夏にサークルのメンバーで海に行ったんですよ。
海と言えば?
そう、水着。
当然一緒に行く女性陣は皆水着になる訳だ。
俺にとっても大学で初めての海だったから、色々と期待はしていた訳だけど……。
凄かったんですよ。
何が?
佳代ちゃんが。
いや、高校時代からずっと彼女を見てきた俺だけど、うちの高校は水泳の授業とかなかったし、佳代ちゃんの水着姿はその時初めて見たんだけど、まさか服の中があんな事になっていたとは。
しかもビキニだからね。
いや〝意外と胸あるぞ〟っていうのは密かに言われてはいた。
でも想像以上に……何というか胸が大きいだけじゃなくてウエストも程よく引き締まってるし、肌白くて綺麗だし……。
先輩達の言葉を借りるなら、
「おいおい、佳代ちゃん超エロい身体してんじゃん!」
って事。
俺も驚いた。
イヤらしい表現だけど、佳代ちゃんの白いオッパイは大きいだけじゃなくてとても柔らかそうだった。
胸だけじゃなくて全体的に凄く肌が柔らかそう。
女性ホルモンたっぷりな身体というか。
これも先輩達の言葉を借りるなら、
「すげぇ抱き心地良さそうな身体だよな。」
って事。
おそらく佳代ちゃんの水着姿に反応しなかった男はいないと思う。
いわゆる男好きのする身体と言っていいのかもしれない。
吉岡先輩や太田先輩も
「マジで佳代ちゃんいいな」
「盲点だったわ、前から普通に可愛いとは思ってたけどさ、まさかあんなものを隠してたとはな。」
「純な顔してエロい身体してんなぁ。あの胸、俺が一番好きな大きさだわ、EかFくらいか?」
「だな、形からして美乳っぽいし、色白いし、それに良い尻してるわ。」
などなど、とにかく佳代ちゃんの水着姿、というか身体を絶賛してた。
で、海ではビーチバレーとかして皆で遊んでいたんだけど、正直佳代ちゃんの揺れる胸やお尻が気になって仕方なかった。
佳代ちゃんはいつも通りの明るい感じで楽しんでいたけど、さすがに男達からの視線にも少しは気づいていたと思う。
で、それからというもの、サークルの男達、特に例の先輩達の佳代ちゃんを見る目は明らかに変わった。
太田先輩は
「今ヤリたい女ランキング1位は佳代ちゃんだな」
とか言い出すし、吉岡先輩も
「だなぁ」
ってそれに賛同する始末。
俺の心境としては気が気じゃなかった。
(ちなみに俺の佳代ちゃんへの密かな恋心は誰も知らない)
そりゃ俺も男だから、佳代ちゃんの身体には興味ある。
正直オナネタにだって今まで数え切れないほどしてきた。
でもやっぱり美和子先輩が先輩達にされていたことを思い出すと、あのヤリチンの先輩達に佳代ちゃんが狙われていると思うと俺は心配だった。
佳代ちゃんはそんな女じゃない、それに佳代ちゃんには一応彼氏がいるし。だから大丈夫だとは思うけど……。
(ていうか俺はすでに彼氏がいる女の子の事をなんでこんな心配してるんだ?って葛藤もしたり)
バスケの練習の時や飲み会など、なにかと佳代ちゃんがサークルの男の先輩達に話しかけられているのを多く見るようになった。
特に吉岡先輩と太田先輩は飲み会の時も佳代ちゃんを挟むように座ったりして。
完全に佳代ちゃんは先輩達のターゲットになっていた。
で、それを見ていてやっぱり俺は心配だった。
何せ吉岡先輩と太田先輩は超イケメンだから。滅茶苦茶モテるから。
今までこの二人に何人の女性が喰われてきたか。
見た目がカッコイイ上に、コミュニケーション能力も高いから、迫られたら断れる女性は少ないんじゃないとかと思う。
下心丸出しの吉岡先輩に迫られて佳代ちゃんがキスを許してしまう夢を見てハッとして起きた事があった。
