異様な雰囲気が部屋の中に漂っていた。
男達の中でも殆どしゃべるのは鈴木だけで、他の男達は皆言葉少なく、じっと千佳の方を見つめているだけ。
千佳を見つめるその目はアルコールのせいなのか少し充血していて、口元は緩んで時々ニヤニヤと笑っているのが不気味だ。
千佳は本能的に思った。怖い、と。
ここにいる男達は高校生とはいえ皆体格は男らしくしっかりしているし、千佳と同じ大学生の男性と比べてもかなり大きいように見える。
そんな男達に囲まれれば、女性なら誰でも危機感というものを感じるだろう。
千佳
「あの……鈴木君は、康介君が何時頃帰ってくるのか知ってるのかな?」
鈴木
「富田ですか?さあ、別に何時とは聞いてないので、どうですかね、もうすぐじゃないですかね。」
千佳
「そ、そっか……」
当たり障りの無い会話が途切れ途切れに続く。
少し話して、また沈黙。なんだか時間が経てば経つほど、空気が重くなっていくようだった。
いつまでこの状況が続くのだろう。千佳はずっとそんな事を思っていた。
しかしそんな緊張した状態は1つの小さな切っ掛けで崩れ、そして流れ始める。
それはずっと俯いていた千佳が何気なく顔を上げた時だった。
前に座っている3人の男の中の1人と、千佳の目が合ってしまう。
男は充血した目をギラギラと輝かせ、鼻の穴を広げ、息を荒くしている。
その様子は明らかに普通ではなかった。
千佳
「……。」
「ハァ……ハァ……」
そして今まで殆ど言葉を発していなかったその男の口がゆっくりと開く。
「ハァ……綺麗な脚だなぁ。」
千佳
「え?」
男のその言葉を切っ掛けに、ここにいる全員の視線がワンピースの短いスカートから伸びる千佳の太腿へと向けられる。
そしてそれに続けるようにして鈴木が口を開いた。
鈴木
「ホントだ、脚凄い綺麗っスねぇ千佳先生。」
そう言って隣に座る鈴木は、手を千佳の太腿へと伸ばし、撫でるようにして触った。
千佳
「ぇ、ちょ、ちょっと鈴木君!?」
千佳は反射的に鈴木から離れようとするが、逆側にも大きな男が座っているため、それができなかった。
鈴木
「おおースベスベだわ。ていうか色白いなぁ、美白って感じですね。」
千佳
「イヤ……止めて……鈴木君……」
鈴木の手を掴んで小さな抵抗を試みる千佳。
しかしそんな事をしている間に逆側からもう1人の男の手が太腿へと伸びてくる。
「どれどれ、俺にも確認させてよ……おおーいいねぇこの感触。」
2つの手に太腿、そして内腿の方を擦られる。
千佳
「ダメ……や、止めて……」
両サイドから男に挟まれ、そして鈴木のもう片方の手に千佳の肩がしっかりと掴まれてしまっているため、ソファから立ち上がることも、逃げる事もできなかった。
突然始まった、男達のセクハラ紛いな行動。
千佳は嫌な予感を感じながらも、もしかして冗談のつもりでしているのかもしれないとも少し思っていた。
なにせ相手は高校生だ。
千佳
「あの……ちょっと、冗談ならやめて、もうダメだよ、本当にこんなの。」
人に対して大きな声を上げて本気で怒ることなんて、性格上千佳には無理だ。これが千佳にとって精一杯の大人の対応だった。
しかし、それだけでは男達は止まってくれない。
それどころか、鈴木は千佳が予想もしてなかった言葉を発する。
鈴木
「冗談なんかじゃないですよ、本当に綺麗な脚ですよ千佳先生。それに、千佳先生もこうやって男に触られるの好きなんでしょ?」
千佳
「……わ、私はそんな事……」
鈴木の言葉を否定しようとする千佳を、さらに追い詰めるかのようにもう1人の男が続く。
「ホントだよな、こんな短いワンピース着て太腿露出させてよ、触って欲しいからこんなの着てるんでしょ?そう決まってる。」
千佳
「そ、それは……」
服の事について言われると、千佳は何も言い返す事はできない。
そうだ、康介に頼まれたとはいえ、千佳は自分でこの服を着てここまで来てしまったのだから。
鈴木
「そうだよなぁ、俺達もビックリしたよな。富田からは千佳先生は凄く真面目な人だって聞いてたからさ、まさかこんな大胆な服を着てくるなんてさ。いつもこういう格好なんですか?」
そう言いながら鈴木の手は徐々に千佳の脚の付け根の方へと近づいていく。
そしてもう1人の男が、短いワンピースのスカートを少しずつ上へと捲くろうとしていた。
千佳
「い、いつもは私、こんなのは……あっ!ダメ!」
スカートが捲られそうになっている事に気付いた千佳は、慌ててスカートを両手で押さえた。
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