家庭教師 小森千佳(21)

最終電車だったからもう日付が変わりそうだ。

夜遅く、やっと自分のアパートに帰ってきた千佳は、玄関で1つ息をつく。

千佳 
「……ふぅ……」

そして部屋に上がると、すぐに浴室に向かいお風呂に入りにいった。

今日もいつものうように駅まで送ってくれた康介。

夜の道を2人で歩き、会話は尽きる事がなく、駅に着いても電車が来るまでしばらく話していた。

そして最後は笑顔で手を振りながら別れた。

……色々あったけど、良い誕生日だったよね……

辛い想いも嬉しい想いも体験した、心のアップダウンが激しい1日だった。

でも、最後は笑顔なれたんだから。

お風呂から出た千佳は髪の毛を乾かしてからベッドの上に座り、康介の部屋から持ち帰ってきた袋を手にする。

康介から貰ったもう1つのプレゼントだ。

部屋に帰ってから開けてと言われたそのプレゼントの中身が何なのか、千佳はずっと楽しみにしていた。

上機嫌で笑みを浮かべながら袋からラッピングされたものを取り出し、包装紙を丁寧に剥がしていく千佳。

千佳 
「フフッ何かなぁ」

本当は何でも良かったんだ。康介が自分のためにプレゼントを用意していてくれただけで、凄く嬉しかったのだから。

でも、最初に貰った腕時計はとても素敵なものだったし、このもう1つのプレゼントにも自然と期待してしまう。

千佳 
「わぁ、可愛い。」

中に入っていたのは可愛らしい白いワンピースだった。

白ではあるものの、オシャレなデザインのそのワンピースは腕時計同様、千佳の好みに合う物だ。

これはあの高校生の女の子ではなく、康介が自分で選んでくれたと言っていたから、なんとなくその分嬉しい。

千佳 
「あ……でもこれちょっと丈が短いかな……。」

鏡の前で服を広げて自分の身体に合わせてよく見てみると、少しスカートの部分の丈が短いように感じた。

サイズが合っていないとかそういう事ではない。きっと短めのデザインの物なのだろう。

正直、スカートでもワンピースでもここまで短いのは滅多に着た事がない千佳。

それに胸元の部分も結構大きく開いている。

千佳 
「ん~可愛いけど……ちょっと大胆だなぁ、私に着れるかなぁこんなの。」

確かにこういった服を着ている女の子は街でも見掛ける。

でもそれを自分が着て似合うのか自信が無かったし、少し恥ずかしいような気もする。

もちろん全く着れない訳ではないが、これは大学に行く時などの普段着としては選べない。

可愛らしさの中に大胆さと大人っぽさが混じっているこのワンピース、なんとか着こなす方法はないかと考える千佳。

そしてとりあえず着てみようと今着ている服を脱ごうとした時、ふとプレゼントの袋の中にまだ何か入っている事に気付く。

千佳 
「ん~……あれ……?」

それはワンピースよりも小さく包まれて袋の底の方に入っていた。

千佳 
「何だろう……?」

まだプレゼントあるの?さすがに貰い過ぎかも……そんな事を思いながら中身を確認した千佳は、それを見て思わず目を丸くした。

千佳 
「えっ……これって……」

取り出してみると、それは女性用の下着だった。

ブラジャーとパンツの1セットだ。

千佳 
「康介君……どういうつもりなんだろう……」

当然男性から下着をプレゼントされるなんて初めてであったから驚く千佳。

だが一応プレゼントなのだから、どんなものかと下着を広げてみる。

千佳 
「やだ……これ……なんか凄い……」

その下着は千佳が普段あまり身に着けない黒色の物だったのだが、千佳が驚いたのはそのデザインだった。

大人っぽい、セクシー、別の言い方をすればエッチな下着といった印象。

Tバックとまではいかないものの、普通のショーツよりも肌を隠す部分が小さくて大胆だ。
そしてそれはセットになっているブラジャーも同様だった。

千佳 
「結構イヤらしい下着だよね……これって……」

千佳はこんな下着は持っていないし、今まで身に付けた事もない。

その下着を千佳は顔を少し赤くしながら暫く眺めていた。

……ワンピースも少し大胆だし、それに合わせた下着って事なのかな……

……でも、こんなの恥ずかしくて着れないよ……

千佳 
「康介君、こういうの着る子が好みなのかな……」

そんな事を1人で呟いていると、テーブルの上に置いておいた千佳の携帯が突然鳴り始める。

千佳 
「え?電話……?」

もう夜中だというのに誰だろうと思いながら携帯電話を開く千佳。

するとディスプレイには、ちょうど今千佳の頭の中に居た人物の名前が出ていた。

千佳 
「……康介君……?」

今までメールはした事はあるが電話は初めてだったので、相手が康介だと知り意外に思う千佳。

しかし少し前に駅で別れたばかりだとはいえ、また康介の声が聞けると思うと素直に嬉しくなる。

千佳は思わぬ電話に笑みを浮かべながら携帯電話のボタンを押した。

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