胸が締め付けられるように苦しかった。
やっぱ嫌だよ、佳代ちゃんがあんなヤリチンの先輩達に喰われるのは見たくない。
それだったら今の彼氏と末永く幸せでいてくれた方がまだいい。
やっぱり佳代ちゃんは俺にとって憧れの女性であり、青春の人なんだ。
俺の青春をヤリチンの軽い先輩達に汚されたくない。
で、俺は不安過ぎてある日の夜に佳代ちゃんに電話してしまった。
『ナオ君?どうしたのー?』
『いやあの、特にはあれなんだけど……』
特に用もないのに電話してしまい、今思うととても不自然だったと思う。
でも佳代ちゃんは『ナオ君と電話するの久しぶりだねー』と言って色々と話し相手になってくれた。
高校時代の思い出話や大学の話、バイトの話、それにサークルの話も。
話をしながら高校時代に遅くまで佳代ちゃんと電話してた頃の事を思い出して、凄く楽しかったし、幸せだった。
で、やっぱり俺はあの事も気になったのでさりげなく吉岡先輩や太田先輩の事を話題に出してみた。
『あの2人滅茶苦茶モテるらしいよ』みたいな感じで。
『やっぱモテるんだぁ、カッコイイもんね、2人とも』
『やっぱり佳代ちゃんもあの2人の事はカッコイイと思うんだ?』
『ん~うん、最初見た時モデルさんみたいですごーいって思った。』
『あ~そういえば吉岡先輩は雑誌のモデルのバイトとかもした事あるって言ってたな。』
『知ってる知ってる、私もその雑誌見たよ~すごいよね。』
そのままたぶん30分以上佳代ちゃんと吉岡先輩の話をしていたと思う。
『この前吉岡先輩と太田先輩がバイト先にご飯食べに来たんだよぉ』とか
『2人ともバスケあんなに上手なのにどうしてバスケ部いかなかったんだろうね~?』とか。
思いのほか先輩達の話で盛り上がってしまって、しかも妙に佳代ちゃんの声のテンションが高かったから、俺としては複雑だった。
で、最後の方に俺がまたあの2人はモテるだの、高校時代はファンクラブあったらしいよとか言っていたら佳代ちゃんがちょっと驚くような事を俺に聞いてきた。
『でもさぁ、吉岡先輩と太田先輩ってさ……(小声でボソボソ)』
『ん?なに?』
そこだけ佳代ちゃんの声が小さくなって聞き取れなかったので聞き返すと
『吉岡先輩と太田先輩って……すっごいエッチなんでしょ?』(小声でちょっと恥ずかしそうに)
今まで佳代ちゃんと下ネタ系の話ってした事がなかったから、そう聞かれて俺は少し動揺してしまい、『え?そうなの?』などととぼけた応えをしてしまった。
『なんかね、ちょっと噂で聞いたんだ~』
『ま、まぁ確かに、そうかも。エロいかもね、あの2人は。』
『やっぱりそうなんだぁ。』(ちょっと笑った感じで)
『どういう噂聞いたの?』
『具体的な事は聞いてないけど、マネージャーの先輩達があの2人はエッチだよぉって言ってたから、そうなんだぁって思って。ナオ君は吉岡先輩達と仲良いから色々知ってそうだよね。』
『知ってるっていうか、まぁでも、吉岡先輩や太田先輩に限らず男は皆ある程度さ……』
『あ~そうだよね~』
まさか先輩達が乱交や輪姦(一応和姦だけど)をしているような変態だとは言えずに適当に誤魔化しておいたけど、どうして佳代ちゃんはそんな事聞いてきたんだろう?とか色々考えてしまった。
で、夜遅かったからそれくらいで電話は終わったんだけど、最後に
『やっぱりナオ君と電話すると落ち着くなぁ。ねぇナオ君、これからもたまにこうやって電話してもいい?』
『え、あ、もちろん、俺で良いならいつでも。』
『わーい、じゃあまた今度電話するね。』
なんてやり取りもあって、俺としてはそれは嬉しかった。
