少し自慢げなのも納得だ。
リナは岡本に結と砂上のことを紹介してくれた。
リナと結達がどういう経緯で知り合ったのか、結達がコンドームを製造している会社で働いていることも。
「マジっスか!こんな美人さんがコンドーム作ってるとかヤバいっすね!」
結の方を見ながら興奮気味にそう言う岡本。
「でしょ〜!だから今日は近藤さんに相談してたんだよ〜隼人の遅漏のこと。」
「は?マジ?リナそれ言うなよ〜恥ずかしいだろうが〜」
「え〜いいじゃん別に〜こと実なんだし。」
そんな会話をしながらゲラゲラ笑うリナと岡本のカップル。
「で?ムスブちゃんが考える遅漏対策ってどんなものがあるんスか?」
いきなり結のことを〝ムスブちゃん〟と呼びだした岡本に、少し驚く結と砂上。
どうやら岡本はリナ以上にフレンドリーな性格らしい。
「そ、そうですね、先ほどリナさんにも言ったのですが、私が考えられるのは潤滑ゼリーとか、遅漏用のコンドームを使うとかですかね。」
「へぇ〜、俺そんなの使ったことないわ。」
「潤滑ゼリーは女性側の負担を和らげますし、遅漏用コンドームは効果が期待できるので、とてもオススメですよ。」
「効果ってどのくらい早くなるんスか?」
「えっと……それは個人差があるので何とも言えないんですけど……」
結が答えに困っていると、リナがこう聞いてきた。
「近藤さん、この前新商品のコンドームは男性社員に試してもらってるって言ってたじゃないですか?遅漏用コンドームも試してもらってるんですか?」
「試してもらってはいるんですけど、実は遅漏だという社員さんが少ないので、あまり試せていないんです。」
「へぇ〜、あっ!じゃあ隼人に試してもらえばいいじゃないですか?」
「えっ!?い、いいんですか?」
「もちろん俺はOKですよ!てか使ったことないから使ってみたいし!」
研究者である結は、思いがけない展開に喜んだ。
遅漏用コンドームのレビューは数が少ないので、感想を聞けるのは本当にありがたいし、貴重なのだ。
「女性側の感想も私が近藤さんに伝えることができるよね〜、潤滑ゼリーも。」
「いいんですか?ありがとうございます!」
「全然良いですよ〜!私も試してみたいし〜」
「本当にありがとうございます!」
——リナさんも岡本さんも、本当に良い人だ——
結は心からそう思った。
コンドームのモニターを快く受けてくれる人なんてそうそういない。
「あっ、じゃあ今から4人でコンドーム買いに行きましょうよ!ほら、近藤さんオススメのコンドーム買いたいし!」
「わぁ!いいですね!」
リナからのその提案を聞いた瞬間、結の目がキラキラと輝いた。
そしてそのキラキラした目で砂上の顔を確認する結。
〝いいですか?〟と。
「い、いいですよ、僕は全然。」
砂上も了承すると、早速4人は居酒屋を出て近くのドラッグストアへ向かった。
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