それから1週間に1回とか、そのくらいのペースで俺は佳代ちゃんと電話してた。
高校時代みたいに、佳代ちゃんがおしゃべりして、俺が聞き役みたいな感じで、楽しかった。
でも、俺はその後ショックな事実を知ることになる……。
一応毎週あるサークルのバスケの練習。
その日もいつものように適当に汗流した後、例の先輩達(吉岡先輩と太田先輩を含む数人)と休憩していたんだけど、そこで俺としてはちょっとショックな話を聞かされた。
皆で地べたに座りながら何気ない会話をしてると、先輩の内の誰かが突然『やっぱ佳代ちゃん美味そうな身体してるよなぁ』って言いだした。(メンバーにおしぼりを配る佳代ちゃんを眺めながら)
まぁそれ自体はいつもの事なんだけど、吉岡先輩がそれを聞いてニヤニヤして、こう言いだした。
「いいよなぁ佳代ちゃん、Fカップらしいぞ。」
「え?マジでFカップ?誰から聞いた?」
「佳代ちゃん本人が言ってたし、昨日電話してて深夜のテンションで何カップか聞いてみたらFカップって言ってたわ。」
「お~いいねぇFカップ、やっぱそのくらいあったかぁ、ビキニ姿のインパクトあったからなぁ。ていうか吉岡さすがだな、着実に電話とかしてたのかよ、お前そういうの面倒臭がりそうなのに。」
「まぁな。ていうか最近毎日佳代ちゃんと電話してるし、そのせいでちょっと寝不足になってるのがムカつくけど。」
は?
吉岡先輩と毎日電話……?
ていうかFカップって……マジかよ……
でもショッキングな話はまだ続く。
「ハハッ、毎日電話とか吉岡本気モードじゃん。」
「そりゃあの身体見たらなぁ、多少本気出す気にもなるわ。今めっちゃ彼氏の事で相談とかされてるのが面倒くせぇけど、なんか別れそうとか言ってるし。」
「マジかよ、彼氏と別れそうなのか!でもそれすげぇチャンスじゃね?」
「だな、正直めちゃくちゃ手応えあるわ。中途半端な彼氏がいる奴の方がセフレにもし易いから好都合だしな。」
「うお~さすが吉岡だなぁ!佳代ちゃんとヤレるのか!?ていうか俺達にも早く回してくれよな!」
「まだ分からねぇけどな、佳代ちゃん基本真面目っぽいし。まぁでも今週末にでも飲みに誘ってみるか、お前らも来る?また太田の部屋でいいだろ。」
……。
ちょっと待て。
ちょっと待てちょっと待て。
佳代ちゃん彼氏と別れそうなの?
俺毎週電話してたのに初耳なんだけど。
ていうか吉岡先輩にFカップとか教えちゃったりして……どんな話の流れでそんな事言っちゃったんだろう。佳代ちゃんが自分でそんな事言うなんて想像できない。
なんだか吉岡先輩の話に出てくる佳代ちゃんは、俺が知らない佳代ちゃんのようで、複雑な気分だった。
やっぱり佳代ちゃんも、吉岡先輩のようなイケメンから毎日電話掛かってくるのは嬉しかったのかな……。
そりゃ俺みたいな冴えない男より吉岡先輩みたいな人と電話した方が楽しいよな……。
あ~……なんかすげぇ落ち込む。
しかも吉岡先輩は本気で佳代ちゃんの身体を狙い始めてるし。
ヤバいよな……どうしよう……佳代ちゃんが美和子先輩みたいになっちゃったら……
いやいや、佳代ちゃんに限ってそんな事は……
あ~でも、なんか吉岡先輩の話聞いてると、佳代ちゃんも脈あるような感じ出てるし……
佳代ちゃんに彼氏ができた時とは違う不安感。
ここの先輩達のえげつなさを知っているだけに。
とにかく俺は不安過ぎて吐きそうだったけど、飲み会には俺も誘われたから参加することにした。
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